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Vol11 未来の予測が難しい時代に、日本の価値観を発信できるリーダーを
元 米国ヘリテージ財団 上級研究員 横江 公美

世界は常に動き続け、社会のさまざまなシステムが変化を余儀なくされています。新たな時代に求められるのは、新たなリーダーシップとイノベーション。東洋大学が2017年4月に開設する「国際学部グローバル・イノベーション学科」では、世界を舞台に先端的な役割を担い、他者と協調・協力して解決策を探り、イノベーション(変革)を推し進める能力と知識を養成。日本と世界の未来を切り拓くグローバルリーダーの輩出を目指します。

2016年11月に行われたアメリカ合衆国の大統領選挙では、多くのメディアの予測を覆し、共和党のドナルド・トランプ氏が勝利を収めました。その選挙情勢やアメリカ社会の現状を的確に分析して、注目を集めたのが“政策アナリスト”の横江公美氏でした。横江氏は、トランプ氏の政権移行チームにも優秀な人員を送り込んだアメリカの名門シンクタンク「ヘリテージ財団」で、アジア人初の上級研究員として2014年まで活躍した人物です。

現在は東洋大学でグローバル・イノベーション学研究センターの客員研究員を務め、2017年4月から国際学部グローバル・イノベーション学科の専任教員として着任予定の横江氏に、新学科で目指す教育や育成する人材像などを語っていただきました。

重要性を増す大学の役割、他にはない学びを目指す学科
重要性を増す大学の役割、他にはない学びを目指す学科

今回の大統領選挙を見てあらためて実感したのは、アメリカでは選挙や政治をシンクタンクが支えているということです。ヘリテージ財団では国家安全保障の情報に接したり、私自身もいろんな経験をさせてもらいました。優秀な研究者のいる環境では、次代を担う人材が育っていくのも目の当たりにしました。日本にはアメリカのように人材を育成するシンクタンクはないと言われており、それを担う場となりうるのは大学だと考えています。将来的には、政策形成やメディアの役割の一端を大学が担っていくのではないでしょうか。

東洋大学では2004年に経済学部総合政策学科の非常勤講師になりました。私が初めて学生に教えた大学なので、特別な思いがあります。この春に新設する国際学部グローバル・イノベーション学科では、世界に通じる日本人や、日本の価値観を共有する留学生を育成していくと聞いて、非常に共感しました。グローバルに働けば働くほど、日本の文化や歴史の知識が必要だと痛感したからです。創立者の井上円了氏が掲げる、哲学に基礎をおくアカデミズムの確立にも魅力を感じました。

私のように複雑なキャリアの教員は、大学でも珍しいかもしれません。松下政経塾を卒塾した後、ジャーナリズム、ビジネス、アカデミズムの3つの分野でキャリアを積んできたので、モデルもなく職業を一言で説明するのは難しいです。「政策アナリスト」と名乗っているのはこの3つを融合した視点という意味のつもりでした。グローバル・イノベーション学科はこの3つの視点を融合する場所だと思います。私ならではの視点を活かして、学生が他の大学ではできない体験をできる場所を提供したいと考えています。

来年4月からの授業のテーマは「国際メディア論(International Media Studies)」を予定しています。誰もがネットで情報をグローバルに発信できる時代になり、入手できるニュースも増え、ビジネスにおいては多様な情報が必要になっています。そこで授業では、国境を越えたニュースをどう読み解くのかというリテラシーに加えて、ニュースの書き方もトレーニングしたいと思っています。学生同士がインタビューして記事を作ったり、学生の視点で日本のニュースを発信する英語のWEBサイトを開設することも構想しています。必要な情報を幅広く入手すること、グローバルなニュースを理解すること、そして、わかりやすく伝える能力はどんな仕事にも必要だと思います。

グローバル社会で活躍できる能力は、好奇心から導き出される
グローバル社会で活躍できる能力は、好奇心から導き出される

グローバル・イノベーション学科の学びのキーワードは「Travel(海外機関との連携・留学)」「Play(実践的演習)」「Dialogue(対話を重視した学び)」。私自身も、1996年の米国大統領選から世界中の選挙をテーマに現地で研修して、ルポルタージュ(報道・報告記事)を書くことを覚えました。そこから勉強する楽しさを知り、博士課程に進みました。私は30歳を過ぎて現場研修を通じて学ぶことを知りましたが、新学科では学ぶことの楽しさを学生に伝えていきたいです。

個人的には、この3つのキーワードに、大学生活に付き物の「Love」も追加したいなと思っています。多くの国会議員などを輩出している松下政経塾に29歳で入塾したきっかけは、実を言うと失恋なのです(笑)。将来は税理士の資格を取って、結婚して子どもを産んでからも仕事を自分のペースで続ける。そんな人生設計が失恋で崩れ、どうすれば良いかと考えていた時に、松下政経塾の資料を見て、夢だった海外での生活が叶えられるかもしれないと、泣きながら申し込みの書類を書いたのがきっかけです。松下政経塾に入ってからは人生が180度変わりました。今、自分がなりたいと思い描いているものは、自分の経験の中で分かっているものだけであって、「まだ他にも自分が知らないこと、やってみたいことがある」と思うことができるようになったのは松下政経塾での経験のおかげです。そして、その後のワシントンでのジャーナリストとしての活動、プリンストン大学とジョージ・ワシントン大学での客員研究員、アメリカ大統領候補者の選挙事務所での実地研究、ヘリテージ財団の上級研究員などでの経験へとつながります。失恋から再び立ち上がって新たな世界に飛び出せたことは、私の人生の教訓となっています。平和な世の中では、多くの人にとって「Love」が最初の挫折になることが多いですが、大学ではそれを乗り越えて糧にできる術も学んでほしいと思っています。

話は戻りますが、グローバル・イノベーション学科では原則すべての授業を英語で行います。これは学生にとってはチャンスだと思います。私もアメリカでは英語で苦労しました。話すだけなら語学学校でも学べますが、その中身こそが大切で、アカデミックな言語というものが非常に有効です。専門分野の用語を学ぶことで、海外に飛び込んだ時でも、共通のアカデミックな言語を通じて現地の人の輪の中へと一歩進むことができるのです。

グローバルな能力というものは詰まるところ、好奇心が強いことだと私は思います。海外に出ることだけがグローバルとは限りません。いろいろなことに興味を持ち、物事をたくさん知っているというだけで、ビジネスチャンスは広がります。違う文化やいろいろなものを受け入れることで、ようやく自分の強みも見えてくるわけです。学生たちが自らの可能性を自分で制限しないように、好奇心や問題意識をうまく引き出してあげたいですね。

profile

profile 元 米国ヘリテージ財団 上級研究員 横江 公美
1965年、愛知県生まれ。明治大学経営学部卒業。博士(政策研究)。松下政経塾15期生時代、プリンストン大学とジョージ・ワシントン大学の客員研究員として、米国大統領選挙を中心に世界の選挙の実地研究を行った。国内で東洋大学、明治大学、青山学院大学の非常勤講師を歴任。2011年から14年までヘリテージ財団の客員上級研究員。ビジネスにおいてもVOTEジャパン株式会社社長、PACIFIC21代表を務めた。TBSテレビ「ひるおび!」月曜1部コメンテーター、毎日新聞「経済観測」執筆者。『第五の権力 アメリカのシンクタンク』(文春新書)、『判断力はどうすれば身につくのか』『日本にオバマは生まれるか』(PHP新書)など著書多数。近刊に『崩壊するアメリカ トランプ大統領で世界は発狂する!?』(ビジネス社)。
  • vol8
  • vol4
学部紹介

国際学部 グローバル・イノベーション学科/国際地域学科

2017年春に開設予定。経済、貧困、資源など、さまざまな新たな課題に直面するグローバル社会。この新たな社会課題に対し、イノベーションを起こすリーダーシップ力や、課題解決力を身に付けた人財の育成を目指す。
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