お金を呼ぶ教養塾

【第30回】お金と見た目の関係

経済評論家加谷 珪一

人は見た目が9割とよく言われます。雑誌などの記事を見ると、お店の人によい対応をしてもらいたければ、靴に気をつけた方がよいなどと書いてありますから、見た目でお金の有無を判断されているのはある程度、事実のようです。では、お金と見た目にはどのような関係があるのでしょうか。

ブランド物はお金持ちの「記号」

世の中には、お金があることを周囲に見せびらかすように、わざわざブランド物を身にまとい、あえて派手に振る舞う人が一定数います。いわゆる成り金と呼ばれる人たちです。

彼らがこうした行動を取るのは、周囲の人々に、自分がお金持ちであると認識して欲しいと考えているからです。つまり、多くの人は、高級時計やブランド物の服を見ると、相手はその人のことをお金持ちと認識するわけです。このような状態のことを哲学的には、「ブランド品はお金持ちを表す記号である」と表現します。

記号というのは、モノや言葉、音楽などが、特定の意味合いを示す作用のことを指します。ブランド物とお金持ちであることは直接関係しませんが、人はこれにお金持ちの象徴という意味付けをします。これによって、ブランド物には、お金持ちという特定の意味合いが発生するのです。

哲学における記号論の世界では、ブランド物そのもののことを「シニフィアン」と呼びます。一方、それから想起されるお金持ちというイメージのことを「シニフィエ」と呼びます。記号の作用は、シニフィアンとシニフィエの両方がそろって初めて成立するわけです。

シニフィアンは言葉にも当てはまります。ある人が「飛行機のビジネスクラスに乗った」と言ったら「ずいぶんお金持ちですね」と皮肉を言われるかもしれません。この時も「ビジネスクラス」という言葉が、お金持ちの記号として作用しているわけです。ビジネスクラスという言葉そのものはシニフィアン、お金持ちはシニフィエです。

実は人のコミュニケーションは、こうした記号論的なものにかなり支配されています。冒頭で「人は見た目で9割が決まる」という話を紹介しましたが、感情的にはともかくとして、記号論という視点に立てば、人が見た目で評価されていることなど、ごく当たり前の話なのです。

では私たちはここから何を学べるでしょうか。

※写真はイメージです。

ドライに考えて利用すればよい

人の評価がこうした記号で成り立っているのであれば「あの人はお金持ちだ」といった評価はすべてバーチャルなものであると理解できます。わたしたちはバーチャルな評価の中で、怒ったり、喜んだりしているわけですが、考えてみれば、これほど空虚な話はありません。

一方、もっとリアルな視点で考えれば、人の評価というのは簡単に操作することができるとも言えます。

ブランド物で身を固めればお金持ちと見えるのであれば、そう見て欲しいという人にとっては、話はシンプルです。いわゆる成り金の人は、ある意味で非常に合理的なわけです。

こうしたことを総合的に考えていくと、私たちは日頃からどう振る舞えばよいのか分かってきます。

高級ブランドを身=お金持ち、というのはあくまで記号に過ぎませんから、自分がいくら高級品を身につけたからといって自分自身の経済状態が変わるわけではありません。自分に自信をつけるため、自分のアイデンティティーを確立するために、高いモノを身につけるのはやめた方がよさそうです。

しかし人間関係上、戦略的にお金があるように相手に見せた方が有利であるならば、あえて高い服を着たり、高級時計を身につけたりするのもひとつの作戦といえるでしょう。あくまでこうした記号は道具でしかありませんから、必要に応じて利用すればよいのです。

したがって、ある程度、高級なお店に行くのであれば、わざわざ安い服を着ていく必要はなく、高い服で行った方が有利なのは間違いありません。一方、ふだんからむやみに高級品ばかり買っていてはいつまで経っても経済的に豊かになることはできません。要はバランスがすべてなのです。

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