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04月24日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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歴史とともに進化してきた 医療・教育・研究機関

赫彰郎理事長

 1876(明治9)年、西洋医師養成を目的とした日本最古の私立医学校で、日本医科大学の前身となる「済生学舎」が開学した。それから140年の時を重ねたいま、学校法人日本医科大学の赫彰郎理事長は「たとえ、どの病院でも診てもらえない患者さんがいたとしても、ここへ来れば必ず診療を受けられる。日本医科大学は、そんな最後の砦を目指したい」と話す。

 明治維新を経て、日本が近代国家として歩み始めたばかりの1876(明治9)年、医師の早期育成を目的として「済生学舎」が設立された。「私心を捨て、全ての人々を分け隔てなく助ける」という設立者、長谷川泰の思想から定められた「済生救民」「克己殉公」の建学の精神と学是が、現在の日本医科大学に脈々と受け継がれていることは、先述の理事長の言葉からも明らかだ。「済生学舎」は、1903年に廃校となるが、28年の歴史において9000人以上の医師や医学者を育て、その中には世界的な細菌学者である野口英世や小口病の発見者、小口忠太などがいた。また、当時日本の開業医の半数以上が「済生学舎」の出身者であったといわれており、日本の医療の礎として大きな役割を果たした。廃校に際して、当時の学生を救済するために旧済生学舎の教員によって同窓医学講習会が開講され、これが1910年に千駄木地区に設立された私立日本医学校と付属駒込医院へとつながっていく。1952年に、現在の学校法人日本医科大学となり、伝統ある日本獣医畜産大学(現日本獣医生命科学大学)と合併し、1法人2大学での学校運営をスタートした。

これからの医療課題に 応えていくためのビジョン

両大学の学生がともに学ぶ武蔵境合同教育施設

 今年、創立から140周年を迎えた日本医科大学は明治・大正・昭和の時代にその時々で必要とされてきた医療を提供するため、伝統を受け継ぎながら進化を続けてきた。これからも常に質の高い教育、研究、診療を維持し、未来へつなげていくために、設備や建物の再開発が必要不可欠となり、創立130年を迎えた2006年に「学校法人日本医科大学アクションプラン21」が策定された。大学及び付属病院の再開発、最新鋭の教育・研究施設、近隣住民との共生を図った環境づくり、災害拠点病院としての充実などを盛り込んだ中長期プランが現在進行中だ。2014年には前期工事の約70%が終了し、同年の8月からは新病院での診療が始まっている。

 「いよいよこのアクションプランも終盤にさしかかってきました。新病院の診療では、これまでよりもさらに患者と医師との信頼関係が深まっているように思えますし、安心・安全を実感していただいています。このアクションプランは、日本医科大学の〝再生プラン〟としてスタートしましたが、ここへ来て〝さらなる成長へのプラン〟へと進化しているようです。これからも新しい時代に適合した医療人を養成できる大学・病院であるために、一層連携を深め、情報共有していくことが大切だと感じています」(赫理事長)

 2018年1月にはリニューアルを終え、これからの医療を見据えた新たな日本医科大学が誕生する。

世界の医療の発展に 貢献することを使命に

 医療を取り巻く環境は常に変化し、時代とともに多様化してきた。高度でより良い医療によって社会に貢献していくため、日本医科大学では新たなミッションステートメント(責任をもって果たすべき任務の宣誓)に「知を創造し、価値を社会に還元する。科学と発明の循環によって人類を豊かにする」を掲げている。学校として、病院としての新たな使命に対して、赫理事長はこう語る。

 「医療を通じて、社会に貢献していく組織であるためには、本学にかかわる一人ひとりが『昨日の医療を超えた今日の医療、今日の医療を超える明日の医療』と、進化し続ける医療を追究していかなければなりません。さらにこれからは、医学だけではなく、ロボットや人工知能といった工学など、医学以外の専門分野との融合を図っていく必要があるでしょう。医学博士であり、工学博士でもあるという人材を育成するためにも、複数大学化の重要性を感じています。この先20年で、学術機関としても世界最高峰を目指していきます」

 異分野との融合・連携が不可欠であるこれからの医療人を育成する場としての環境も整備されつつある。2014年に完成した合同教育施設もその一つだ。ここは、同一法人で獣医学部と応用生命科学部のある日本獣医生命科学大学との共用キャンパスとなり、1年次の基礎科学課程では、異分野を志す学生同士が同じ敷地内で学んでいる。「都合や自分の欲ではなく、患者さんのためを考える。患者さんを選ばず、全ての人を診る。人がやらないことを進んでやる。脈々と受け継がれた『克己殉公』の精神を持った本学出身の医療関係者には、そんな人が多いのです」(赫理事長)

 先端の医療機器、臨床の現場でチーム医療の一員として患者と向き合うことを通し、これからの医療を担う学生たちにも〝日本医科大学の精神〟が受け継がれていく。

世界で活躍できる医師に
国際認証基準対応カリキュラム
最新の機器を使用した病理学実習
日本医科大学教育棟

日本医科大学

 2023年からは、国際認証基準を満たした医学部を卒業していなければ、アメリカの医師国家試験の受験資格が認められなくなる。日本医科大学では、2014年度から国際認証基準に対応したカリキュラムを導入。グローバルスタンダードを満たす実践的な教育を重視し、世界で活躍できる医師の養成に取り組んでいる。

医学と獣医生命科学の統合
生命の大切さを理解する
日本獣医生命科学大学

日本獣医生命科学大学

 山梨県富士河口湖町にある富士アニマルファームは、大学付属牧場として実習、試験研究、生産を目的として乳牛や肉牛、めん羊、ヤギ、馬、犬など様々な動物が飼育されている。6ヘクタールもの広大なファーム内には、大動物臨床センターや宿泊研修施設も併設され、学生は泊まりがけで動物たちと実際に接していく。牧場実習や農場実習、家畜人工授精講習会などを行う実習の場となっている。

豊かな自然環境のもとで
Heart Hand Headを培う

日本医科大学看護専門学校

 看護には人と自分の喜びや悲しみを感じる「感性 Heart」、看護に興味を持ち、自ら学ぶ「姿勢 Hand」、学ぶことのすばらしさを知る「能力 Head」が大切だ。「人間関係のプロセス」ともいわれる看護。日本医科大学看護専門学校では、専門職としての知識・技術とともに自律性、主体性、創造性に富んだ豊かな人間性を育み、質の高い看護実践者を養成していく。2015年2月に実施された第104回看護師国家試験では現役合格率100%(85人中85人)を達成した。