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05月23日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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国際的な環境で育むグローバルリーダー

 アイデアと実行力。創立150周年に向けた中長期計画「Waseda Vision 150」を2012年に策定して以来、新たな改革策を次々に打ち出す早稲田大学には、今その言葉が何よりふさわしい。

 さまざまな改革に共通するキーワードをあげるとすれば、「世界」だ。かつて大隈重信創設者が宣言した早稲田大学の教旨は、「学問の独立」「学問の活用」「模範国民の造就(つくりあげること)」の三つ。現在の早稲田大学では、学問の独立を「世界へ貢献する礎」、学問の活用を「世界へ貢献する道」、模範国民の造就を「世界へ貢献する人」と捉え直し、卓越した研究と教育、卒業生の活躍によって、アジアのリーディングユニバーシティーの地位を確立すべく挑戦を続けている。

 現在、在籍する外国人学生数は約5400人に上る一方、海外留学を経験する在学生は毎年約4000人。これはダブルディグリープログラムや多彩な海外派遣制度、クオーター制の導入などがもたらした大きな成果だろう。学術交流協定を結ぶ海外大学・機関は700以上、学内で学べる言語は28、7学部13研究科では英語学位プログラムを実施している。グローバルな学びの環境は、すでに国内屈指だ。

 さらにその視線は、未来にも向いている。文部科学省のスーパーグローバル大学創成支援(世界トップ型)に採択された「Waseda Ocean構想」は、世界の先導的な大学との間で人材の交流と知見の共有化をはかり、質の高い国際教育研究システムを構築しようとするもの。その先にめざしているのは、「地球規模の課題解決と未来の創造」という壮大な構想だ。

体験から身につける多様性への深い理解

垂直はしごから昇降可能で災害対応が期待される脚型ロボット

 早稲田大学が学生たちに求めるグローバルリーダーとしての素養は、単に外国語の運用能力だけではない。さまざまな利害と理念がぶつかり合い、混迷の度を増す世界では、多様な価値を認め、理解する知恵が何より重要だからだ。

 ICC(異文化交流センター)は、学生が主体となって創り・育てる異文化交流のコミュニティー。ローカルステューデント(国籍を問わず、日本で育ち教育を受けた学生)とインターナショナルステューデント、学生と教職員、大学と地域など、多様な人たちが相互理解を深めるイベントや交流の場を提供している。

 また、目的に合わせて自由に選び、組み合わせることが可能な全学オープン科目、文系・理系を問わず全学生に不可欠な基礎教養としての「アカデミックリテラシー科目」など、日常的に学部や学年の違う仲間たちと出会う機会が多いことも、早稲田大学の学びの特徴といえるだろう。

 さらに、学生たちの主体的な学びと活発な議論を促すラーニングコモンズ(総合的な自主学習スペース)の存在も見逃せない。「W Space」と名付けられたその場所は、早稲田キャンパス3号館、7号館などに複数設けられているほか、戸山キャンパスではラーニングコモンズを併設した多機能型スポーツ施設の建設も進んでいる。

 早稲田大学では、卒業生の進路も実に多種多様だ。人気企業ランキングのトップ300社で社会人の第一歩を踏み出す卒業生は、全就職者の約半数。国家公務員「総合・一般」試験の合格者数も全国トップレベルにある。その一方で、就職先企業や機関の総数は約3千におよび、地域では46都道府県に広がっている。

 日常の学びから卒業後のキャリアまで、「多様性」は早稲田大学を語るうえで不可欠なキーワードといえるだろう。

大学の社会的責任とどう向き合うか

仲間との距離がぐっと近づく畳ブースのラーニングコモンズ

 近年、企業と同様、自らの社会的責任に意識的な大学が増えるなか、早稲田大学ではいち早く新たな取り組みを始めている。

 「紺碧の空奨学金」は、児童養護施設出身者を対象として、入学前に予約採用が決定する給付型奨学金。原則として4年間継続的に給付され、学費は全額免除、生活費も支援するという手厚い内容だ。能力がありながら、経済的困難のために進学が難しい人たちに扉を開くことは、学生の多様性を確保するうえでも大きな意味がある。

 もうひとつ、今夏から日本橋キャンパス(コレド日本橋)でスタートする「WASEDA NEO」というユニークな試みも見逃せない。未来志向と変革への志を持つ社会人を対象に、大学と企業の知を融合した質の高い研修や議論の場を提供する。パートナー企業・団体・大学は日本橋キャンパス内の「NEOイノベーション拠点」に入居することが可能で、分野を超えた活発な人材交流が期待されている。

 世界中から志ある学生が集い、世界平和と人類の幸福に貢献する研究が行われ、卒業生が世界のあらゆる場所と分野で活躍し、そして早稲田大学がアジアのモデルとなる。「Waseda Vision 150」は、150周年を迎える2032年の自らの像をそう描く。それまであと15年。早稲田からWASEDAへの進化は、さらに加速する。

地域で活躍する人を育てる
新思考入試(地域連携型)スタート

 グローバルな視野と高い志を持ちつつ、地域に社会的・文化的・学術的に貢献する人を育てるための新しい入試が来年度から始まる。この方式で入学する人には、大学での学習や研究、経験を生かして地域の発展に寄与することが求められるものの、卒業後のUターンなど進路を強制することはない。

 また、単なる「入り口」の改革ではなく、入学後の学びや卒業後のキャリアとも関連づけるため、地域交流フォーラムや出身地域でのインターンシップ参加などを推奨し、そうした活動を大学として全面的にバックアップしていく。

卒業生の活躍世界で高評価
世界的大学ランキングで国内1位に

 英国のQS社(高等教育専門調査会社)が発表した「QS Graduate Employability Rankings 2017」で、早稲田大学が昨年に続き高い評価を得た。評価項目は雇用者からの評価、卒業生の活躍、主要企業との共同研究実績、卒業生の就職率などで、早稲田大学は世界26位。昨年の33位から着実にランクアップした。またアジアでは6位、国内では2年連続の1位となっている。

 早稲田大学では、「Waseda Vision 150」に沿った改革の試みが卒業生の活躍を通して評価されたものと受け止めており、今後もアジアのリーディングユニバーシティーとしてさらなる改革を進めていく方針だ。

書籍『体験の言語化』刊行
主体的に行動する力を育てるには

 WAVOC(平山郁夫記念ボランティアセンター)は、早稲田大学が「教育、研究に次ぐ使命」と位置付ける社会貢献活動の推進役。昨年末、同センターが独自開発した科目「体験の言語化」の成立過程をつづった書籍が刊行された。

 これは、学生の「心に引っかかる体験」を起点に、その体験をあらためて捉え直すことで「体験を『自分の言葉』で語る力」「体験から社会の課題を発見する力」「体験を学びの意欲へつなげる力」の三つを育てることを目標にしている。