今さら聞けない 住宅ローンの基本

被災したら、住宅ローンはどうなる?

慶應義塾大学スポーツ医学研究センター 研究員加藤 梨里

地震や台風などの自然災害で自宅が被災してしまったら、我が家に住めなくなってしまうこともあります。こんな状況でも、住宅ローンを借り入れていれば、返済を続けなければなりません。自宅の修繕や買い替えのために新たにローンを組めば、2重に返済しなければならないことにもなります。

被災により家や仕事を失ったうえに住宅ローンの返済が残ってしまったら、どうすればよいのでしょうか?

今回は、自然災害でローンの返済が難しくなったときの対応策を知っておきましょう。

債務整理には法的な手続きが必要

もし、何らかの事情でローンを返済できなくなったときには、「返済額を減額してもらう」「免除してもらう」「猶予してもらう」などの方法があります。これを「債務整理」といいます。

債務整理にはいくつかの方法がありますが、多くは弁護士など法律の専門家を通して行います。このうち金融機関にローンの金利を減免してもらったり、返済を分割にしてもらったりなどの交渉をすることを「任意整理」といい、弁護士や司法書士を通して行います。

また、裁判所で行う手続きには、いわゆる自己破産や個人(民事)再生があります。破産は、ローンを借りている人に支払い能力がない場合に、その財産を換金して返済に充て、債務を清算することです。破産手続きをした後も残債がある場合、基本的には支払い義務は免除されます。

個人再生は、今後の収入の見通しがあるものの、契約通りの返済が難しく、後に破産の恐れが見込まれる人を対象にしたものです。すべての債権者に対するローンの返済総額を少なくして、これを原則3年で分割して返済する計画を立てます。この計画通りに返済をすれば、残りの債務は免除されます。

これらの法的手続きで債務整理をすると、その情報は信用情報機関に登録されます。一般的には「ブラックリスト」と呼ばれるもので、5年間は保管されます。その間は新たにローンを組んだり、クレジットカードを作ったりできない可能性があります。携帯電話の契約や機種変更ができないケースもあるようです。

自然災害での被災時にローンを免除してもらえる制度

そこで、自然災害で被災した人については、一般的な方法とは別のルールで債務整理を行う制度が、2016年4月から始まりました。「自然災害債務整理ガイドライン」(正式名称:「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」)というもので、国の協力も交えて策定された民間の自主的ルールです。

利用できるのは、自然災害で自宅や勤務先などが被災し、住宅ローン、自動車ローン、事業ローン等の返済ができない、あるいはできなくなる見込みがある個人です。ローンを借りている金融機関の同意を得て、ローンの免除や減額をしてもらいます。その際、手元にある預貯金などのうち最大500万円と、国や自治体などから受ける公的な支援金があれば、それは返済に充てずに残すことができます。

このガイドラインに基づいて債務整理をする際には、弁護士などの専門家が無料で手続きの支援をしてくれます。さらに、債務整理をしたことが信用情報として登録されないことも、大きな特徴です。

裁判所での特定調停が必要

ガイドラインによって債務整理をするには、まずは借り入れている金融機関に申し出ます。金融機関の同意が得られたら、ガイドラインを運営している「自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関」に登録している弁護士など専門家に支援を依頼します。専門家の支援を受けながら必要な書類を用意し、どのように債務整理をするかを決めます。債務整理の内容を記載した書類を「調停条項案」といいます。

調停条項案を借入先の金融機関に提出し、同意を得たら、簡易裁判所に「特定調停」を申し立てます。調停手続きにより調停条項が確定すると、債務整理が完了します。

このガイドラインで債務整理を受けられるのは、2015年9月2日以降に起きた災害救助法が適用された自然災害で被害を受けた方です。また実際に利用する際には、年収やローンの負担額などによる個別の審査もあります。具体的なケースで利用できるかどうかは、借入先の金融機関に相談してみましょう。

運用が始まってから日が浅いこともあり、現状では利用した人も債務整理に至った人も、まだ一部に限られているようです。でも、利用できれば、生活を再建する大きな支えになるはずです。今後、何らかの被害に見舞われたときには、一度検討してみるとよいですね。

参考:

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