今さら聞けない!保険の基本

地震保険のしくみを知ろう

慶應義塾大学スポーツ医学研究センター 研究員加藤 梨里

地震によって自宅や家財が損害を受けたときに補償される地震保険。2016年度現在、全国で火災保険に契約している世帯のうち62.1%が付帯しています。2011年に起きた東日本大震災をきっかけに認知度が高まり、付帯率は年々少しずつ上昇しています※1。

そこで今回は、地震保険のしくみを確認しておきましょう。

地震が原因の損害を補償する「地震保険」

地震保険は、地震を原因として発生した災害で、住宅の建物や家財が損害を受けたときに補償される保険です。地震によって自宅が火事になった、壊れた、自宅や家財が地震による土砂崩れで埋没した、地震の後の津波で流されたといった災害で被った損害をカバーします。また、噴火によって同様の災害に見舞われたときも対象になります。

自宅のリスクに備える保険といえば火災保険があります。しかし一般的な火災保険では、たとえば火災であっても、地震や噴火・津波を原因とした火災は対象にならないのです。ですから、地震による自宅のリスクに備えるには、火災保険とは別に地震保険が必要です。

地震保険は火災保険にセットで契約する

地震保険は単独で契約することはできません。必ず、火災保険に付帯して契約することになっています。

契約する際には、火災保険と同様に保険金額を設定しますが、これも火災保険の保険金額を基準に決めます。設定できる保険金額は火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で、かつ建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限です。つまり、火災保険金額と同額やそれ以上に地震保険金額を設定することはできませんし、かりに火災保険金額が2億円だったとしても、地震保険金額を1億円にすることもできません。

※写真はイメージです。

どこの保険会社でも保険料は同じ

一般的な火災保険の保険料は保険会社によって異なることがありますが、地震保険の保険料は、建物のある都道府県と、耐火構造であるかどうかによって決まります。ですから、同じ地域で同じ構造なら、どこの保険会社で契約しても保険料は変わりません。たとえば東京都で耐火構造の場合、保険金額1000万円なら保険料は22,500円です※2(2018年3月現在、保険期間1年、一時払い、割引制度なしの場合)。建物も家財も、保険料は同じです。

地域による保険料の差は、過去に大きな地震が発生した。かどうかは直接には関係ありません。将来に予測される地震の確率、揺れの強さ、想定される津波の規模や範囲などによって決まります。政府の地震調査研究推進本部という機関が、これらのデータをもとに万が一地震が発生した場合の被害や被災した世帯へ支払う保険金を予測し、その結果を保険料に反映させています※3。

ですから、近年に大規模な震災が発生した阪神、東北地域の保険料が特に高いというわけではありません。たとえば宮城県の保険料は9500円で、全国のなかでほぼ中間の水準です。一方、全国で地震保険料が最も高いのは千葉県、東京都、神奈川県、静岡県の22,500円。逆に低いのは岩手県、秋田県、山形県、栃木県、群馬県などの6,800円です※2。

損害を受けたら地震保険でいくら受け取れる?

いざ、震災に見舞われて自宅が損害を受けたときには、その程度に応じて地震保険から保険金が支払われます。損害の程度は全損、大半損、小半損、一部損の4段階に分かれており、それぞれにつき保険金額の100%、60%、30%、5%が支払われます。

建物の場合、「全損」とされるのは地震またはそれを起因とした災害によって土台、柱、壁、屋根など主要構造部に受けた損害額が、時価額の50%以上である場合や、焼失・流失した部分の床面積が、その建物の延床面積の70%以上である場合です。家財の場合は地震などによる損害額が保険の対象である家財全体の時価額の80%以上となった場合に「全損」とされます。

損害の程度は、契約している保険会社が被害状況を確認して判定します。被災した後に事故受付の窓口に連絡すると、担当者が現場を訪問して調査します。保険金の請求には原則として保険契約の証券などが必要ですが、万が一、地震などで自宅の建物や家財に損害を受けたら、証券をなくしてしまうこともあるでしょう。自治体から発行されるり災証明書や本人を確認できる書類などがあれば受け付けてもらえることもありますので、まずは事故受付の窓口に確認してみましょう。

自然災害はいつ見舞われるかわからないものですが、いざ起きるとその被害は甚大になることもあります。日頃からの備えのひとつとして、地震保険のことも改めて理解しておきましょう。


※1.損害保険料率算出機構「グラフで見る!地震保険統計速報」
https://www.giroj.or.jp/databank/earthquake.html
https://www.giroj.or.jp/publication/statistics/statistics_2016_4.pdf#view=fitV

※2.財務省「地震保険制度の概要」
http://www.mof.go.jp/financial_system/earthquake_insurance/jisin.htm

※3.損害保険料率算出機構「これでナットク!損害保険のカカク」
https://www.giroj.or.jp/publication/pdf/price.pdf#view=fitV

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