南沢奈央さんの「わたし遺産」とは?by 三井住友信託銀行

「伝えたいことを書く」って大切にしたい

三井住友信託銀行「わたし遺産」

あなたの心にのこる、未来へと伝えたい「人・モノ・コト」。三井住友信託銀行が主催する第6回「わたし遺産」の募集が始まった。テレビや映画、舞台などで多才な活躍を見せる女優・南沢奈央さんにとっての「わたし遺産」とは何か――。お話を伺う中で、南沢さんとご家族との絆の深さが伝わってきた。

手紙・メモ・交換日記・・・ 日常的だった南沢家

わたしの実家では、冷蔵庫にホワイトボードが貼ってあって、伝言板のように家族みんながそこに連絡事項を書いたり、何気ないメッセージを書いたりする習慣があったんです。だからなのか、「伝えたいことを書く」というのは、私にとってはすごく自然なことで、小学生の頃から家族5人で手紙のやり取りや交換日記もよくしていました。父が仕事で忙しそうな時は、子ども3人で「お仕事、頑張ってね」というような手紙を書いたり、両親の誕生日や父の日、母の日なんかには、普段はなかなか言えないような感謝の気持ちを手紙にして、「後で読んでね」という感じで渡していました。面と向かって口にするのは恥ずかしいんですけど、手紙だと全然恥ずかしくないんです。

わたしが大人になってからは、仕事で帰りが遅くなったり、うまくいかないことがあって悩んでいたりする時に、家族からの手紙が部屋に置いてあることが何度もありました。そんなに長文の手紙ではなくて、メモ帳をビリっと破ったようなものに「応援してるからね」とか「ちゃんと寝なさいね」とか、3行くらいのちょっとしたメッセージが書いてあるんです。そういう一言がすごくうれしかったし、励まされましたね。
2年くらい前に一人暮らしを始めてからは、仕事が忙しくてなかなか家族と会えない日々が続くことも多くなりました。そういう時に母がごはんを作ってやって来て、わたしがいない間にこっそり冷蔵庫に入れておいてくれることがあるんです。その際には必ず「ちゃんとごはん食べてる?」とか「これ食べて頑張ってね」とか、一言添えた手紙が置いてあって。それを見た時は、思わずジンときちゃいましたね。なじみのある母の手書きの字から、優しさが直に伝わってくる感じがありました。

追い詰められた高校受験。母の手紙に心を救われた

もうずいぶん昔のことですが、高校受験の時に母が手紙をくれました。あの頃は、毎日夜遅くまで勉強をしていて、必死でしたね。国語や英語は得意だったのですが、社会や理科が苦手で、いくらやっても点数がなかなか伸びず、精神的にもつらい日々でした。もちろん家族は応援してくれましたし、わたしもそれに応えたいと思って頑張るんですが、志望校の合格ラインには達しなくて、家族の応援をプレッシャーに感じてしまうくらいになっていたんです。

そんな状態で迎えた試験当日の朝に、母から手紙をもらいました。これまでずっと頑張っていたのを見ていたよ。結果がどうであれ、あなたの頑張りが消えるわけではないし、お母さんはあなたの味方だよと、書かれてありました。それを読んだ時、すごくホッとしたんです。第一志望に受からないと人生が終わるというくらいまで思い詰めていたのですが、「結果が全てじゃないんだ」と、素直に思えました。「これまで頑張ってきたことに意味がある」と思うことができて、すごく楽になったんです。結局、第一志望には受からなかったのですが、頑張って勉強をしていた時間は無駄にならないという実感がありましたし、最後まであきらめなかったという達成感もありました。振り返ってみると、かけがえのない経験ができたと思うんです。

想いあふれる手紙たちが、「わたし遺産」

家族からもらった手紙は、メモ書きのようなものも含めてどれも捨てられなくて、いまだにすべて残しています。これからも、ずっと大切に残しておきたいものですね。きっと、それがわたしにとっての「わたし遺産」なのだろうと思います。家族が恋しくなった時、もらった手紙を読み返すのですが、その手紙をもらった時の気持ちが蘇ってくるんです。高校受験の時のこともそうですし、この仕事を始めた時のことや、家族から離れて暮らす時のことも。あの時こんなことで悩んでいたんだなとか、こういうところが弱かったんだなとか、当時とは違って客観的に自分を見ることもできますし、初心を思い出させてくれることもあります。読み返した時にいろんな思いに浸れるので、やっぱり手紙が好きなんだなって思います。

それに、手紙って本当に人それぞれで、鉛筆で書く人もいれば、ボールペンで書く人もいて、ボールペンだったらよく見ると鉛筆で下書きをしている人もいます。字はどんなふうで、どんな便箋を使っているのかなど、書いた人のことが見えてくるというか、想像が広がっていくので楽しいんです。普段の生活では、どうしてもスマホでやり取りをすることが多くなるのですが、時間をかけて手を動かし、「伝えたいことを書く」っていう文化はなくならないでほしいなと思いますし、わたし自身も大切にしていきたいと思うんです。

第二の故郷は北海道の十勝。やっぱり手紙でつながっています

以前、仕事で北海道の十勝の酪農家さんを訪問し、どんな仕事をしているかを実際に手伝いながら、体験させてもらったことがありました。牛の乳搾りをしたり、えさをあげたり、散歩をさせたり。その時たまたま子牛が生まれるところにも立ち会えて、生まれて初めてのミルクを子牛にあげたりもしました。元々は獣医師さんになりたかったというくらい動物が好きなので、そういう体験ができたのがとてもうれしくて。東京では考えられないような、時計をあまり気にしないような生活が新鮮でしたし、酪農家のご夫婦もとっても温かい方でした。心を開いて接してくださったのですっかり打ち解けて、自分でも驚くほど居心地の良さを感じたんです。また遊びに行きたいと思い、東京に帰った後、貴重な体験をさせてもらった感謝の気持ちを手紙にして、ご夫婦に送りました。するとご夫婦からも手紙が返ってきて、いまだにやり取りは続いているんです。たった一度しか行ってないのに、ご夫婦のことや十勝の景色がとても強く心に残っていて、まるで第二の故郷ができたような感じです。実際にご夫婦のことを「お父さん」「お母さん」と呼んでますし(笑)。わたしの仕事を「応援してる」と、いつも言ってくれて、すごくうれしいですし、これからも頑張らなきゃなと思うんです。

人って、やっぱり一人では生きていけないなと思います。これまでにもらった手紙を見ても、わたしは本当にいろんな方々に支えられ、励まされていることに気付かされます。今のわたしがあるのは、そうした方々のおかげ。なかでも、数え切れないほどたくさんの手紙のやり取りをした家族の存在は大きいですね。やっぱり家族だから、今こういうことがつらいんだろうなとか、悩んでいるんだろうなというのがわかるみたいですし、今わたしが欲しい言葉もわかるんだと思います。そういう時の、ちょっとした手紙の一言が、心に染みるんです。同じ手紙でも、どんな時に、誰からもらうかでも感じ方が変わるもの。「伝えたいことを書く」という難しさというか、奥深さも含めて、手紙の魅力だと思います。

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