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Vol10.観光を学問として学び、体験して掘り下げることで、世界の観光客のニーズに応える
株式会社はとバス取締役 観光バス事業本部長 斉藤 博章

訪日外国人旅行者(インバウンド)の数はここ数年で大幅に増加し、政府は2020年に4000万人、30年に6000万人という新たな目標を設定しました。「観光立国」実現への大きな契機となる東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、首都圏だけでなく地方でも観光客の受け入れ態勢の整備が求められています。

グローバル化が進む観光業界をリードする人材の育成を目指し、東洋大学は2017年4月に「国際観光学部 国際観光学科」を開設します。日本で初めて短期大学観光学科を設置し、50年以上にわたり観光業界に優秀な人材を輩出してきた経験を基盤に、「日本の文化や魅力を正しく発信できる能力」「具体的な観光施策を立案・実行できる能力」を身に付ける学びをスタートします。

そこで今回は、東京観光の定番である「はとバス」を中心に幅広く観光事業を手掛ける株式会社はとバスで、観光バス事業本部長を務める斉藤博章氏にお話を伺いました。グローバル市場に向けて東京や日本の魅力を発信する同社に、将来の観光産業を担う人材に期待していることや、新学部で学んでほしいことなどについて語っていただきました。

訪日外国人旅行者4000万人の時代には、観光行政との連携が求められる
訪日外国人旅行者4000万人の時代には、観光行政との連携が求められる

今の時代、観光客の方々のニーズは多様化が進んでいます。1949年から続く当社の主力事業の一つである定期観光バスは現在、200以上のコースを運行中です。皇居や浅草などを巡るおなじみのコースは基軸としてあるものの、約3分の1のコースを毎年リニューアルしています。常に新しいものを取り入れなければ、数字がすぐに下がってしまうのです。外国人の方専用のコースでは、中国から2度目や3度目の来日という人が増え、団体から個人の旅行に変わりつつあるのが現状。これまでは富士山が定番でしたが、新しい嗜好に合わせた商品企画が求められています。中には、イスラム教徒向けにハラル食コースなどのアレンジも行っています。

東洋大学に新しくできる国際観光学部国際観光学科のように、観光を学問として体系的に学ぶ場は、さまざまなニーズに対応するうえで今後さらに必要となってくると思います。従来の観光業界に携わる人は感覚的に仕事を進めて、経験則で動くことが多かったのですが、今後は理論的に物事を考えて事業を進めるマネジメント能力が十分に生かされるはずです。

特に、各地域の観光資源を活用していくためには、行政との連携が非常に重要です。国際観光学部の観光政策分野で学ぶような観光行政の枠組みを、お互いに理解していくことが必要でしょう。地域を1点でとらえると、商品としての魅力はなかなか発揮できません。そこで我々は、複数地域の観光資源をバスでつないで橋渡しをすることで、その魅力を最大化する役割を担いたいと考えています。その観点からも、行政側には外国語の案内ボードをはじめとした、インバウンド誘致に係るインフラ整備をいっそう進めていただければと考えています。インバウンド4000万人という目標を達成するためには、日本全国が津々浦々までグローバルに活性化していかなければならないのです。

もちろん、机上で学んだことと実際の仕事のギャップは、どの業界にもあります。自分で体験しなければ、お客様や相手に伝えることは難しい。国際観光学部の実務科目やインターンで実体験して得るものは非常に大きいと思いますし、将来に必ず生かされていくはずです。基礎的な知識をしっかり習得したうえで、自分自身でそれを掘り下げていくことが大事。その意味では、学生のうちにさまざまなことを学べるというのは、非常に恵まれた環境だと思いますね。

勉強にも遊びにもどん欲な、国際的な感覚を持った人材に期待
勉強にも遊びにもどん欲な、国際的な感覚を持った人材に期待

観光という分野はとても裾野が広く、誰もが思っていなかったようなものが観光資源になることもあります。当社が始めた川崎市の工場夜景のツアーは、今までなら考えられなかった商品と言えるでしょう。世の中の全てのものが、観光資源になりうる可能性を秘めているのです。ですから、学生時代はもちろん、社会人になってからも、いろいろなものを学んだり見聞きしたりすることが重要だと感じています。

私たちの仕事は、ある意味で人に「遊び」を提供するのが原点です。遊ぶ楽しみを知らなければ、それを人に伝えることはできないので、社員には遊ぶことにもどん欲であってほしいと思っています。いろんな場所に飛び込んで経験して、そこで得た感動を人にも与えることができるといいですね。お客様が想像できる範囲のもので終わってしまっては、感動させることはできませんから。私自身は決して勉強熱心な学生ではありませんでしたが、当時遊んだ街に感動して、東京が大好きになりました。たくさんの人に東京や日本を知ってほしいという入社時の思いや当時の経験が、今でも私の中に活きています。

学生時代に経験しておけば良かったなと思うのは、海外旅行と語学の習得です。東洋大学の国際観光学部は英語力の段階的な向上を図るカリキュラムが特色と聞いていますが、学生のうちから深く外国語を学ぶというアドバンテージは大きいと思います。実は2016年の4月に、スウェーデン、ベルギーのバス製造メーカー2社と当社で共同開発した新型2階建てバス「アストロメガ」を導入してから、弊社の整備工場に海外の方がメンテナンスに訪れる機会が増えました。このように、さまざまな機会で海外の方とのやり取りが増えていますので、私も今から、英語をあらためて勉強し直さなければと思っています。

東洋大学の卒業生は当社にも多く在籍していて、第一線で活躍し、将来を期待されている人材もたくさんいます。国際観光学部からは、教養だけではなく、学問と実体験を兼ね備え、国際的な感覚を持った人材を輩出してほしいですね。地域、民族、文化、勉強と遊び心。さまざまな枠を超えて、分け隔てなく対応ができる人物を育成してもらうことを期待しています。

profile

profile 株式会社はとバス取締役 観光バス事業本部長 斉藤 博章
1958年、千葉県生まれ。81年に日本大学商学部を卒業し、株式会社はとバスに入社。海外旅行部に配属され、添乗員としての研修が、初の海外旅行と飛行機搭乗だった。マレーシアを中心にアジアを担当した後に、貸切観光部(当時)、総務部、路線バス受託事業本部などを経験。関連会社のはとバスエージェンシー役員を経て、観光バス事業本部長の副本部長、2014年から現職。15年には定期観光バス「はとバス」に8カ国語自動ガイドシステムを導入したり、16年12月には台湾のバス事業者と協力に係る覚書に調印するなど、グローバルな展開を含めた同社の観光バス事業を統括している。
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学部紹介

国際観光学部 国際観光学科

2017年春に開設予定。日本経済の成長戦略の柱として政府が掲げる観光。今後も見込まれる訪日外国人観光客の増加で「グローバル市場化」する観光業界を、政策・産業の両面から支え、日本文化を世界に発信できる即戦力人財の育成を目指す。
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