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Vol8.グローバル社会の問題解決に向けて、現場からのイノベーションを
株式会社マザーハウス代表・デザイナー 山口絵里子

グローバル化の進展は同時に、世界の国や地域が抱える問題を浮き彫りにしてきました。地球社会のさまざまなシステムは行き詰まりを見せており、これらを支える文化や価値観の変革が切実に求められています。

そのような社会の要請に応えるべく、世界を舞台に活躍する人材の輩出を目指す東洋大学は、イノベーションを起こすリーダーシップ力や、地域の自律的発展に貢献できる知識と能力を持つ人材を育成する「国際学部 グローバル・イノベーション学科/国際地域学科」を2017年4月に開設します。

そこで今回は、アジアの途上国で生産したバッグなどの商品を展開する株式会社マザーハウスの代表・デザイナー、山口絵理子氏にお話を伺いました。「途上国から世界に通用するブランドをつくる」をミッションに掲げる同社は、現地の素材や雇用にこだわり、ビジネスを通じた持続可能な地域への貢献をはかってきました。

山口氏は学生時代に単身でバングラデシュに渡り、24歳で起業して現在も途上国の現場を走り回っています。グローバル社会における地域への貢献のあり方、新学部での学びに期待することなどについて語っていただきました。

さまざまな国での出会いを大切に、自分の目で確かめながら答えを求め続ける
さまざまな国での出会いを大切に、自分の目で確かめながら答えを求め続ける

大学1年生の私は、自分のやりたいことがわからず、将来どうしたらいいかと日記に毎日書きつづっていました。そんな時に受けたのが、竹中平蔵先生(現・東洋大学国際地域学部教授)が担当していた開発経済学に関する授業です。「貧しい国が発展するためには教育などが必要」という内容の話を聞きながら、途上国の開発支援や援助に少しずつ興味を持ち始めました。

4年生の時にワシントンの国際機関でインターンとして働くことになり、援助の予算がどのように振り分けられるかはわかりましたが、それが現場で実際にどのように使われているかはよくわかりませんでした。そこで、それを確かめるために、従来、自分の目で見たことを大切にしている私は、当時アジアで最貧国の一つと言われたバングラデシュへ。年間スケジュールも定まっておらず、他国の留学生を受け入れた前例のない現地の大学院で、根気強く交渉しながら何とか入学試験を受けさせてもらい、首都のダッカで大学院生として暮らすことになったのです

東洋大学で2017年4月より、既存の国際地域学部から国際学部に発展的改組する国際地域学科では、現場主義に基づいた開発支援やビジネスなどで地域の発展に貢献できるエキスパートを育成する、と聞いています。バングラデシュにいた当時の私も、慣れない現地でとにかく行動してみようと懸命でした。理屈や正義感が通用しない現実に、ずっと悩んでいました。そんな中、学校を作るよりも工場を作って雇用を生み出すことの方が現地の人々の自立に貢献できる、という考えが芽生え始めていた時に、出会ったのが特産品のジュート(麻)です。現地の素材を使って、付加価値のあるバッグを世界に送り出すビジネスを始めようと決意しました。

マザーハウスがこの10年余りで成長できた理由は複合的ですが、一つだけ言えるのは、スタッフ一人ひとりが日々精一杯にやってきたから。最初はバングラデシュで生産することだけでも大変で、トラブルも絶えませんでした。ネパール、ラオス、インドネシア、スリランカ。一つの国で成功したスタイルが他の国でも通じるということは、援助でもビジネスでもありえません。素材の特性はもとより、文化や宗教、人々が暮らすペースもその国によって異なるので、常に頭をフレッシュにして臨むことを心掛けています。その場その場での出会いをバッグなどの形にしていくことで、私たちのお店を訪れた人に世界からの新しい気づきを得てもらう、そんなブランドになれたらなと思います。

日本の強みを発信し、グローバルな視点での地域貢献に期待
日本の強みを発信し、グローバルな視点での地域貢献に期待

東洋大学で2017年4月に新設される国際学部グローバル・イノベーション学科に、私の恩師である竹中平蔵先生が教授として就任されると伺いました。大学時代、竹中先生のゼミにいた頃のことで覚えているのは、私が発表した後に「よかったですよ」といっていただいた先生の一言。その頃、同じゼミ生の積極性に圧倒され、コンプレックスだらけだった私にどれだけの自信と勇気を与えてくれたことか。その言葉は今でも印象に残っています。今の若い人はもしかすると竹中先生が小泉内閣で大臣を務められたことも知らないかもしれませんが、私にとっては今でも偉大な存在です。

先日お会いした時も、竹中先生は「これから君はグローバルに活躍していくのだから、休み方も覚えなさい」と、時間のやりくりの仕方などを詳しく教えてくださいました。お茶目だけど、一言一言に重みがある竹中先生の授業を受けられることは、学生にとって大変貴重な機会。先生のファンの一人として、国際学部の教育にとても期待しています。

私の学生時代を振り返って、やっておいて良かったと思うのは、やはり英語です。比較的時間のある学生時代に海外へ出たということも、私のキャリアの中で重要な経験でした。その意味で、グローバル・イノベーション学科が全ての授業を原則英語で実施して、日本人学生は1年間の海外留学が必須というのは、将来のリーダーを担う学生にとって有意義なことだと感じました。ある種の専門性の習得や深堀りは社会人になってからでもできます。学生時代は何事も決めつけずに、いろいろな経験を積んだ方が良いと思います。

国際社会にイノベーションを起こすグローバルリーダーがどんな人材なのか、一言で表現するのは難しいのですが、私自身がASEANの会議に出席して感じたことがあります。アジアの小さな国々にとって、日本は憧れであり目指すべき姿だと、彼らは尊敬の念を持ってくれています。だからこそ、日本人は品質やものづくりの良さなどの強みを発信できるアドバンテージがあり、彼らの個性をリスペクトしながら貢献できるはずです。現地の人々は、日本の文化や情報に興味を持っており、話を聞きたがっています。そういった現地の人々とコミュニケーションを図るためにも、国際学部で日本の伝統文化などをしっかり学べるというのは大変興味深いことですね。

profile

profile 株式会社マザーハウス 代表・デザイナー 山口絵理子
1981年、埼玉県生まれ。小学生時代にいじめを経験。中学2年で柔道を始め、県立大宮工業高校では唯一の女子柔道部員として全国大会7位の成績を収める。慶應義塾大学総合政策学部に進学し、ワシントンの米州開発銀行でのインターンを経て、バングラデシュBRAC大学院開発学部修士課程に入学。現地でジュート(黄麻)と出会い、バッグを生産して輸入販売する株式会社マザーハウスを2006年3月設立。現在はストールや小物なども手掛け、日本、台湾、香港に28店舗を展開している。2012年に内閣府から「世界で活躍し『日本』を発信する日本人」の一人に選ばれた。著書に『裸でも生きる』『裸でも生きる2』『自分思考』(講談社)。インドネシア、スリランカでジュエリーに挑戦する日々を記した『裸でも生きる3』(同)が12月に刊行。
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学部紹介

国際学部 グローバル・イノベーション学科/国際地域学科

2017年春に開設予定。経済、貧困、資源など、さまざまな新たな課題に直面するグローバル社会。この新たな社会課題に対し、イノベーションを起こすリーダーシップ力や、課題解決力を身に付けた人財の育成を目指す。
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