お金を呼ぶ教養塾

【第21回】お金は天下の回り物

経済評論家加谷 珪一

お金は天下の回り物という言葉がありますが、この言葉ほど、お金に関する真理を言い表したものはないでしょう。世俗的な意味でもその通りですし、経済学上の真面目な話でも同じ結論が得られるからです。

この言葉は一般的に、世の中は浮き沈みが激しいので、お金持ちが手にしているお金は永遠ではないという意味で使われています。これが転じて、ケチケチしても意味がない、さらには浪費癖のある人なら「パッと使ってしまえ」というニュアンスで使われることも多いようです。

しかしながら、経済的に成功した人の多くが、お金をケチるとお金持ちになれないという主張をしています。成功者に共通する発言というのは、それなりに意味があると考えるべきですから、守銭奴ではお金持ちになれないというのはある程度、本当のことのようです。

このコラムを読んでいる方でしたらお分かりいただけると思いますが、これはお金を浪費してよいという話ではありません。ケチケチするなというのは、必要な時には思い切ってお金を使わなければダメだと解釈すべきでしょう。

歌手のスガシカオさんが、今、何をすべきか分からないという若者に対して「貯金しろ」とアドバイスしたのは有名な話ですが、その真意は無意味にお金をためろということではなく、チャンスが巡ってきた時に、お金を理由に断念することがないようにという意味です。つまり、使うべき時には使うということが大前提ということになります。

スガさんの場合はプロデビューというチャンスに際して機材の購入などに惜しみなくお金を使ったわけですが、これは人によって様々でしょう。起業や投資はもちろんのこと、学び直しや転職などの際にも、まとまったお金があるのとないのとでは、決断が大きく変わってくるはずです。

必要な時に必要なものに対してお金を投じることができるのかどうかが、お金と仲良くなれるかの分かれ道です。

※写真はイメージです。

実はこの話は経済学的にも理にかなっています。私たちは銀行に預金をしていますが、銀行は私たちから受け取った預金を保管しているわけではありません。預金として受け取ったお金は、融資などの形で企業に提供されており、そこで新しい生産活動に使われています。

つまり銀行には預けたお金は存在していないのです。銀行は預金の引き出しに備えて一定金額はキープしていますが、それ以外は将来のために有効活用しています。

よくニュースで日本の個人金融資産は1800兆円といった話を耳にすると思いますが、この話も銀行預金と同じと考えてよいでしょう。1800兆円がそのまま眠っているわけではなく、すでに何らかの投資や融資に使われており、社会に出回っているのです。そして投資や融資に回されたお金こそが、将来の経済成長の原動力となっています。

お金持ちの人は、たくさんお金(現金)を持っていると思われていますがそうではありません。当面、使わないお金の大半は、株式や債券、不動産などの形態になっており、現預金ではないのです。

しかしながらこうして運用に回されたお金は、新しい事業に有効活用され、あらたな富を生み出します。お金を提供した人には、利子や配当という形で報酬が与えられます。

つまり、お金を稼ぎ、それを新しい富の創造に再投資できた人こそが、もっとも裕福な人と考えてよいでしょう。これは、お金は天下の回り物という話とまったく同じことを意味しています。

お金持ちの人はケチケチせず、使うべきところには使うといった話や、お金持ちの人の支出にはメリハリがあるといった話は、日々のお金の使い方のことだけを指しているわけではありません。稼いだお金を上手に世間に提供できているのかというマクロ的な視点も含まれているのです。

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