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08月26日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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グローバル関連の学部がみなとみらいに集結

兼子良夫学長

 「これからの大学の“本当の価値”をはかる尺度、それは混迷の時代を切り拓(ひら)く力でしょう。変容する資本主義社会をしなやかに生き抜き、確かな貢献ができる人材を育てるには、大学が未知の分野や課題に積極的に挑んでいく必要があります」と、兼子良夫学長は語る。

 創立からおよそ90年、開港の地・横浜において多様な学びと研究で強い存在感を示してきた神奈川大学が今春発信したニュースは、大きな話題を呼んだ。みなとみらいに新キャンパスを開設し、2021年春の完成時にグローバル関連学部を集約することで、横浜市が進めているエリアマネジメントに開発事業者として参画するというものだ。

 キャンパス開設には、さらなる国際化が加速しているみなとみらいエリアの風を学生たちが肌で感じることに加え、この地に拠点を持つ世界的企業との連携強化などの狙いがある。すでに研究機構の設立のための相互交流など、複数のプロジェクトが始動しているという。

 「横浜市からは地域の触媒として存分に影響力を発揮してほしいと要請されました。建学当時から続く本学の探究姿勢と遂行力に、大いに期待してください。100周年、その後の100年を見据えた取り組みにしていきます。また、このキャンパスは来春入学する学生たちが学ぶ舞台にもなります。就職に際して、すばらしい刺激をもたらすことになるでしょう。みなとみらいキャンパスの整備やキャンパス全体の編成に向けて、教職員の士気も高まっています」

 国際的感性と21世紀を生き抜く実践的能力を身につけた“良識ある市民”の養成を目指す神奈川大学。新キャンパスは、グローバルなにぎわいのなかで知識の融合と世代間交流が生まれる拠点と位置付けている。キャンパスを利用することになるおよそ5000人の学生はもちろん、地域住民や社会に対する価値還元の場として幅広く活用する予定だ。

横浜で学び世界へそしてふるさとへ

ゼミではたくさんの議論を通じて発言力や主体性を養っている

 新キャンパス開設に代表される神奈川大学のグローバル化推進の根幹には、グローバルとローカルの二つの視点を持った「グローカル思考」がある。

 「本学は1930年度には地方入試を取り入れていたこともあり、地方出身者が約4割を占めます。全国型大学として〈横浜で学び世界へ、そしてふるさとへ〉を掲げ、地方創生に貢献する人材育成も大きなテーマに据えているのです。約22万人の卒業生による全国各地のOB組織があり広範なネットワークを有していること、自治体とのU・Iターン就職支援協定を多数締結していることも特徴でしょう」。兼子学長は神奈川大学の「地方での強さ」を明かしつつ、世界・国内の大都市・地方と、どこであっても活躍できる人材の育成過程に必要なポイントを挙げる。

 「ヒト・モノ・カネが活発に行き来する現代においては、世界市場を意識し、多様性に触れなくては戦うことができません。大切なのは、背景が異なる人々とたくさん対話をすること、多くの気づきを生む授業と出合うことです。本学は世界28の国と地域にある112大学の留学生を迎えていますし、国内各地から学生が集います。また、7学部20学科2プログラムという多様な学問領域があります。総合大学の利点を、たっぷりと体感してください」

 大学での学びを自らの力にするには、ちりばめられたヒントを受け取る能力を高めることが欠かせない。そのため、神奈川大学では教養教育に注力する。

 「産業構造も未来に残る職業も、変わっていきます。だからこそ、大学4年間で思考力、判断能力、検索情報を精査するリテラシー能力といった社会人としての基礎体力を支える力を養うのです。そのための教養教育と考えています」

 1年次からの共通教養科目は幅広く、人文、社会、自然、外国語、人間形成、キャリア形成などの分野がある。前期にはFYSと呼ばれる「大学で自ら学ぶ力」を育むための導入科目が必修とされており、双方向型の少人数演習も特徴的だ。さらに、予習や授業中の発言の有無から主体的な取り組みを促す科目も段階的に増えていく。体系化されたカリキュラムが“ゼミ・卒研の神大”と称される学びの源流にある。こうした授業の数々に「最初は驚いたものの、鍛えられた」と自己分析する学生も少なくない。授業のほか、学外ボランティア、留学、国内外インターンシップ、就職といった様々な活動にも、個別のサポート体制が敷かれている。

ハードとソフト両面のグローバルな環境づくり

 自主性を高める学びは、学内のグローバルエリアの利用や留学への意欲にもつながっていくようだ。施設や体制整備を進めるなか、授業の合間に立ち寄って外国人講師と会話練習ができる「English Lounge」が人気だ。ネイティブスピーカーによる授業の増加、語学検定試験で一定スコアを獲得した場合に単位を認定するなど様々な仕組みがあることで、世界に踏み出すための環境が積極的に活用されている。国際寮で語学力やコミュニケーション能力に磨きをかける日本人学生もいるという。19年には留学生と日本人学生が生活を共にする新たな国際寮を開設予定だ。交換留学や推薦語学研修プログラムも多彩で、窓口となる国際センターには、世界28の国・地域に点在する協定・提携校の情報がそろえられている。

 「個人の飛躍につながるチャンスを増やしており、多くの学生が多様な制度を自分らしく活用しているのです。本学にはこうした仕組みや、高い研究力と英知に基づいた学びがあります。意欲あふれる皆さんの入学を期待しています」

創立100周年を見据え
「みなとみらいキャンパス」開設へ

 2018年に創立90周年を迎える神奈川大学。100周年に向け、将来構想の第二期中期実行計画では「競争力を強化し、社会的ポジショニングを高め、魅力ある学園を構築する」ことを掲げている。これを具現化するのが「みなとみらいキャンパス構想」だ。教育面では、世界諸地域ならびに日本の文化と歴史を理解したグローバルな人材を育成する新教育組織の設置や既存のグローバル系学部の集約を構想している。

 新キャンパスのコンセプトは「国際・日本」の融合した未来「創造・交流」キャンパス。あらゆる「人」が集い「知」が交流する拠点・ソーシャルコモンズとして、新しい学びと賑わいが生まれる場の創出を目指している。

伝統の「給費生制度」
最大800万円、返還不要の奨学金
給費生には海外語学研修の機会も
用意されている

 1933(昭和8)年から続く神奈川大学独自の「給費生制度」。全国から優秀な人材を募り、その才能を育成することを目的とした奨学金制度だ。

 今年度から大阪会場を新設。12月23日(土・祝)に全国20会場で実施される「給費生試験」の結果、給費生として入学すると、入学金などを除く初年度の学費が全額免除されるほか、返還不要の奨学金(文系学部は年額100万円、理工系学部は年額130万円)が原則として4年間給付される(毎年継続審査あり)。

 また「教育は人を造るにあり」という創立者の思いを継承した「米田吉盛教育奨学金制度」には多種多様な給付型奨学金がそろう。前述の「給費生制度」と同様に入学前に採用候補者を決定する「予約型奨学金」のほか、「新入生奨学金」「地方出身学生支援奨学金」など新入生向けの奨学金も充実している。

U・Iターン就職支援協定
全国16県の自治体と連携
協定締結時の兼子良夫学長(左)と
山形県の吉村美栄子知事(右)

 地方出身者が約4割を占める全国型の神奈川大学は、地域密着・地域貢献を目指した学びを経て、U・Iターン就職を希望する学生も多い。就職支援部では長年にわたる学生の支援実績と企業訪問で得た独自の採用情報をもとに、「横浜で学び、地元で貢献する学生」を輩出すべく支援している。

 自治体との就職支援・促進協定も積極的に推進しており、全国16県と「U・Iターン就職協定」を締結。6月中旬には、協定を結んだ自治体を含む全国40道府県が参加する「U・Iターン就職&インターンシップ相談会」を開催する予定だ。多面的な学生支援環境を整え、学生一人ひとりに合わせたサポートを展開している。