お金を呼ぶ教養塾

【第27回】高いモノは良いモノか?

経済評論家加谷 珪一

お金の使い方が上手な人は、いわゆる「安物買いの銭失い」はせず、高くて質のよいモノにお金を投じると言われています。この話はウソではありませんが、だからといって高いモノばかり買っていてはお金は貯(た)まりません。お金と仲良くなるには、値段と品質の関係について詳しくなる必要があります。

一般的に、価格が高い製品の方が品質も高いのですが、製品と価格の関係は正比例ではありません。品質を2倍にしようと思ったら、価格は4倍になるとイメージすれば分かりやすいでしょうか。この傾向は、高級品になればなるほど顕著です。

高級ワインの中には目が飛び出るような値札が付いているものがあります。同じぶどうの品種を使った銘柄でも、1本3000円のものもあれば、1本10万円というものもあります。さらに言えば、同じ銘柄のワインでも、ぶどうの出来がよかったとされる年のビンテージ(収穫年)になると価格が跳ね上がります。

価格の高いワインはその分だけおいしいのは間違いないでしょう。ワインの世界はグローバルなルールが確立しており、好き嫌いは別にして、おいしいワインの定義がハッキリしています。価格が高いワインは、おいしいワインの条件を満たす割合が高くなってきますから、値段相応という評価が下せるわけです。

しかしながら、10倍の値段を出せば、感覚的に10倍、おいしくなるのかというと決してそんなことはありません。値段が10倍になっても、おいしさが増加するのはごくわずかとなり、値段が上がれば上がるほど、その効果も小さくなっていきます。

なぜそうなってしまうのかは、販売される量を考えれば想像できると思います。

値段が高ければ高いほど、人は商品を購入しなくなります。1000円であれば100個売れたものも、2000円になると50個になってしまう可能性があるわけです。さらにケタが上がると、販売数量はガクッと落ちることになるでしょう。そうなってくると、1個の商品から得られる利益の額を大きくしないと、事業全体として得られる利益の額が小さくなってしまいます。

※写真はイメージです。

価格が100円で、1個あたりの利益が10円の商品を1万個売る方が、価格が15万円で、1個あたりの利益が5万円の商品を1個売るよりもはるかに効率がよいわけです。価格が高い商品は販売数量が少ないため、所定の利益を得るために、価格は極めて高く設定せざるを得ません。

したがって、コストパフォーマンス(価格対性能比:いわゆるコスパ)を追求する場合には、あまり高価なモノは買わない方がよいという結論が得られます。逆に価格が著しく安いものについても、激しく品質が低下する可能性がありますから、やはり避けた方がよいということになるでしょう

価格と品質のバランスがもっともよい状態にある製品やサービスを買い続けることができた人が、もっともお金と仲良くなれるという仕組みです。

少し話がそれますが、価格と品質の関係が正比例になっていないことにはそれなりの意味があります。その理由は、こうした価格のゆがみというものが、高級品市場を形作る原動力になっているからです。
先ほど、高級ワインは値段が10倍になったからといって味が10倍良くなるわけではないと述べましたが、そうであるからこそ超高級ワインには価値が出てきます。

10倍の値段を出しても、少ししか味が良くならないものに多額のお金を投じる行為というのは、考えようによっては最高の贅沢(ぜいたく)といえます。客観的に見ればムダでしかないのですが、ここにお金を投じることができる人は、相当なお金持ちということになります。つまり、こうした商品を気軽に購入できることはお金持ちのシンボルとなり得るわけです。

しかしながら、こうしたお金の使い方をしていては、いつまで経ってもお金は増えていきません。品質と価格の最適解を見つけることは、まとまったお金を得るための重要なスキルといってよいでしょう。

お店に行ってモノを買ったりサービスを受けたりする時には、必ず価格とサービスの兼ね合いについて自問自答するようにしてください。簡単な目安としては2倍の値段を出しても買いたいと思えるものならば、その商品やサービスを購入する価値があります。そうでなければ、少し深呼吸してから最終判断した方がよいでしょう。

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