知られざるエンタメビジネスへの投資と海外展開

【第2回】アイドルの海外進出とビジネスの関係

株式会社For Bridges長谷川 謙司

今回はアイドルの海外進出について書きます。
前回書いた通り、AKBグループのビジネス的な成功により、多くのアイドルグループがビジネス展開しやすい状況となりました。その中にはファン層の拡大を狙い海外進出をするグループも出てきております。

海外進出のパターンは、大きく分けて3通りあると考えられます。
1つ目はAKBグループが海外で行っている「ビジネスモデル自体を輸出してしまうこと」です。ビジネス的な視点から言いかえると、日本で成功したビジネスモデルをフランチャイザーとして海外に輸出するかたちです。
2つ目は日本での知名度を活用することです。現地のプロモーターなどにアプローチをかけイベントに招いてもらい、現地でのイベントでライブを行うかたちです。
最後の3つ目は日本での知名度が低いケースです。海外での認知度を向上させる活動を行いつつ、海外イベントへの参加をしていくかたちとなります。

以前は外国語の音楽市場といえば、USチャートやUKチャートを意識する各国のマーケットがあり、それぞれがUSもしくはUKチャートで流行っている曲、流行りそうな曲を、ラジオ等のマスメディアで取り上げ、認知が高まっていくという流れでした。
しかし現在では、YouTubeなどの動画配信サイトやSpotifyなど音楽ストリーミングサービス, さらにはFacebookなどSNSが各国の音楽市場に定着しています。そのためアーティスト側もマーケット側からも、リアルタイムに話題の音楽に触れることが可能になりました。
タイを例にあげると、音楽ストリーミングサービスの1日の平均利用時間は1時間35分、SNSは3時間10分 (出典:We are social)となっており、それらのツールを介して音楽に接する時間は非常に増えています。

いつでもどこからでもマーケットにリーチできる環境で、アイドルが海外進出するために大事なポイントは、私は3つあると考えます。
1つ目は語学の問題です。自身で、自分の伝えたい事を現地言語にて伝えられるようになることが非常に重要になってきます。
2つ目は、さきほど挙げたYouTube, Spotify, SNSを活用して現地マーケットで認知を上げていく活動を続けることです。
3つ目は、現地マーケットでのリアルなタッチポイントを複数作っていくことです。
これらの活動を丁寧に進めていけば、「日本から来た!」というプレミアムがある状態での海外進出は想像ほど難しくありません。アジア各国のどこかで少なくとも月に1度はアニメイベントが開催されている現状や、アニメ・音楽・アイドルの3つのコンテンツの親和性の高さをかんがみると、アイドルを自国のマーケットに受け入れる土壌は十分あると思います。

認知をある一定程度あげた先に、継続的なビジネスにつなげるためにはどうすればよいでしょうか。
まず考えられるのは、継続的にライブイベントを実施することです。特に大きな会場でライブイベントが実施できれば効果的です。意外なことに、現地での知名度がそれなりに高まってくれば、チケット販売価格が日本での販売価格と大差がない、もしくは国によっては高く取ることも可能になります。
また運営費用は低く抑えられるため、利益ベースでは日本より利益率が高まることが見込まれます。ご存じの通り、日本のアニメは世界中で人気なので、アニメの声優アイドルユニットのチケットが即完売なども普通に見られます。認知度が高まれば、投資に対してのリターンを事前にある程度予測できるようになります。

もう一方は韓国企業がよくやる事例なのですが、自国のアイドルを現地でのマーケティングコンテンツとして取り込み活用する方法です。ニワトリと卵の話ではありますが、「日本のアイドル」×「日本企業」の掛け合わせで、対象マーケットの認知度向上に相乗効果を持たせられることができれば、さらに日本のアイドル市場が拡大することが見込めると考えます。残念ながら日本企業が日本のアイドルを現地マーケティングで活用することは、まだまだ少ないです。これからの課題だと思います。

第3回はシンガポールと香港で実際にアニメイベントに参加し、Facebookのユーザーが現在98%が外国人という逆輸入アイドルの事例をご紹介します。

【第3回】アイドルビジネスの海外展開について

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