東洋大学国際地域学部
東洋大学は、哲学教育、国際化、キャリア教育を3つの柱にグローバル人材の育成を目指してきた。中でも国際化について先導的な役割を担ってきたのが国際地域学部である。同学部はこのほど文部科学省公募による「グローバル人材育成推進事業」に採択された。その構想などについて荒巻俊也教授と杉田映理准教授に話を聞いた。
荒巻 国際地域学部は1997年に開設
した時からグローバル人材の育成を目指
してきました。教育理念も「『現場主義』
に立ち、国の内外の『地域づくり』『観光
振興』に貢献する、国際的な視野を持っ
た職業人」としています。ですから、特
別に新たな構想を企画して採択されたわ
けではなく、これまでの教育をさらにパ
ワーアップする内容になっています。
杉田 特に海外で現場を体験するフィー
ルド・スタディーを重視しており、アジア・
アフリカ・ヨーロッパなどで調査活動を
実施してきました。私はこの夏にゼミの
学生をウガンダに連れていきましたが、電気・水道もないところでインタビュー
などを通して現地の人たちと接すると、
机の上にはない世界の現実を知ることが
できます。学部の中でも多様な海外研修
を行なっていますが、午前中は授業、午
後はそのアウトプットとして様々な現場
で課題に対応した活動を行うようにして
います。それによって「現場主義」が身に
ついていくことになるわけです。
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| 海外研修のほか、学生シンポや授業でも「学内留学」を実施 |
キャンパスの中でも、様々な国際交流を体験
荒巻 経済的な事情などで海外に行けないという学生もいるので、キャンパス内
でも十分な国際経験が得られるように工
夫しています。2009年からESP(英
語特別プログラム)を実施しているほか、
ECZ(イングリッシュ・コミュニティ・
ゾーン)というスペースを作り、そこでは
英語以外は使用禁止にして、海外からの
留学生を交えて実践的な英語力を鍛える
ことができるようにしています。
杉田 学生による国際シンポジウムや各
国の大使によるリレー講義など、異文化
を理解するための機会も豊富です。特に
大使のリレー講義は毎回100名程度が
参加しています。事前に国情などの予習
が必要なのですが、学生の意欲も大変に
高いですね。
荒巻 東アジアを中心に留学生も多く、
彼ら向けの日本語講座以外は、必修から
専門科目まで一緒に学びます。特に必修
のゼミは少人数教育なので、留学生が身
近な存在となり、それをきっかけに交流
するなど、特に海外に行かなくても国際交流が可能な環境になっているのです。
また、英語で授業を行う専門科目を
さらに拡充します。それに伴って、これ 422
までの副専攻をさらに強化。専門基礎と
専門科目を英語で学ぶだけでなく、海外
留学やインターンシップなどのメニュー
も強化しています。英語による講義科目
は40単位の履修が条件ですが、国際問
題や地域づくりに関する幅広い課題を
対象にしており、興味深い内容になって
います。
課外の国際交流をポイント制で評価
杉田 この副専攻は、英語「を」学ぶので
なく、英語「で」学ぶことが特長ですよね。
英語力を強化するためにランゲージセン
ターも設置しており、アカデミック・ラ
イティングやプレゼンテーションも学べ
ます。正課はもちろんですが、課外の国
際教育も充実していることが際立ってい
ます。
荒巻 国際的なインターンシップを支援
する海外拠点を近々に設置しますが、課
外の活動も含めてポイントとして評価す
る「国際交流ポイント制度」を新しく導
入します。海外でのボランティアなども
含めた国際交流活動をポイントとして
評価。その記録を学修ポートフォリオを
使ってまとめる予定です。
杉田 単位ではありませんが、その縛り
がないだけに、学生は自発的に様々な国
際交流に参加できるほか、ポイントとし
て自分の活動を振り返ることができるの
で、自信を持って就職活動などに立ち向
かえると思います。
荒巻 来年4月から国際地域学部は白山
キャンパスに移転するので、他学部への
波及や相乗効果なども期待できると思い
ます。創立者の井上円了は世界を旅行し
た国際人の先駆けといえますが、日本人
としての意識を強く持っていました。根
なし草ではなく、そうしたアイデンティ
ティーに基づいたグローバル人材を育成
していきたいですね。
取材、文/笠木 恵司(チーム・スパイラル)
デザイン/大坂 智(PAIGE) 企画・制作/ AERA AD セクション