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【第10回】IPO(新規株式公開)は、絶対に儲かるのか?

藤原FP事務所代表藤原 久敏

これまで上場していなかった企業が、新たに市場に上場する(誰でも自由に株式を売買できるようになる)ことを、IPO(新規株式公開)と言います。この場合、新たに上場する銘柄を、上場前に入手する価格を「公募価格」と言います。そして、上場して取引され、初めて成立する価格を「初値」と言います。

一瞬にして、10倍の値上がりも!

2018年4月、東証マザーズにHEROZという企業が上場しました。
AIを活用したネットサービスを開発する企業として話題となり、公募価格4,500円に対し、初値はその10倍以上となる49,000円をつけました。100株単位での取引なので、45万円がなんと490万円です。つまり、この銘柄を公募価格で手にしていた人は、初値で売却すれば、一瞬で445万円儲かったことになります。

ここまでの値上がりは稀にしても、同年2月上場のMマートは公募価格12.4万円に対して初値53.8万円、3月上場のアジャイルメディア・ネットワークは公募価格30万円に対して初値154.7万円と、数倍の値上がりは珍しくはありません。

2018年は90銘柄程が上場していますが、その9割弱で、初値が公募価格を上回っており、2倍程度の値上がりはゴロゴロしています。つまり、新規上場銘柄(IPO銘柄)を公募価格で入手して、初値で売却すれば、相当な確率で儲かるわけです。そして、これは2018年に限った話ではなく、アベノミクス相場が始まった2012年末頃から、そういった状態がここ数年続いているのです。

そんな状況から、今、「IPO投資は絶対に儲かる」と、知る人ぞ知る投資法として話題となっているのです(絶対に儲かるかどうかは、後述にて)。 。

IPO当選は、至難の業

ただ、IPO銘柄を(上場前に公募価格で)入手するのは、今や、至難の業です。

IPO銘柄は、幹事となる各証券会社に割り当てられますが、とくに、大きな値上がりが期待される優良銘柄など、それは激しい争奪戦となるわけです。超優良顧客(≒大口顧客)であれば、証券会社の取り計らいによって特別に入手できることもあるようですが、基本的には抽選となります。

一説によると、人気銘柄ともなれば、その倍率は数百倍にもなるとか。なので、そう簡単には当選しませんが、当選さえすれば、莫大な利益を得る可能性が高いわけです。ちなみに、IPOの抽選には参加料は必要ないので(なので多くの人が申込む)、「無料の宝くじ」とも言われています。

そして誰もが当選を夢見るわけですが、IPO抽選に当選する秘訣などなく、とにかく手数を出すことしかありません。つまり、できるだけ多くの証券会社に口座を作って、多くの証券会社から抽選申込みをすることです。その際、大手証券会社(多くのIPOを取り扱っているので、割り当てられる銘柄数・株数が多い)とネット証券(1人1票制の平等抽選が多い)は必須でしょう。多くの証券会社から申し込む作業は面倒ではありますが、抽選は証券会社毎に行われるので、手間暇かけた分、当選確率は確実にアップします。

それでも当選は至難の業で、落選が続くと、「本当に当選している人がいるのか?」と心が折れそうになるものです。しかし私は、とにかく手数を出すことで、2018年にはメルカリ(公募価格30万円:初値50万円)、ログリー(公募価格18.6万円⇒初値46.35万円)、プロレドパートナーズ(公募価格42.5万円:初値71.7万円)など当選しております。なので、「(大口顧客でなくとも)当選している人は実際にいる」と断言はできます。

※写真はイメージです。

絶対に、儲かるのか?

さて、ここでようやく、本題(IPOは絶対に儲かるのか)となります。

これには、「当選すれば、絶対に儲かります」と言いたいところですが、、、残念ながら、当選しても(公募価格で入手しても)損することもあります。初値が公募価格を下回る(公募割れと言う)ことも、1割程度はあるのです。2018年であれば、ソフトバンク(公募価格15万円⇒初値14.63万円)が記憶に新しいところです。他にも、ナルミヤ・インターナショナル(公募価格15.6万円⇒初値15.01万円)やワールド(公募価格29万円⇒初値27.55万円)などが公募割れとなっています。

 そして、そんな公募割れしそうな銘柄は不人気なので、抽選に申し込む人は少なく(倍率が低く)、意外と当選したりするのです。逆に言えば、(大口顧客でない我々が)当選するような銘柄は、そんな不人気銘柄である可能性が高いということです。なので、めでたくIPO当選したとしても、それは「公募割れの可能性が高い銘柄」だと思って、しっかり吟味しなければいけません。IPO当選に舞い上がって、銘柄の吟味をせず、公募割れで痛い目に会ってきた人を(私自身を含めて)何人も見ております。

ちなみに、公募割れの可能性が高い銘柄として、以下のケースが挙げられます。

・大型銘柄(市場からの吸収金額が大きい・発行株数が多い)
・再上場案件である
・目新しい業種ではない
・大口株主に投資ファンドがいる(将来の売り圧力となる)
・公募株数より売出株数の方が多い

当選しても、「これはヤバい」と思えば、当選辞退もできます。

私自身、前述のソフトバンクやナルミヤ・インターナショナル、ワールドなども当選しましたが、上記の「公募割れの可能性が高い銘柄」のケースに当てはまっていることから、当選辞退しました。株式投資においては銘柄選定が重要ですが、これはIPO投資であっても同じこと。IPO銘柄であれば、何でも儲かるわけではありません。IPO当選に「ぬか喜び」しないためにも、ぜひ、気を付けてください。

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