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05月25日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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自立心と広い視野が育成される

 2017年4月3日、武道館で催された入学式で、任期2期目をスタートした田中優子総長は、「17年度、法政大学の学部一般入試の志願者数は、全国で2位、関東ではトップ(※)でした」と式辞を始めた。そして、「みなさんは次の時代を担うフロントランナーです。自信をもって法政大学で学んでください」と、新入生に語りかけた。

 この日、総長の式辞に続く来賓は、法政大学を15年ほど前に卒業し、いまはニューヨークで活躍するコミック・アーティスト(漫画家)のミサコ・ロックス!さん。中学時代に、法政大学の充実した留学制度を知り、ここしかないと思って猛勉強。入学後は、他大学に先駆けて実施されていた奨学金付きの「派遣留学制度」に応募し、採用されて渡米。人種差別にあうなど厳しい経験も経て、自立心と広い価値観を養った自らの経験から、大学生活の醍醐味(だいごみ)を魅力たっぷりに語った。

 ちなみに、この入学式の10日前、16年度学位授与式の来賓は、歌手の庄野真代さんだった。庄野さんは、00年に法政大学人間環境学部に社会人入学し、在学中のイギリス留学経験や自ら立ち上げたボランティアのサークルを母体に、卒業後にNPO法人「国境なき楽団」を設立。いまは法政大学で「アーティストと社会貢献」という授業も担当する。

 来賓に女性が続いたのは偶然だが、お二人のような「フロントランナー」は、法政大学卒業生の典型モデル。それはここが、誰もやっていないことでもやってみようと思わせる場だからだ。

 ※出典大学通信大学探しナビ「2017年主要私立大学一般入試入学志願者速報」/文部科学省

グローバル化はダイバーシティ化

 ところで田中総長の式辞は、その後、「法政大学の飛躍は志願者数だけではありません。その他にこの数年、特徴的な飛躍がありました」と続いた。

 飛躍の一つは、ダイバーシティ化である。法政大学では、創立150周年となる30年を展望して、目下、HOSEI2030という名で長期ビジョンを策定・推進しているが、その過程で16年には「法政大学ダイバーシティ宣言」を定めた。ここでは一部しか紹介できないが、その前半は以下の通りだ。

 「ダイバーシティの実現とは、社会の価値観が多様であることを認識し、自由な市民が有するそれぞれの価値観を個性として尊重することです。人権の尊重はその第一歩です。性別、年齢、国籍、人種、民族、文化、宗教、障がい、性的少数者であることなどを理由とする差別がないことはもとより、これらの相違を個性として尊重することです」

 法政大学では、14年には文部科学省による「スーパーグローバル大学創成支援事業」に採択され、10年計画でグローバル化を進めており、五つの英語学位プログラムの学生数増加もあって、キャンパス内はグローバル化しつつある

 田中総長は、グローバル化はダイバーシティ化と結びついて初めて意味をもつという。グローバル化したキャンパスでは、多様な文化的背景、生き方の人たちと出会い、今の世界の現実について視野を広げられる。差別や排除を乗り越え、異なる国籍、価値観の人々と、協力して世界の課題を乗り越えていく知性を育てることが、真のグローバル化、ダイバーシティ化であり、同時に、今後の大学の社会的使命だと法政大学は考えている。

社会との約束を果たす

 入学式式辞で、田中総長がもう一つ「飛躍」として挙げたのが、16年における「法政大学憲章」の制定だ(上に全文)。憲章は、やはり長期ビジョン(HOSEI2030)で取り組んだブランディング戦略の成果。冒頭に「自由を生き抜く実践知」と掲げ、これを大学が社会に示す教育・研究上の「約束」とした。自由と、それを実現するための現場に根ざした知性の育成こそが、法政大学が社会に果たす役割と責任である。

 複雑化・不透明化する現代、世界の先行きは必ずしも見通せない。だからこそ、世界のどこでも、どんな社会でも、現実に向き合い、孤立することなく周囲と関わりあいながら、自分で考え、判断し、生き抜いていく知性が必要なはずだ。

 法政大学は1880(明治13)年、「東京法学社」として、20代の若者たちによって創設された。自由民権運動のさなか、権利の意識にめざめた無名の人びとが、より良き社会をつくるために法律の知識を求め、司法省法学校で教鞭(きょうべん)をとっていたフランス人ボアソナード博士が、その情熱に応えて無償で教壇に立ったのが起源だ。「人を害するなかれ」との同博士の言葉通り、法政大学は、誰もが権利を害されず「自由」を生き抜ける社会の実現に向けて、現実から学ぶ〈広場〉であり続ける。

充実した海外留学

 法政大学は、「フロントランナー」を輩出する大学らしく、早くから海外留学に力を入れている。特に大学独自の派遣留学制度は、他大学に先駆けて1979年から実施され、ミサコ・ロックス!さんのように、この制度に惹かれて法政大学を選ぶ高校生たちも多い。学内選考に合格した派遣留学生全員(2016年度は82人)が返還不要の奨学金を受給し、派遣先大学で取得した単位は30~60単位が卒業所要単位に認定される。

 他にも、数週間の短期語学研修制度、学部独自に実施される海外研修や数カ月~半年の海外留学(スタディ・アブロード)プログラム、春期・夏期休暇中の国際ボランティア、インターンシッププログラムなど、多彩な海外留学の機会がある。

 海外協定校数は215校、海外留学生数は1058人(16年度)。留学生派遣数は全国4位だ(16年)。

キャリアに強い大学

 法政大学の就職希望者決定率は98.8%(2017年4月1日現在)で、トップクラス。高等学校の進路指導担当教 諭が選ぶ「就職に力を入れている大学」ランキング(大学通信調査)では、17年、全国3位となった。学内で実施する企業説明会の参加社数は年間1,000社以上、キャリアセンターでは大規模大学にもかかわらず、学生一人ひとりへのきめ細かく面倒見のよい支援が続けられている。

 他にも「マスコミに強い法政大学」を生み出した30年続く「自主マスコミ講座」や、公務員、法曹を目指す学生支援のための「公務人材育成センター」、公認会計士、税理士などを目指す学生を支援する「高度会計人育成センター」、教員をめざす学生を支援する「教職課程センター」など、多様な支援の場が設置されている。

※就職希望者数5,241人就職者数5,180人

法政フロシネス

 2016年、法政大学では法政大学憲章「自由を生き抜く実践知」のもとで展開される教育、研究活動を広く社会に発信するために、「法政フロネシス」(フロネシスとはギリシャ語で「実践的知識」を含意)というウェブサイトを開設した。

 「教育」「研究」「グローバル」「キャリア・就職」「データで見る法政」、「伝統」の六つのテーマ軸をもち、多様な角度から法政大学の「個性」を伝えている。

■法政フロネシス http://phronesis.hosei.ac.jp/