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【第9回】株主優待の落とし穴

藤原FP事務所代表藤原 久敏

株主優待とは、企業が株主に対して、自社商品や買い物券、割引券といったものを贈呈するものです。
たとえば吉野家では、年間6,000円分ものお食事券がもらえます。株価は約1,800円(最低購入価格は1,800円×100株=約18万円)なので、優待利回りは3%超となり、非常に魅力的ですね。現在、上場企業の4割程度が優待制度を実施しており、人気の制度となっています。
ただ、そんな株主優待にも「落とし穴」はあります。
そこにうっかりハマってしまわぬよう、当コラムでは、「初心者」「中級者」「上級者」がそれぞれ陥りやすい「落とし穴」についてまとめてみたいと思います。

【初心者】権利確定日

通常、株主優待は年1回もしくは2回受けられます。
そして、その優待を受け取るには、「権利確定日に株主である」必要があります。権利確定日とは、一般には決算日となっています(年2回優待実施の場合は、決算日と中間決算日)。3月末決算企業であれば3月31日ですね(年2回優待実施の場合は、3月31日と9月30日)。その権利確定日に株主であることが、優待を受け取れる条件なのです。
ただ、落とし穴としては、権利確定日に買っても遅いということ。
株式取引のルールとして、約定日(売買が成立した日)から、その日を含めて4営業日目に受け渡しが行われます。なので、権利確定日が3月31日なら、3月28日には約定していないとダメなのです。29日に買っても優待はもらえません(次の権利確定日まで待たないといけない)。ちなみに29日を権利落ち日と言い、この日に株価はガクンと下がることが多いのです。

【中級者】優待獲得条件(保有株数・期間)

上場株式の売買では、100株単位での取引となります。なので、冒頭で紹介した吉野家の場合、1株の値段(株価)は約1,800円ですが、実際に購入するには約18万円(約1,800円×100株)必要となるわけです。そして、株主優待を実施している企業の多くは、その最低取引単位である100株保有していれば、優待を受けることができるのです。
しかし、ここで落とし穴があります。
中には100株ではなく、200株(もしくはそれ以上)保有していないと優待がもらえない企業もあるのです。たとえば南海電気鉄道(優待:6回乗車カード)は200株、ブロードリーフ(優待:クオカード5,000円分)は500株以上の保有者に限り、株主優待を受けることができます。
また、「継続保有1年以上」などと、長期保有要件がつく企業もあります。その場合、2回連続(権利確定日が年2回の場合)で株主名簿に掲載されている必要があるので、要注意ですね。
このあたり、しっかり調べないと気付かなかったりもします。株主優待に慣れてきた人が、うっかり見落としがちなところと言えるでしょう。

※写真はイメージです。

【上級者】突然の優待廃止・改悪

私事ですが、最近、保有していたエリアクエストの優待(クオカード1,000円分または食事券2,000円相当)が突然廃止となってしまいました。
ただ、このような突然の優待廃止は、わりとよくあることなのです(私自身、これまで何度も経験しております)。株主優待とは、言わば、企業からの「感謝の気持ち」なので、突然廃止(もしくは改悪)となっても、文句は言えません。そして優待廃止(改悪)となると、株価は大幅に下落します。これは優待投資の大きなリスクと言えるでしょう。とくに優待が魅力的であればあるほど、その下落幅は大きく、先ほどのエリアクエストの場合、一気に3割ほどダウンしました。
しっかり気を付ければ避けられる「権利確定日」や「優待獲得条件(保有株数・期間)」と違って、突然の優待廃止リスクを避けるのは難しいものですが(なので上級者枠としました)、一応の目安として、
以下のケースの場合、優待廃止(改悪)リスクは高いとされています。
①業績が悪化している
②優待利回りが異常に高い
③優待がクオカードや商品券である(買い物券や割引券と違って、企業側の負担が大きい)
④新しく創設されたばかりの優待である
ちなみに前述のエリアクエストは、①はともかく、②優待利回り7%程度、③クオカード、④今年3月に創設されたばかりと、上記ケースにかなり当てはまっていたわけです。

【番外編】必要ない優待銘柄を買ってしまう

では最後に、初心者か上級者かに関係なく、誰もがハマりやすい落とし穴を一つ紹介します。
それは、優待利回りに目を奪われ、自分にとって必要ない優待銘柄を買ってしまうことです。さらには、その優待をムリヤリ消費すべく、時間と労力を無駄にしてしまうこと。
私は普段映画をまったく見ないのですが、年間8枚の映画無料券(優待利回り10%超)に引かれ、東京テアトルという銘柄を購入した経験があります。その結果、見たくもない映画を無理に見に行き、時間と労力を無駄にしました。また、年間4枚もの1日ジム利用券(優待利回り7%)目当てにルネサンスを買ったのですが、近所にジムはなく、わざわざ電車賃を払って行った苦い記憶があります。
必要ないのに、お得だからつい買ってしまった……は、買い物でもよく陥る心理です。
そこをグッと耐えるのは難しいことですが(私もなかなかできておりません)、なんとか心がけたいものですね。

※株価等の情報は、2018年10月1日時点のものです

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