長期的、持続的な成長につながる

「非財務」の取り組みを評価。

日本政策投資銀行

いま世界では、気候変動問題が新たな局面を迎えています。また、持続可能な開発目標(SDGs)が採択され、企業に求められる役割がより明確化している今、“選ばれる”企業の条件とは何か。2019年3月26日に浜離宮朝日ホールで開かれたシンポジウム「動き出すパリ協定、選ばれる企業」(主催:朝日新聞社、共催:東京大学サステナビリティ学連携研究機構(IR3S)、協賛:日本政策投資銀行ほか)において、日本政策投資銀行 サステナビリティ企画部 環境格付主幹の八矢舞子氏が、これまでの「財務」という企業評価に変わる新たな指標として、「非財務」という考え方について講演を行いました。

格付を通じて環境への取り組みなどを“見える化”

私たち日本政策投資銀行(DBJ)は、「金融力で未来をデザインします」という企業理念のもと、お客様および社会の課題を解決することによって、この世界の持続的な発展を支援しています。なかでもサステナビリティ企画部は、DBJ評価認証型融資を通じてお客様企業のサステナビリティに向けた取り組みを支援しています。具体的には、企業の環境配慮の取り組みや脱炭素化に向けたイノベーション創出等の取り組みを評価する「DBJ環境格付融資」や、異常気象による災害や地震など事業継続リスクに対する経営戦略を評価する「DBJBCM格付融資」、従業員の方が健康でイキイキと働くことによって企業の生産向上につなげる健康経営の取り組みを評価する「DBJ健康経営格付融資」を提供しています。いずれも格付評価による対話を通じて、企業の取り組みを“見える化”し、取り組み高度化に向けて支援させていただくものです。

通常、金融機関ではお客様とお付き合いさせていただく際、財務数値を中心に評価します。しかし企業価値を氷山に表したとすると、財務数値はいわば水面上に浮かんで目で確認できる部分といえ、企業価値の一部です。一方、水面下には環境配慮であったり、人材育成であったり、財務パフォーマンスにつながるようなさまざまな「非財務」の取り組みがあります。これらさまざまな取り組みが、時間の経過とともに財務パフォーマンスに姿を変えていく企業価値を支える根源であると私たちは認識しており、こうした目には見えないけれども財務パフォーマンスと重大な関連性を持つような取り組みに着目し、長期的、かつ持続的な企業の成長にコミットしていこうというのが、DBJ評価認証型融資の考え方です。最近主流になっているESG金融も同様の考え方に基づくものです。

日本政策投資銀行 サステナビリティ企画部 環境格付主幹 八矢舞子さん

「DBJ環境格付融資」の評価プロセスでは対話を重視

「DBJ環境格付融資」は2004年から行っており、累計で620社以上のお客様と対話をしています。3格付の累計融資額は、2018年度末で2兆円を超える見込みです。DBJ環境格付融資は、融資の際に財務の評価とは別に、環境スクリーニングという評価を行い、その結果に応じた金利設定をさせていただく融資メニューとなっています。評価はDBJ独自に開発した評価シートを用いますが、この評価シートは毎年、外部のアドバイザーや有識者を招き、ESGの潮流などを鑑みながらブラッシュアップしています。

評価プロセスで特徴的なのが、企業との直接対話を重視している点です。対話により、まだ公表されていない今後の取り組み方針や、取り組みの背景にある考え方についても伺うことができますし、企業の方にとっても、直接話すことで、普段の業務活動に隠れた価値や、今後の取り組みの重要性について気づいていただける、そのような効果を期待しています。また評価が終わった後に、フィードバックという形で、詳細な格付の結果をお伝えしています。具体的には、他社との比較においてその企業の強みや課題を示したり、今後の方向性についても少し助言させていただきます。環境格付をご利用いただいた企業の皆様は、金利が安くなるといったことよりも、自社の取り組みが見える化できる、次の取り組みのきっかけを得ることができる、他社の情報を知ることができる、といったことにメリットを感じられているようです。

環境配慮に取り組む際は、積極的な情報発信を

環境格付融資の視点を通じて、今企業に期待することを述べさせていただくと、まずは長期的、かつ持続的に成長するために、何をなすべきかという優先的な課題を決めていただきたいと考えています。重要課題を決めたうえでどのように戦略に組み込んでいくのかを考える際には、事業を通じて社会課題を解決していくという視点が重要です。自社の事業活動のなかにどのような環境価値や社会価値が潜んでいるのか、また取り組みを通じて自社と社外に対してどういう価値が見出されていくのか、こうした視点が大事になってきます。

また取り組みに関しては、積極的に情報を発信していただくよう、お話しさせていただいています。情報発信の効果としては、ESG投資の資金の流れを呼び込めるというのももちろんありますが、双方向でステークホルダーと対話することによって、自社の取り組みの方向性や水準について確認できるというのが大きいと思います。
私たちDBJもそのステークホルダーの一員であり、環境格付により積極的に対話していただくことで、PDCAの高度化に繋げていって頂きたいと考えています。

DBJは、今後も環境格付により企業の取り組みを積極的に支援するとともに、気候変動を始めとする社会課題に積極的に対応し、成長戦略に繋げている企業が、マーケットから適正に評価されるような、そうした金融環境の形成にも貢献していきたいと思います。

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