今さら聞けない!保険の基本

生命保険の保険料はどうやって決まる?

慶應義塾大学スポーツ医学研究センター 研究員加藤 梨里

生命保険各社がこの4月から、一部の保険の保険料を改定しました。これは、保険料を決めるもとになる統計データの更新によるものです。では、生命保険の保険料は、どのように決まっているのでしょうか?

今回は、生命保険の保険料のしくみを知っておきましょう。

保険にも原価や経費がある

生命保険の保険料は、「純保険料」と「付加保険料」の二つからなります。食品や日用品など私たちの身の回りにある商品の、原価と諸経費のようなものです。生命保険は形が見える商品ではありませんが、民間の保険会社が消費者に商品を提供するために、その内訳を計算して、販売価格にあたる「保険料」を決めています。

原価にあたる部分が、「純保険料」です。モノの原材料費のように、商品が売れても販売者の手元にはお金が残らない部分です。生命保険の場合、契約した人(契約者)が支払った保険料を財源として、被保険者が亡くなって保険金を受け取る人、病気になって給付金を受け取る人への支払いに充てています。そして、契約者全員から集めた保険料の総額と、死亡や病気などになった場合に支払う保険金や給付金の総額が等しくなるようにしています。これを「収支相等の原則」といいます。

よく、保険は「助け合いのしくみ」といわれます。たくさんの人が出し合ったお金で、死などに見舞われた人の保険金をまかなうためです。「純保険料」はこの助け合いのために使われ、保険会社の手元には残らず、加入している人の中で循環しているのです。

これに対して、経費やもうけにあたる部分が「付加保険料」です。私たちの身の回りの商品の販売価格には、その原材料費のほかに、製造機械の費用、お店へ運ぶための輸送費といった経費や働く人の人件費、会社のもうけ分が含まれています。それと同じように、保険会社が生命保険を販売するためにも、商品の開発コストや、営業員などの人件費、宣伝広告費が必要です。会社を継続的に運営するためのもうけを確保する必要もあります。これらが、契約者が支払う保険料のうち、「付加保険料」部分に含まれています。

保険料は「見込み」で算定される

純保険料と付加保険料をいくらに設定するかを決めるには、あらかじめどれくらいの人が死亡するか、どれくらいの経費がかかるかなどを見込んでおく必要があります。そこで、生命保険では「予定率」というものを使って計算します。「予定率」には「予定死亡率」「予定利率」「予定事業費率」の三つがあります。

このうち「予定死亡率」と「予定利率」は、純保険料の計算に用いられます。「予定死亡率」とは、年齢、性別ごとの死亡率を、過去の統計データをもとに見込んだ数字です。たとえば「40歳男性の予定死亡率は0.001」のようにあらわされ、1年間に1000人中1人が死亡することを見込んで、40歳男性の保険料の算定に反映されます※。予定死亡率を高くすれば、それだけ多くの保険金を準備しておかねばなりませんから、保険料も高く設定することになります。逆に予定死亡率を低くすれば、保険料を安く設定できます。

※実際にはより詳細な数値を用いています。

「予定利率」は、将来の保険金の支払いまでに、保険会社が資産運用によって得られる利益を見込んだ数字です。保険の契約は、一般的に長期間にわたるため、契約者から受け取った保険料のお金を誰かの保険金として支払うまでに、時間がかかる可能性があります。仮に、いま集めた保険料をもとに10年後に100万円支払うと考えてみましょう。10年後の100万円を現金だけで準備するには、いまの時点で100万円分の現金を集めなければなりませんが、預金や債券など運用利息のつくもので用意すれば、いまは手元に100万円分がなくても足りるかもしれません。たとえば90万円を集めて、10年後までに100万円に増やしておけば足りるはずです。つまり、将来の保険金・給付金の財源のために、いま集める保険料はある程度、割り引いておくことができるのです。割り引く利率のことを「予定利率」といい、その分だけ保険料が割り引かれて算定されます。予定利率を高く設定すれば、多く割り引ける分、保険料を安く設定できます。逆に予定利率を低くすれば、保険料は高くなります。

「予定事業費率」は、付加保険料部分の算定に用いられる数字です。保険会社が新しい契約を得るための営業員の人件費、契約の管理や事務、保険金の支払いや査定など、さまざまな業務にかかる費用を見込んで保険料に反映させます。

予定率に関わるデータが改定されると、保険料は改定される

このように、生命保険の保険料は、原価や経費に関わる見込みの数字をもとに決まります。見込みの数字は、おもに公的な統計データを基準とする場合や、それをもとに保険会社が独自のデータを合わせて設定する場合があります。経済や社会状況の変化とともに新しい統計データが公表されると、保険会社も新しいデータに合わせて自社の基準を見直すため、私たちが支払う保険料も改定されることがあるわけです。

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