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【第15回】今現在、1年後、5年後、10年後を同時に考え、30年後は考えない

経済評論家加谷 珪一

世の中は常に変化しています。お金と上手に付き合っていくためには、「世の中の変化」、言い換えれば、「時間の推移」に敏感になっておく必要があります。

今はうまくいっている方法が、10年後も同じようにうまくいくとは限りません。一方で、10年経っても変わらないものもあります。ある時期の価値観や方法に凝り固まってしまうと思考が停止してしまい、変化に対応できなくなってしまうのです。

お金と上手に付き合える人は、今現在のこと、1年後のこと、そして5年後のことを同時に考えて行動します。さらに大きな資産を作ることができる人は、10年後のことも考えています。

一方で、お金との付き合いが上手な人は、30年後のことは考えていないケースがほとんどです。人間の知的活動や経済活動のサイクルを考えた時、30年先のことを正確に予測するのはほぼ不可能だからです。ここは非常に重要なポイントですから、よく覚えておいてください。

いわゆるお金持ちの人は総じて、長期の住宅ローンやひとつの会社に人生のすべてを預けてしまうライフスタイルには否定的です。その理由は、こうした「長い時間」が持つ不確実性というものに敏感だからです。

このコラムでは、金利がどのような仕組みで形成されるのかについて解説したことがあります。金利というのは時間に対するコストなので、一般的に短期の金利よりも長期の金利の方が高くなります。

短期の金利と長期の金利を並べて比較したチャートを、金融の世界では「イールドカーブ」と呼びます。このイールドカーブを見ると、不思議なことが分かります。
本来であれば、期間が長くなればなるほど、どんどん金利が上がっていくはずなのですが、10年を過ぎて、20年、30年という単位になると、それほど金利が上昇しなくなるのです。

これはどういうことかというと、人間の活動サイクルを考えた時、30年も先のことを正確に予測することは難しい、というコンセンサスが市場で確立しているからです。

※写真はイメージです。

人が時代区分について会話する際、しばしば70年代、80年代という言い方をします。これもおそらく偶然ではないでしょう。設備投資のサイクルやイノベーションの進展などにおいて、10年というのは有力な区切りとなります。10年以内であればある程度の予測も可能ですが、20年、30年となってくると、不確実性の方が大きくなってしまいます。

筆者は長期の住宅ローンがすべてダメだと言っているわけではありません。ひとつの会社にすべてを依存するライフスタイルが、絶対的によくないと言っているわけでもありません。

しかしながら、長期の住宅ローンを組むという行為は、30年先についても経済状態が変化しないことへの「賭け」にほかなりません。賭けであるという認識を持たないまま、こうした商品に安易に手を出すのは、リスクが大きいと考えざるを得ません。

最近は仮想通貨への投機が問題となっています。基本的に、何かに「賭ける」というやり方は、資産形成のやり方として好ましくありません。

現状をよくするために最大限の努力を重ね、同時に1年後や5年後のことも考えつつ、時代の変化に合わせて10年先の戦略も変えていくのが、合理的なライフスタイルです。

投資や貯蓄、ローンといった商品について検討する際には、こうしたポイントを忘れないようにしてください。自身のキャリアプランについても同様です。もっとも大事なのは、今の仕事をしっかりとこなして、仕事で高い評価を得ることです。

それと同時に、数年後、そして10年後の対策についても計画的に取り組むことが重要でしょう。しかしながら、30年後のことは誰にも分かりません。大きな変化があっても対応できる余裕を持っておくことが、最大のリスクヘッジとなります。

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