お金を呼ぶ教養塾

【第16回】「数字」はお金の教養そのもの

経済評論家加谷 珪一

「数字」と聞くと苦手意識を持つ人も多いですね。しかしながら、数字が苦手であるにもかかわらず、お金持ちになったという話はあまり耳にしません。数字に強いことは、お金持ちになるための必須要件の一つと言ってよいでしょう。

こういった話をすると「数学は何より不得意だったから……」という声が聞こえてくるのですが、まったく心配する必要はありません。「数学」と「数字」は別物であり、両者はほとんど関係しないからです。

筆者の大学での専攻は原子核工学でしたので、世間一般から見ればコテコテの理工系ということになります。筆者の周囲には、天才的に数学や物理がデキる人がゴロゴロいました。不思議なことに、彼らの多くは「数学」は得意でも、「数字」については意外と苦手でした。
筆者は大学卒業後、技術者や研究者にはならず、ジャーナリストや金融マン、コンサルタントとしてキャリアを積んできました。こうした経験を通じて分かったのは、「数字」に強い人はむしろ文系に多いという事実でした。

数字に強くなるためには、才能はそれほど必要とされないということもよく分かりました。数字に対する力は、トレーニングによっていくらでも向上させることができますから、誰にでも身につけることが可能なのです。

お金に縁のある生活をしようと思うのなら、数学があまり好きではなくても、数字には強くなっておいた方がよいでしょう。

ここでいう数字に強いというのは、物事を考える時に数字のセンスをうまく活用できているのか、ということに集約されます。暗算ができるとか、計算が速いとかといった話はいったん忘れてください。

例えば、数字に強いというのは以下のようなことを指しています。

筆者はリーマン・ショック直後、投資を始めたばかりだというAさんと話をする機会がありました。当時、日本の株価は大幅に下落していましたが、Aさんは長期的に見た場合、株価は上がると考えているようでした。筆者も基本的には同じ見立てです。しかしAさんは、目の前の株価下落が激しいので、怖くてなかなか手が出せない状態のようでした。

※写真はイメージです。

株価が下がっている時に買いを入れるのは勇気が要ります。それは筆者も同じです。筆者はAさんに、「怖いという気持ちは分かりますが、最悪の場合、いくらまで下がると思いますか?」と質問してみました。するとAさんの答えは「まったく分かりません」というものでした。

そこで筆者は再度「では日経平均が1000円になることもあり得るということですね?」と聞くと、何とAさんは「まさか!」と答えたのです。

残念ながら、Aさんには数字の感覚がないのですが、Aさんの考えの何がいけないのか、読者の皆さんはもうお分かりでしょう。Aさんは、いくらまで下がるか分からないと言っておきながら、当時、1万円前後だった株価が1000円に値下がりすることはあり得ないと言っています。

つまり、自身では分からないと言っておきながら、Aさんは何となく、いくら以下にはならないだろうと数字のめぼしを付けているのです。しかし、Aさんはそのことについて自覚がまったくありません。数字に対する感覚がないというのは、このようなことを指しています。

この思考回路のままビジネスや投資をしてしまうと、大変なことになってしまいます。

リスクというものを数字化できず、すべてを情緒や感性で判断してしまう可能性があるからです。もうかりそうな話についても、感覚だけが先走ってしまい、いわゆる「捕らぬタヌキの皮算用」になってしまうこともあるでしょう。

数字に強いという話が、計算ができるとか、数学が得意だといった類いの話とは異なることが、お分かりいただけたと思います。数字に強いというのは、「おおよそ」でよいので、常に頭の中で数字が認識できている状態のことを指します。これができる人とできない人との間には、埋めようのない差がついてしまうのです。

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