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Vol7. 人や情報、システムを連携させることを学び、新しい価値を未来へと生み出していく
株式会社アグリメディア代表取締役社長 諸藤貴志

さまざまな科学技術によって成り立つ現代社会では、どのような産業もコンピュータやネットワークの影響を受けずに存続していくことは、もはや困難であるとも言えます。しかし、一人で全てのシステムを理解して動かすことは難しく、多くの人々や組織と協働し連携することによって、素早くアイデアを形にすることが求められています。

東洋大学で2017年4月に開設される「情報連携学部」が取り組むのは、他に類を見ない、新しいテーマ。ICT(情報通信技術)を活用して、人・システム・組織・分野を「連携」させ、新しい価値を生み出すことができる人材を育てます。さらに、チームの仲間との起業を支援するビジネス・インキュベーション制度も提供していく計画です。

農業の分野でも、さまざまなイノベーションが生まれています。就農者の高齢化、遊休農地の活用などの課題を抱えるなか、株式会社アグリメディアが展開するサポート付き市民農園「シェア畑」が注目を集めています。従来の農業の枠組みを超えて、一般の人々に開かれたサービスです。

「都市と農業をつなぐ」をコンセプトに、他の企業や自治体とも連携し、次々と新規ビジネスを生み出している同社。代表取締役を務める諸藤貴志氏にお話を伺いました。

課題のある産業と何かをつなぐ、そこにビジネスチャンスがあった
課題のある産業と何かをつなぐ、そこにビジネスチャンスがあった

大学ではマクロ経済学を学ぶと同時に、飲食店などでのアルバイトにも励んでいました。新規店舗の立ち上げに伴って、アルバイトながらもいろいろと仕事を任せられたことが印象に残っています。子どもの頃から地図を見るのが好きで、仕事でも建物の企画やまちづくりに携わりたいと思い、就職先として選んだのが住友不動産。入社後、研修を終えると、竣工直前だった六本木一丁目の大規模再開発ビルの現場に配属されました。図面の見方もわからず、いきなり客先との打ち合わせに放り出されて、1年目から相当鍛えられましたね。

手がけたイベントホールや会議室の事業が予想以上の数字を上げて、自分で事業を興すことを意識するようになりました。先に起業した兄の会社が成長していくのも、大きな刺激でした。農業に着目したのは、これまで都市開発や事業運営に携わってきた経験を活かせることと、産業として大きな課題があると感じていたから。「農業は規制があるから参入が難しい」と当時周りから言われましたが、そうであれば構造を変えなければいけないし、そこに事業としてのチャンスもあると思ったのです。

起業したのは31歳。社名は、農業(agriculture)と、媒介するもの(media)で、農業をもっとオープンに他とつないでいきたい、という意味です。モチベーションになっているのが、自分たちがイノベーションを起こすことで日本の農業分野の課題を解決し、発展に貢献していくという理念。2017年4月より東洋大学に新設される情報連携学部も、多様な人々やシステムを「連携」させることによって新しい価値を実現するための実践教育を行うとのこと。私たちが今の事業で考えているようなことを、学生時代から意識できるというのは面白いし勉強になると思います。

遊休農地を賃貸する「シェア畑」は、メディアで取り上げられた効果もあり、「こんなにやりたい人がいるのか」と思うほど反響がありました。今では約4,000世帯の契約があり、食育の観点から利用している方々も多いですね。利用者に対して常に意識しているのは、たとえばフィットネスクラブの感覚です。近所にあって通いやすく、時間消費型のビジネスであり、インストラクターが教えてくれて、道具も借りられる。1年を通じて約20品目の野菜を用意して、初心者でも失敗しないよう、栽培方法などの標準化を心がけています。そして利用者だけでなく、関わっている人全員がメリットを感じていることが、どんな事業においても大切だと思っています。

学生時代の「環境」が、将来への大きな成長へとつながる
学生時代の「環境」が、将来への大きな成長へとつながる

最近では、自治体との連携による事業も増えてきました。2016年4月から神奈川県伊勢原市の「アグリパーク伊勢原」を指定管理者として運営しており、9月には同県からの委託を受けて「里山シェア大井松田」がオープンしました。関心を持って視察に訪れる他の自治体も多く、行政の側も変化しつつあると感じています。

地域の直売所で売れ残った野菜を、地元の飲食店などでシェアする仕組みのテストも始めました。将来はICTをさらに活用できればいいですね。農機具などの情報をネットでつないでシェアするなど、農業に関するデータを整理して活用するシステムも考えています。60カ所以上あるシェア畑では、土壌の成分分析などのデータを半年毎に蓄積しています。同じ品目を育てているという強みがありますので、蓄積されたさまざまなデータが、将来の生産のために活かせると考えています。

情報やデータなどを連携させてどのように活かしていくかということには、強い社会的要請があります。東洋大学の情報連携学部で学んだ人材が多様な人々やシステムを連携させ、新しい大きな価値を生み出していくのを期待しています。

農産物も人も、成長にとって大切なのは「環境」です。私自身も、前の会社で大きな事業を任されたり、身近な人が起業していなかったら、チャレンジを諦めていたかもしれません。情報連携学部の学生が学ぶ赤羽台キャンパス(東京都北区)には、最先端のICTインフラが導入され、学生のスタートアップを支援する制度も予定されているそうですね。そこで起業家と接し、新しい価値を生み出す現場で仲間と切磋琢磨できる学生時代の経験は、将来への大きな成長へとつながっていくはずです。

経営者として情報連携学部に期待しているのは、企業との連携です。他でも産学官連携を行っているところはありますが、まだベンチャー企業には敷居が高い気がします。我々のような企業と情報連携学部が連携することで、専門知識を共有してさまざまなことを具現化するだけでなく、後に続く起業家が誕生していくのが楽しみですね。

profile

profile 株式会社アグリメディア代表取締役社長 諸藤貴志
1979年、福岡県生まれ。九州大学経済学部を卒業後、住友不動産に入社。都心のオフィスビルの再開発、会議室やイベントホールを貸し出す事業などを手がけた。2011年4月に農業を営んでいた高校の同級生と株式会社アグリメディアを設立し、同年7月に農業体験イベント「ノウジョウシェア」をスタート。12年1月に始めたサポート付き市民農園「シェア畑」は、首都圏を中心に60カ所以上で延べ14万平方メートルを展開し、約4,000世帯が契約している。ほかにも、生産者と共同経営の飲食店「農家Cafe」、農作業ヘルパー求人「ファームヘルプ」などのサービスを展開。オフィスが入居する新宿セントラルパークシティは、会社員時代に自らが開発を担当した。
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学部紹介
学部紹介

情報連携学部 情報連携学科

2017年春、東京都北区に完成する赤羽台キャンパスにて開設予定。ICTを活用し、多様な人々と「連携」できる力、システムを「連携」させる力を身に付けることを目的とし、さまざまな実践的な学びを提供する。学生によるスタートアップ企業立ち上げへの支援制度も提供される予定となっている。
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