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07月16日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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『大学ランキング』杉沢誠記編集長に聞く 学部・学科選びのポイント

大学入試改革の詳細については依然議論が続いているが、自分が本当に学びたいことが明確であれば、入試がどう変わろうと学部・学科選びに迷うことはないと語る、「大学ランキング」の杉沢編集長。すでに始まっている大学独自の改革も踏まえ、将来をどう選択するべきか考えてみよう。

学部選びに役立つ自己分析と社会分析

朝日新聞出版「大学ランキング」
杉沢誠記 編集長
すぎさわ・せいき/「AERAEnglish」「アエラ大学ムック」「アエラ企業研究シリーズ」などの編集長も兼務。これまで就職情報誌、女性ビジネス誌、ライフスタイル誌などの編集を手掛け、「人と社会」の関わりを見つめてきた。

 大学をどう選ぶかは受験生にとって大きな問題ですが、なかなか決め手がない人が多いのではないでしょうか。偏差値やブランドだけで選んだ大学で、入学後に違和感を持ったまま過ごすには、4年という時間は長過ぎます。私は大学選びよりもまず、学びたい学部・学科を考えることのほうが重要だろうと思います。

 そのためにやってほしいのが、「自己分析」と「社会分析」です。まず中学・高校時代に夢中になったこと、打ち込んだものを書き出してみてください。それは勉強でも、部活動や趣味でもかまいません。次にそこから得たものと、得られなかったものを書き出してみる。成功体験だけでなく、スポーツでどうしてもライバルに勝てなかった、といった経験も貴重な学びです。そうしたすべてを踏まえたうえで、将来社会人になっても続けたいのはどんなことかを考えてみます。

 次に社会分析です。世の中に関するニュースのなかで、自分が他より関心のあることを思い出してみてください。子どもの貧困、日本と外国の関係、食の安全や食糧問題……。何か思い当たるものがあるのではないでしょうか。

 そうしてふたつの結果を並べてみると、次第に浮かび上がってくるテーマがあるはずです。たとえば文化祭で、みんなで協力し合ってひとつのものを作りあげたのが楽しかった。そして社会の問題では外交関係が気になる。だから国際協力やコミュニケーションを学ぶのが向いているかもしれない……という具合です。


時代の変化の中で大切な自分の「軸」

 実をいえば、私自身はもっといい加減に学部・学科を選びました(笑)。こんなふうにやれば良かったというのは、大人になって仕事の経験を積む中で考えたことです。しかし現代では、どんな有名企業に就職しても一生安泰ということはありません。将来環境が大きく変わったときも、しっかり自分の足で立っているためには、自分のなかに強い「軸」が必要です。18歳、19歳といえばもう大人の入り口ですので、受験という機会に自分自身を見つめ直すことの意味は小さくないでしょう。

 私が受験生にこれをすすめるのは、他にも理由があります。現在、2020年度から新たな大学入学共通テスト(仮称)に関する議論が続いています。まだ具体的な方式は決まっていませんが、確実なのはこの新しい入試が、思考力・判断力・表現力を問うものになるということです。先ほど紹介した自己分析と社会分析は、自分の考えをまとめ、自分なりの言葉で表現するための訓練にもなります。

 2020年実施ということは、新しい入試を体験する第1号は、現在の中学3年生。高校1年生の人は、現役受験なら現行のセンター試験、浪人すれば新しい試験となるので不安はさらに大きいかもしれません。しかし当然ながら、試験が変わってもこれまでの勉強が無駄になるわけではないので、自分は将来何がしたいのかという原点を忘れてほしくないと思います。入試が変わるから負担の少ない学部を選ぶというのでは、あまりに本末転倒です。

 新方式の詳細が固まる前に、すでに新たな二次試験やAO入試など、独自の入試改革を進めている大学も少なくありません。ある国立大学では、受験生にプレゼミナールを受講させ、その後に時間をかけて実験や論文作成に取り組むよう求めるユニークな入試が始まりました。別の私立大学では、「地域貢献」への意思や実績を評価の指標に加えた新たな入試がスタートします。

 保護者は自分の時代とは大学入試が大きく変わっていることを理解したうえで、子どもと一緒に知識のアップデートに努めながら、人生の先輩として適切なアドバイスをしてあげてほしいと思います。

(談)