お金を呼ぶ教養塾

【第20回】物事の是非と損得勘定をしっかり切り分ける

経済評論家加谷 珪一

経済的に豊かな生活を送りたければ、物事の是非や好き嫌い、損得についてしっかり区別する必要があります。筆者は、お金のために物事の是非を曲げることについて賛成しません。お金のために信念を曲げてしまうと、結果的に自分にとってよい影響をもたらさないからです。しかし、どこまでが是非で、どこまでが損得なのか区別が付かない状態で判断することは、もっと良くないことです。

仕事でも人間関係でも同じですが、正しいことと、自分の利益になることが一致するとは限りません。正しいことをしようと思うとあまりもうからず、もうかることは、自分にとって正しくないことだったりします。両者がうまく合致せず、苦労している人も多いでしょう。

しかし、常に正しいことと、もうかることが、対立しているわけではありません。対立しているように見える話も、実は物事の是非と損得が明確に区別できていないだけというケースも多いのです。

物事の是非と損得には、以下の四つの組み合わせがあります。

①正しいことであり自分が得すること
②正しいことだが自分が損すること
③間違っているが自分が得すること
④間違っていて自分も損すること

当然のことですが、すべてが①であることが望ましいのですが、必ずしもそうなるとは限りません。場合によっては③を選ぶこともあるでしょうし、②を選択せざるを得ないこともあるでしょう。

※写真はイメージです。

しかしながら、どれを選択するのかという以前に、この組み合わせについて、きちんと理解できていない人が意外と多いのです。ひとつの例をあげてみましょう。

ある企業で、売上高が低迷している部署を統廃合するプランが検討されています。こうした話には必ず反対意見が出てくるものですが、皆が同じ理由で反対するわけではありません。

ある人は③の立場で反対を表明します。統廃合するという会社の判断は正しいと思っていますが、統廃合されてしまうと自分が損をするので反対しています。③の人の行動は一種の交渉ゲームといってよいでしょう。しかし、ある人は④の立場で反対します。
その部門を統廃合するという会社の判断について、本当に良くないことと考えており、心の底から反対しているわけです。

ここで④の人が、自分の信念からその部署の統廃合に反対しているのであれば、それは信念ですからやむを得ないでしょう。しかし、多くの場合、そうではありません。自分が損をするのは嫌だという意識が強く働き、それが転じて、物事の是非として、統廃合は良くないと考えてしまっている人が意外と多いのです。

④の立場の人の一部は、実は損得勘定で動いていますが、本人にその意識がありません。一方で、③の人は、完全に損得勘定で動いていますが、本人にその意識があります。どちらがビジネスや人間関係でうまくいくのかは明らかです。

③の人であれば、自分の感情がよく分かっていますから、ほどよいところで交渉をまとめることができますし、わだかまりも残りにくいでしょう。しかし④の立場で、自身に損得勘定が強くあることを自覚していない人は、落としどころの見極めが大変です。しかも、仮に何らかの交渉が成立しても、感情的には納得していませんから、双方にわだかまりが残ることになります。

どんな人にも損得勘定はありますし、これを無理に否定することはよい結果をもたらしません。自分の感情がどこから出ているかをしっかり考え、その上で、物事の是非を判断していく必要があるでしょう。

お金を呼ぶ教養塾

【第36回】世の中に「オイシイ話」は転がっているのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第35回】他人へのプレゼントにはお金をかけた方がよい理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第34回】豊かになりたければ「怒り」を否定してはいけない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第33回】会食にかかるお金についてどう考えるか

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第32回】決断が速いことはなぜ重要なのか

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第31回】お金のセンスをトレーニングするもっとも効率的な方法は?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第30回】お金と見た目の関係

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第29回】割り勘よりおごりの方がよい理由

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第28回】ありがとうと言える人はお金持ちになれるという話は本当?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第27回】高いモノは良いモノか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第26回】どんぶり勘定の方がお金持ちになりやすい?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第25回】お金はお金のあるところに寄ってくるという話は本当?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第24回】お金はまとまっていると意味がある

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第23回】自分の一生と冷静に向き合ってみよう

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第22回】お金持ちになれる趣味の持ち方とは

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第21回】お金は天下の回り物

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第20回】物事の是非と損得勘定をしっかり切り分ける

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第19回】相関関係と因果関係

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第18回】「そのうち」は永遠にやってこない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第17回】率と絶対値の違いをマスターする

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第16回】「数字」はお金の教養そのもの

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第15回】今現在、1年後、5年後、10年後を同時に考え、30年後は考えない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第14回】金利の意味を知ればお金が寄ってくる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第13回】お金持ちはお金持ちになってお金持ちになる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第12回】時間には値札が付いており、その値段は刻々と変わる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第11回】お金持ちほどお金を使わなくなる話のホント・ウソ

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第10回】消費してよいお金とダメなお金の違い

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第9回】学歴とお金は関係あるの?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第8回】理解と共感の違いを理解できると、自身の経済力は飛躍的に高まる

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第7回】お金を遠ざける思考回路、お教えします

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第6回】経済的自由を得ることの意味

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第5回】お金が貯まらないのは、承認欲求が強すぎるから

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第4回】幸せはお金で買えるのか?

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第3回】年収1000万円では「お金持ちの生活」を送れない

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第2回】お金に縁のある「教養人」は、徹底して資産額を重視する

経済評論家加谷 珪一
  • 投資
お金を呼ぶ教養塾

【第1回】お金に縁のある人は、常に相手の目線で物事を考える人

経済評論家加谷 珪一
  • 投資

あなたにおススメの記事

pagetop