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【第24回】お金はまとまっていると意味がある

経済評論家加谷 珪一

このコラムではお金と時間には密接な関係があると説明してきました。お金と時間が近い存在であるなら、その振る舞いも似てくるはずです。まとまっていると価値がさらに上がるという点でも両者はよく似ています。

連続した1時間と、細切れになった10分の6回は同じ1時間ですが、その実質的な価値はまるで異なります。大きな作業を行う場合には、その準備も必要となるため連続した時間がないと作業に取りかかれません。また作業から作業への切り替えにもムダな時間が生じますから、時間はまとまっている方が圧倒的に有利です。

新しい知識を得たり、体系的にものごとを理解したりする場合には、特にその傾向が顕著となります。細切れの時間だけでは、腰を据えて勉強できないことは明白でしょう。同じ1時間であっても、まとまって1時間を確保できることには大きな意味があるのです。

時間を有効に使える人は、このあたりの法則を熟知しています。このため、できるだけ中断が入ったり、移動が伴ったりしないよう、スケジュールの調整に万全を尽くすのです。1日の中では小さな差でも、これが1年、5年という期間になると大きな違いとなってきます。

その意味で、アポイントの調整というのは、ビジネスパーソンにとって極めて重要な仕事のひとつといってよいでしょう。アポ入れを上手に調整できるかどうかで、一生の中で使える時間が大きく変わってくるのです。

これは、お金にとってもまったく同じことが言えます。同じお金でもまとまったお金とそうでないお金とでは、その意味がまるで違ってきます。まとまったお金から得られる効果は絶大なものであり、あらゆる局面で決定的な違いとなって表面化します。

まとまったお金があると、何かのトラブルに遭遇した時でも冷静さを失わずに済みます。事故にあったり、病気にかかったりしたとしても、当座の資金があればトラブルの解決を最優先に考えることができるでしょう。しかし、まとまったお金がないと、明日の生活をどうするのかというところに関心が行ってしまい、場合によっては問題解決がおざなりになってしまうのです。

※写真はイメージです。

ビジネスや投資をする場合でも、お金がまとまっていると何かと有利です。

毎年10万円を10年かけて積み上げれば100万円になります。まとまったお金が100万円あったとすると、それも同じ100万円です。しかし、まとまった100万円は、その全額を今すぐ使うことができますが、10年かけて獲得する100万円は10年経たないと全額が手に入りません。この違いは極めて大きいのです。

ビジネスや投資のチャンスというのは、いつも目の前に存在しているわけではありません。ある時期に極めて大きなチャンスがやってくるというケースが多いのです。ビジネスや投資で成功できる人は、こうしたチャンスを絶対に逃しません。しかし、大きなチャンスがやってきた時にまとまったお金がないと、そこで得られる利益も限定的となってしまうでしょう。

それだけではありません。人は弱いもので、チャンスを生かせなかったという思いがあると(つまり機会損失)、次の機会に無理をしてしまう傾向が顕著です。つまり将来の行動にも影響を与えてしまうのです。いつでも動けるという余裕があると、判断も冷静になりますし、その後の心理的な負担も軽くなるものです。

これに加えて、お金に余裕があると、不利な取引を回避できるというメリットがあります。手元のお金に余裕がないと、どうしても視点は短期的になってしまいます。まとまったお金があれば、自分では気付かないうちに不利な取引をしてしまうリスクを回避できるのです。

以上の話を総合すると、なぜ貯蓄が必要なのか、おぼろげながら見えてくるのではないでしょうか。

貯蓄はまとまったお金を手にするために行うものであって、貯蓄そのものを目的にしてはいけません。まとまったお金があれば、投資でもビジネスでも非常事態の時でも、冷静さを保ち、合理的に行動する余裕を与えてくれます。これは、なぜお金が必要かという問いに対するひとつの答えといってよいでしょう。

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