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07月24日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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海外体験プログラムが学ぶ意欲を引き出す

最先端の解析装置や計測機器を使い、実験を行う

 「Maybe this electrode…」「Well, let’s try.」。文化的背景も価値観も異なるベトナム人学生と日本人学生がともにロボットの基板をのぞき込み、英語と数式、身ぶり手ぶりも交えたディスカッションが白熱する。海外協定校や企業と2週間のプログラムで専攻に応じた課題に取り組むグローバルPBL(Project Based Learning=課題解決型学習)のワンシーンだ。参加した学生は、世界の学生との協働に手応えを感じ、コミュニケーションに自信を得ていく。芝浦工業大学には、こうしたグローバルPBLのほかにも、多彩な留学プログラム、短期語学研修、海外インターンシップ、海外ボランティアなど、海外体験の機会がふんだんに用意されている。

  

 「日本の産業界はすでにグローバル化しています。これからの理工学人材は、いろいろな国の人と協働することが必須になるでしょう」と村上雅人学長は言う。2014年には私立理工系で唯一スーパーグローバル大学創成支援事業に採択され、世界水準の大学となる道を見据えた。これは村上学長が掲げる“世界に学び、世界に貢献するグローバル理工学人材の育成”を再確認する作業でもある。採択後3年を経て、日本人学生の留学経験者数、海外からの留学生数は年度ごとの事業計画の目標値を超えている。

  

 日常的な海外交流は授業だけではない。学内には「グローバルラーニングコモンズ」という場が設置され、学生スタッフが留学生をサポートし、交流イベントを開催している。世界各国の学生たちが理工系という共通点を持って集い、活発に意見を交わす。楽しげなその熱気は周囲にも広がっていく。

 

 これらの取り組みは、27年の創立100周年に向けた「Centennial SIT Action」の一部でもある。10年で「アジア工科系大学のトップ10入り」、そして「理工学教育日本一」を目指す。この日本一とは、村上学長いわく「学生が大学の教育によってどれだけ成長したかを大切にし、常に学生の学修成果を把握し、それを教育改革に生かす教育です。そして“読み書きそろばん”の基礎、各専門分野の知識の修得と、その活用ができる能力に加え、グローバル社会で活躍できる社会人基礎力を有する人材育成を目指します。なによりも、教職員が学生の学びの心に火を灯すことが大切と考えています」。

共同研究で身につく社会に貢献する価値

 理工系大学で大事なのは、世界レベルの研究分野を持ち、学生が最先端の研究に触れることだろう。「Centennial SIT Action」では、研究ビジョンとして①産学共同研究の推進②研究拠点環境の整備③研究成果拡大の3点を重点方策としている。これを実現するために「芝浦型ERC(Engineering Research Center)」という産学連携の枠組みを構築した。「ERCは、目標を明確にして実用化を目指す研究チームです。企業が協力し、学生を含むさまざまな分野の研究者が参画して組織化します。研究そのものが教育となって学生の実践力は飛躍的に向上します」と村上学長。

 テーマは医療や介護、ロボット技術、省エネルギーなど社会のあらゆる課題に及び、大学の使命である社会貢献とイノベーションの創出を果たしていく。さらに芝浦工業大学が発起人となり、国際機関や民間企業、国内外の大学と協力するために立ち上げたGTI(Global Technology Initiative)コンソーシアムも積極的に活用して、国際共同研究も増やす見込みだ。

 

 また、その一方で地域連携プロジェクトも進めている。「地(知)の創造拠点」は、学生が自治体や地元企業と交流し、共通の課題に取り組むなど、まちづくり、ものづくりを通じた人材育成。「世界の最先端研究と、地域連携はいわば車の両輪です。教育にはそのどちらも必要です。最終的にそれが融合するのが理想だと思います」

スピーディーな改革で工科系大学をリードする

空き家を改修し、地域コミュニティ創出を目指す学生プロジェクト

 「廃炉のためのロボット技術コンペ奨励賞」「日本建築材料協会優秀学生賞」など、芝浦工業大学の学生は学外のコンクールやコンペで続々と実績を生んでいる。学内でも毎年、学生が企画・立案したプロジェクトに最大50万円が支給される「学生プロジェクト」への応募が盛んで、課外活動を奨励する雰囲気がみなぎる。村上学長もその成果を喜び、「賞を取る達成感だけでなく、計画を立て、仲間と役割分担をして試行錯誤をする、という過程で学生は著しい成長を得ています。周囲の学生にも刺激を与えるので、大学も積極的に支援します」と言う。

 活気があり開かれた大学像は、日本の工科系大学をリードしている。それは、ダイバーシティ先進校を目指す環境整備にも体現される。多様性はイノベーションの基であるという学長主導の方針が浸透し、女性教員の数も飛躍的に増えた。女子学生は現在全学生に対して約15%の数だが、これも30%に増員していく目標だ。

 芝浦工業大学の取り組みは文部科学省から評価され、「私立大学等改革総合支援事業」のカテゴリーである「教育の質的転換」「地域発展」「産業界・他大学等との連携」「グローバル化」のすべてに選定された。全タイプ選定は4年連続になる。バランスよく効果的な改革を進める決断の速さと実行力が学生にとって快適な学習環境を作る。

 「SIT(芝浦工業大学)の10年後はSIIT。Internationalが加わるイメージを描いています。グローバル化も男女共同参画も、実は日本社会がまだ対応できていない部分。大学が変わることで、日本全体を刷新していけるのです」と村上学長。次の10年の波は、このぶれない知と技術の拠点から生まれるのだろう。

短期留学プログラムを複数用意
春夏の長期休暇で海外経験を積む

 本格的な半年以上の留学に加え、学生それぞれの語学力や海外経験に合わせた各種短期留学を用意している。16年度はこれらのプログラムを活用し、1,000人を超える学生が海外留学を経験した。

学習環境の整備を推進
製図室棟および総合グラウンドが完成
以前の2倍以上の面積になった「総合グラウンド」

 より良い学習環境に向けて、豊洲キャンパスに製図室棟「アーキテクチャープラザ」と、大宮キャンパスに人工芝の「総合グラウンド」が竣工。製図室棟は、17年4月より豊洲キャンパスで4年間を学ぶ「建築学部」開設に合わせて建設された。さらに留学生や留学希望者などの交流場所である「グローバルラーニングコモンズ」を大宮に続き今年度より豊洲でも運用を開始した。

実践的な学びによる確かな就職実績 2016年度就職率 過去最高97.9%

 16年度の就職率※は97.9%と私立理工系大学でトップクラスを誇っている。堅実な実績を残していることから、「仕事に強い大学」として評価されている。

※ 就職率:就職希望者1,539人のうち、就職が決定した者1,507人の割合