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03月21日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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社会貢献を果たすべくQOL向上に資する

長年国際部門を率いた経験からグローバル化を推進する山田清志学長

 建学75周年を迎える東海大学は、来春から「文化社会学部」「健康学部」を新設し(※1)、19学部75学科・専攻・課程編成となる。北海道から熊本まで全国に八つのキャンパスを持ち、国内有数の規模を誇る総合大学が100周年に向けて掲げるビジョンは、多様化する社会の課題に正面から取り組むことができる“世界標準の人材”の育成だ。山田清志学長は語る。

 「本学は建学当時から研究や技術を人の暮らしに役立てて貢献することを重視してきました。受け継がれてきた伝統をより強く打ち出し、総合大学ならではの様々な分野のコラボレートによる研究成果に基づいた学びを学生に提供することで、人々のQOL(※2)向上に寄与します。確かな力を備え高い理想を持った“世界標準の人材”を国内外に送り出すこと、それが3万人に迫る多くの学生を抱えている本学の使命だと考えています」

 文化社会学部は、グローバル化やデジタル化が進むなかで必要とされる課題解決力を育むカリキュラム編成で「多文化理解」「言語表現」「メディア」「自立と共生」をキーワードにした6学科を設置。いずれも課題に対して実践的に挑戦していく。「アジア学科」「ヨーロッパ・アメリカ学科」「北欧学科」は、特定地域のスペシャリストとなるべく実地研修や現地調査などのプログラムがそろえられている。表現やコミュニケーションといった現代社会の領域で新たな視点の獲得を目指す「文芸創作学科」「広報メディア学科」「心理・社会学科」は、高い情報発信力と社会的構想力を備えるためのプログラムに特徴がある。

 健康学部は「健康マネジメント学科」を設置。高齢化社会を迎えて国内外の課題を踏まえ、全ての世代が健康に暮らすためのマネジメントを担える人材を育成する。「メンタルヘルス」「運動」「ソーシャルウェルネス」「食・栄養」という四つのカテゴリーについて、多彩なフィールドワークをベースに学ぶカリキュラムが組まれる予定だ。

 「理念としている文理融合を第一に据えた二つの新学部は、文学部、農学部、海洋学部、体育学部、医学部、付属病院など、数多くの学部や施設との相乗効果を見込んでいます。中長期的な視点に立ち、大学の資産を生かしながらの“価値と学びの創造”を目指しています。本学は国内外の人々の課題解決、そしてQOL向上に対して全学的に取り組んでいきます」

学部横断で進めている幅広い分野の先端研究

 研究力の高さが特色の東海大学。ジャンルを問わない全方位型研究を掲げ、多様な分野で大きな成果を上げている。学部横断型の研究分野も幅広く、1700人近い教員をマッチングして研究のダイバーシティーも進めているという。

 医・理・工が連携する学内組織「マイクロ・ナノ研究開発センター」では、外科手術を想定した層状超薄膜絆創膏(ばんそうこう)の開発に成功。文理融合の研究も盛んで、エジプトやアンデスなどの文化財研究では文系領域に科学的なメスを入れ、学内外で大きな話題を呼んだ。

 文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」に選定された「災害・環境変動監視を目的としたグローカル・モニタリング・システムの構築による安全・安心な社会への貢献」では米国、ドイツや中国など海外の研究機関との共同研究に加え、自治体とも連携。衛星観測などによるグローバルな情報と、地域住民などからソーシャルメディアを介して発信されるローカルな情報を有機的に結びつけ、災害・環境変動監視を目的とした新たなシステムを構築し、社会の安全・安心に寄与する。

 このほか昨年8月には文部科学省が主催した「産学パートナーシップ創造展」において、総合研究機構をプラットフォームとして産業界と協働する「TIARA(※3)プログラム」を披露した。組織対組織の新たな産学連携体制構築を目指したもので、大学と産業界の間でパートナーシップを創造するとともに、これまでにない新しい価値の創出を実現。これらが大学の幅広い取り組みを支えている。

グローバル化の推進と国際機関の高評価

マイクロ・ナノ研究開発センターでは異なる環境の研究者による共同研究が生まれている

 時代に即したグローバル人材の育成を目指し、学内の環境整備も進めている。象徴的な施設の一つに湘南キャンパスの「国際教育センター」がある。英語、フランス語、中国語など六つの言語では、入門から上級まで幅広い授業を展開。学生は興味やレベルに合った科目選択が可能で、日々スキルを磨いている。学外のスピーチ大会で優秀な成績を収めるなど、実績も目覚ましい。

 バラエティーに富んだ留学制度も魅力だろう。20の国と地域にある45機関との交換協定を締結。複数の派遣留学システムがあり、奨学金や単位認定制度などサポート体制も整う。

 こうしたグローバル化を中心とする取り組みが、世界的大学評価機関から注目を集めている。2015年、QS(※4)による「世界大学就業力ランキング」での「キャンパスにおける企業の採用活動状況」の指標で、東海大学は世界11位にランクイン。16年に発表されたQSおよびTHE(※5)の「世界大学ランキング」においても、世界に約1万8000ある大学・高等教育機関のなかで上位5%に位置している。

 「国内の私立大学において、QSおよびTHE双方の大学評価ランキングで世界の高等教育機関の上位5%以内にランクインしたのは、本学を含めてわずか5校です。これは日本の私立大学総数の約1%に過ぎません。こうした評価を揺るぎないものとし、世界に対してさらに強い存在感を示せる大学を目指したいと考えています」

 “世界標準”にこだわり続ける東海大学。新学部創設を機に、飛躍的な発展を遂げることになりそうだ。

※1 新学部名と学科名などは仮称。2018年4月設置計画中。
※2 生活の質(quality of life)の意。
※3 技術革新と革新的行動(Technological Innovative and Revolutionary Action)の略。頭文字をプログラムの通称としている。
※4 クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds)の略でイギリスの大学評価機関。
※5 タイムズ・ハイアー・エデュケーション(Times Higher Education)の略でイギリスの大学評価機関。

理工系学生の新たな研究拠点
「Techno Cube」が誕生
研究や自習のための学生向けアメニティーが充実している

 理工系の施設整備に注力している東海大学の新施設として19号館「Techno Cube」が完成した。地上10階建てで、3階までのフロアは国際会議にも対応する高機能設備のカフェステーション、ラーニング・コモンズ(学習支援空間)に加え、大学院生や教員ら研究者の交流の場としてのアカデミックラウンジも設置されている。

 4階から上のフロアは、各学部学科の研究室や実験室のほか、学生が自主的研究に取り組む学生室、コミュニケーションエリアが設けられた。1階から順に教育研究のレベルを高めていく「スパイラルアップ」を具現化し、学生の向上心を刺激する空間をつくり上げた。

多言語・多文化学習活動を
人気の「Global AGORA」で
語学をより専門的に学べる空間

 今年4月、湘南キャンパス1号館に言語学習の新拠点として期待される「Global AGORA」が誕生。日本人学生や海外留学生がともに学び合うことを目的としており、オープン以来、多くの利用者が行き交う国際的な空間だ。プロジェクトルームをはじめ、プレゼンテーションスペース、カフェなどを完備。また、多言語対応の学習相談室も開設し、学生たちの様々なニーズに応えている。

多くの学生の学修をサポート
2018年度から奨学金制度を改定・拡大

 新学部の開設を踏まえ、学びのバックアップ体制も強化する。来年度からは奨学金制度の採用人数を拡大。大学独自の奨学金制度を複数立ち上げ、より多くの学生たちの学修を支援する。

 「学修サポート給付型奨学金」は、事前予約制奨学金として大学入試センター試験利用入試(前期)の成績優秀者に対し4年間給付される。「ワークスタディ奨学金」は、学生が学内での様々な勤労業務に取り組むことで給付される奨学金で希望者が多いことから、採用人数を50人拡大する。このほか、学生のニーズに対応する奨学金を多数設置。今回の制度改定でおよそ3200人の学生たちを経済的にサポートすることになる。