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10月17日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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実学と人間涵養(かんよう)を両立し「学生ファースト」を実現

長谷部八朗 学長

 緑豊かな都市型キャンパスに満ちる清浄な活気。それは、「禅の心」に基づく教育という伝統が生み出すものかもしれない。駒澤大学は、1592年に仏教の研究と漢学の振興のため寺院の境内に設立された「学林」を前身とし、明治時代に校舎を移転して開校した。発祥にさかのぼれば420年以上の歴史を持つ総合大学だ。

 今年4月に就任した長谷部八朗学長は、仏教の教えと禅の精神を基本とする教育理念を語る。「本学の建学の理念である"行学一如"(ぎょうがくいちにょ)とは、自己形成を目指す"行"と学問研究の"学"が一体であるという理想を示した言葉です。高い倫理観のもとで学問研究を自らの血肉としていく。それが深い学びとともに自己のアイデンティティーを確立する道だと考えています」

 多様な価値観が交錯する現代、世界秩序や既存の価値観の変化へのしなやかな対応が必要だ。次世代を担う人材を生み出すのは大学の責務でもある。「学生に身につけてほしいのは、柔軟な心と他者愛です。高い専門性や実用的なスキルを持ち、かつ成熟した精神性を備えた人間の育成。社会に生まれたひずみや課題を創造的に解決していくには、精神性を成長させていくことが重要です」と長谷部学長は言う。

 こうした思想を具体的な教育体制として提供するのが「学生ファースト」という大学の姿勢だ。例えば、カリキュラム改革により学生が資格取得にチャレンジしやすい環境をつくる。「教育の質」を保証するために、学生目線の評価も取り入れながら、授業内容の改善を図る。教学改革を学長主導で進める。それらの活動は、2030年を見据えて制定した長期ビジョン「駒澤2030」に基づき、着々と現実化している。「大学の教育は、ひとえに学生のためのもの。学生ファーストとは、本当に社会に必要とされる能力を身につけ成長させる教育の柱となります。教職員一体となって取り組んでいきます」

ハードとソフト両面から着実な改革を実行

 駒澤大学の個性豊かな改革は、キャンパス再開発計画と特色ある研究、産学連携など、総合的に進められている。

 まず環境の整備としては、12年の開校130周年を記念して建設中の記念棟「種月館(しゅげつかん)」が今年12月に竣工、18年4月から運用を開始する。9階建ての高層棟と4階建ての低層棟から成る先進的な建物は、駒沢オリンピック公園に隣接する環境を生かし、自然エネルギーを利用した省CO2の構造と、災害対策拠点としての施設を完備。ICTを活用してエネルギー管理の最適化も図っている。建物内には日本で初めての産学連携による「放射線治療人材教育センター」も設立される。

 特長的な取り組みとしては、文部科学省の「私立大学研究ブランディング事業」に採択された「禅ブランディング」が挙げられる。「世界各地でのテロ事件やナショナリズムの高揚など、不安定な社会状況から“心の問題”が深刻化しています。東洋思想の“禅”は西洋社会においても注目され、文化、社会制度、健康など領域を超えて研究される分野です」と長谷部学長。禅の研究に長い歴史と蓄積があり、研究者も多く在籍している駒澤大学が拠点となり、世界に研究成果を発信し、問題への提言を行っていく。大学の独自色(ブランド)として打ち出し、世界に広く貢献するこの事業は、学生の誇りともなるだろう。

学びを包み込み、導く 多彩なサポート体制

※就職希望者数:2,879人/就職決定者数:2,817人(2017年5月1日現在)

 学生ファーストの姿勢は、一人ひとりがのびのびと、充実したキャンパスライフを送るための支援体制にも表れている。

 学生のうちに体験したい国際交流に関しては、交換留学、認定校留学、短期語学セミナーなど多種のプログラムが用意され、学内の「国際センター」が窓口となり、情報提供から語学試験対策、留学先での授業の選択方法など、留学希望者の挑戦をサポートする。文部科学省が展開する留学促進キャンペーン「官民協働海外留学支援制度~トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム~」にも、駒澤大学から2人の学生が選出されている。

 親元を離れて入学する学生のためには、都心でも安価な家賃で住みやすく、安心して暮らせる大学の優先寮がある。栄養状態に配慮し、学食では「100円朝食」も提供され、学生から好評だ。金銭面では返還不要の奨学金制度が手厚く用意され、学ぶ意欲を後押しする。

 就職支援は、キャリアセンターが親身で心強い。1・2年生対象のキャリア講座、実践的な内容が学べる就活集中セミナーなど幅広く豊富なプログラムが用意されている。ミニガイダンスには、マナー講座や業界研究講座、坐禅(ざぜん)などもある。学生と二人三脚で就職活動に挑むキャリア支援プログラムの成果により、就職率は安定的だ。16年度の実績では、1万4726社からの求人があり、求人倍率は5・11と全国の大卒求人倍率1・74( ※ )に比べて3倍近い数字になっている。

 歴史と伝統、そして細やかなサポート体制に包まれて、23万人もの卒業生が駒澤大学から巣立ち、社会に貢献してきた。長谷部学長はこれから学ぼうとする人たちを激励する。「大学は先生や友達だけでなく、書物や言葉との出会いの場でもあります。若いうちは好奇心を持って、アクティブに活動すべき。試行錯誤を重ねることで人間として次のステップへ進めるのです。本学で多くの出会いを経験し、自分の道を見つけてほしいと思います」

※出典 リクルートワークス研究所(2017年3月卒業対象)

7学部17学科に全国から集う
多様な学生同士の出会いも

 駒澤大学には仏教、文、経済、法、経営、医療健康科、グローバル・メディア・スタディーズの7学部があり、一つのキャンパスにまとまっている。全国から1万5000人以上の学生が集まり、そのうち1都3県以外の出身者は37.5%。駒沢オリンピック公園に面した緑豊かな環境ながら、最寄り駅の田園都市線駒沢大学駅は渋谷まで7分と都心へのアクセスの良さも魅力のひとつだ。

産学連携でがん治療に寄与
放射線治療人材教育センター
2016年11月に行われた調印式

 医療健康科学部は、がん治療などの医療現場で、医療画像と放射線治療のプロフェッショナルとして活躍する診療放射線技師を育成している。今年竣工する記念棟「種月館(しゅげつかん)」に設立される「放射線治療人材教育センター」は、株式会社バリアンメディカルシステムズ(日本法人)と駒澤大学の連携で実現した教育機関だ。リニアック(医療用直線加速器)など最先端の実機を導入し、駒澤大学の学生・大学院生だけでなく、一般の医療従事者向けにも教育コースを設置する。高い水準の放射線治療専門技術者をより多く育て、安全で苦痛の少ない、精度の高い放射線治療を目指していく。

給付型奨学金が充実
大学生活を金銭面でも支援

 学ぶ意欲を応援するのは、大学独自の奨学金制度だ。「新人の英知(入試特待生)奨学金」は、一般入試2月T方式(グローバル・メディア・スタディーズ学部はS方式)で、極めて優秀な成績で合格し、入学を確約する学生(事前申請)に対して、年間の授業料に相当する額を給付する。また、「全学部統一日程入学試験奨学金」は、2月実施の全学部統一日程入試を受験し、上位200人以内の成績で入学する学生に年間30万円を分割支給。所定の成績基準を満たせば4年間継続して給付される。どちらも返還は不要。その他の奨学金も充実している。