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05月27日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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大学選びの目的は“成長”

少子高齢化やグローバル化の進展、さらにテクノロジーの発展などにより、目まぐるしく社会が変化する時代を迎えて、大学での学びも大きく変わってきている。ジャーナリストの津田大介さんに、大学の現状や今後求められるもの、進学を目指す受験生へのアドバイスなどを聞いた。

社会の変化に伴い学生は多忙になった

ジャーナリスト
津田大介さん
つだ・だいすけ/1973年、東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービスなどを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムを様々な形で実践。著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)など。

 これまでいくつかの大学で教えてきましたが、僕らの頃と比べて今の学生は非常にまじめです。出欠をとらない授業にもしっかり出ますし、教えがいのある学生が多いですね。

 ただ、昔より学生が忙しくなっている印象を受けます。以前よりも学費が高くなり親だけでは負担しきれずにバイトが必要だったり、就職活動も3年生の終わりから始まったり。1年間留学したいなら、1年生か2年生で行くしかない。本来大学はもっと自由で卒業後の生き方を考えたり、自分の可能性や選択肢を広げたりする場所なのに、忙しすぎてそうしたことに時間を使えない学生が多いですね。

 だから大学は頑張っている学生の学費を減額・免除するなど、できるだけサポートしてほしいと思います。そういう学生は卒業後、大学のブランディングに寄与してくれる最大の財産でもあるわけですから。学費を免除してもらえたら、卒業した後にもいろいろなことに協力してくれるはずです。

 一方で、インターンシップなどのキャリア支援はとても充実しています。以前は企業の名前や安定性で就職先を選んでいましたが、今はインターネットに情報がたくさん出ていますし、実際に企業へいってみることもできる。在学中から社会に出られる機会も増えています。各大学で、やる気のある学生がいろいろなことにチャレンジできる環境が整ってきていますね。


人と出会うことでルートが広がる

 今後、大学はティーチングの場なのか、コーチングの場なのか、ということが問われると思います。もちろん直接話をしながら教えることも大切ですが、大教室でティーチングするだけなら、MOOCを使ってインターネットでも学べる。海外の大学の授業も無料で見ることができます。

 すでにアメリカの大学では、そういうもので予習して、疑問に対して教授がコーチングする反転授業が増えていて、多分日本も同じようになる。そのときに、学生と教員、あるいはゲストがインタラクションを起こすようなワクワク感を提供できる大学に学生が集まるようになると考えられます。

 今はもう偏差値の高い大学に行き、大企業に入れば安泰という時代ではありません。学歴は重要ですが、考慮要素の一つにしかならなくなると思います。

 今後は偏差値ではなく、自分の性格と校風や雰囲気、教育が合っている大学を選ぶことが大事です。自分とマッチした大学に行けば大きく成長することもできます。大学によって様々な特色がありますから、保護者もリサーチして情報を提供してあげてほしいと思います。

 受験生に覚えておいてほしいのは、人生には別ルートがたくさんあるということです。失敗したりつまずいたりしても、必ず別のやり方があります。ただ、その方法はネットや本には出ていません。人が知っているんです。やりたいことや好きなことをしていけば、いろいろ教えてくれる大人に出会います。大学の教員にも面白い人は多いので、大学を選ぶときには、どんな教員がいるかを調べておくといいですね。

 そして大学に入ったら、学生や先生だけではなくたくさんの人に会ってほしい。学生の持っている特権は、会いたい人に会えることです。作家や経営者など有名人でも、学生から頼まれると無理してでも時間を作ってくれることが多いです。しかし会いに行って話を聞くだけでは相手の時間を無駄にしてしまうので、礼儀正しく自分が思っていることをぶつけてみる。それが大切です。

 大学生のうちにできるだけ多くの人と会って刺激を受け、いろいろなことにチャレンジしてもらいたいですね。

(談)