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12月15日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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特集大学

東北学院大学:ゆたかな学びと良識を得て社会に貢献する人材が育つ

現代社会にこそ必要なよく生きるための教育

松本宣郎学長

 東北学院大学土樋(つちとい)キャンパスには、明治から昭和初期に建設された4棟の歴史的建造物がそびえる。そのうちの一つ、美しいステンドグラスが印象的なラーハウザー記念東北学院礼拝堂では、毎日のように礼拝が行われ、多くの学生が心静かなひとときを過ごす。

 仙台神学校としてスタートした時代からこれまで、社会のさまざまなジャンルで活躍する約17万6千人もの人材がここから巣立った。卒業生の共通点は「ゆたかな人間力」といわれる。知識のベースとなり、大学教育で育まれるその力は、現代の社会からあらためて注目されている。

 松本宣郎(のりお)学長は、「近年の日本では、理系の先端的な研究に関わる教育に重点が置かれがちでした。その反動もあり、人が生きていくために必要な基本的知識と人格を養う大切さが見直されています。創立以来取り組んでいる教養教育、人格教育は、今の社会が求めているものです」と語る。

 そうした人間力の強化のため「TGベーシック」という独自の取り組みがある。これは、全学科で履修すべき教養科目で、「キリスト教学」「市民社会を生きる」「科学技術社会を生きる」など10の人間的基礎科目と、「メディア・リテラシー」「読解・作文の技法」など8の知的基礎科目から選択する。

 「詐欺などの犯罪に巻き込まれないための知識、訴訟などの権利、ネット社会にひそむ危険など、市民としての常識も学べる。美しい日本語を使うための学習もあります。社会に出て困らないよう、自分の苦手な分野を克服しておくことを推奨しています」

 基礎という安定感を身につけた上に専門分野の学習が積み重ねられることで、意欲も高まる。学生が能動的に課題に取り組むアクティブ・ラーニング、精度の高い自己評価方法といったツールも、スムーズに取り入れられるという。

地域への貢献を大学の存在意義に

 「大学は、これからの日本でその役割をいっそう明確にしなければなりません」と松本学長は説く。「同じ地方の同じような大学、目的のあいまいな学部は淘汰されるでしょう。本学の位置づけは"地域にあって地域に貢献する大学"です。これまで仙台を中心に多くの企業や自治体が本学の卒業生を信頼し、迎え入れてくれた。この伝統を続けるためにも、より積極的に地域と関わっていく方針を立てています」。経済学部の「共生社会経済学科」、教養学部の「地域構想学科」など、地域を学ぶ学科も充実している。

 地元企業との連携は学生が社会に触れ、自身のキャリアについて考える機会となり、就職活動に役立つ経験になる。インターンシップだけでなく、企業から人を招いて授業をしてもらったり、共同で研究をしたりといった交流も盛んだ。たとえば、Jリーグのチーム・ベガルタ仙台に協力して、観客のリサーチを行うゼミ活動が継続しており、株式会社ロフトと学生が組んで地場産業を使った商品を開発する活動も始まった。

 また、東日本大震災からの復興支援は地域貢献の大きなテーマだ。大学の知的資産を復興に生かし、かつ、学生が地域を学ぶ実践的教育の場として「地域共生推進機構」が設立された。まちづくり、ボランティアステーション活動、連続講座「震災と文学」の開催など、多くの事業に関わりながら、復興コーディネーターを養成する。これらの持続的な活動は、昨年文部科学省の「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業」に採択された。予算を得ることで、復興を担う大学としての期待も高まる。

被災地の岩手県宮古市で英文学科の学生がボランティア活動「みやこイングリッシュキャンプ」を実施した

 「大震災当時、本学では全学的な災害ボランティア組織を立ち上げ、その活動は今も続いています。復興を多角的に進めるリーダーにふさわしい人材が育つ素地がある。被災地へ行き、実践的に課題に取り組みながら、復興に必要な意識と地域問題の理解を進めていきます」と松本学長。

 あの日、宮城県だけで1万人近い犠牲者が出た。学生たちはその痛み、苦しみを追体験し、地域とともに成長していくことに大きな意義を見いだしている。

Data東北学院大学

沿革 1886(明治19)年、仙台神学校として創設。91(明治24)年に「東北学院」と改称。1949(昭和24)年、新制大学に昇格。
学部・大学院 文学部、経済学部、経営学部、法学部、工学部、教養学部のほか、6研究科12専攻を有する総合大学。
学生数 1万1654人
ホームページ http://www.tohoku-gakuin.ac.jp
お問い合わせ先 〒980-8511 仙台市青葉区土樋 1-3-1
TEL.022-264-6421

活躍する卒業生

社会に出てからの学びの原点は、大学の環境に

1987年 経済学部商学科(現 経営学部経営学科)卒業
アツギ株式会社 代表取締役社長 社長執行役員

工藤洋志さん

 世界中のあらゆる女性の気持ちに寄り添った商品を提供し、世界に知られる会社に。創業から約70年の当社が描くこの“夢”を社員の皆さんと共有し、実現に向けてともに努力していくことにやりがいを感じています。今でも、学生時代の礼拝の時間を思い出すと、心が洗われ、リラックスできます。社会人になっても学びは続くもの。コミュニケーション能力を磨くことも大切でしょう。いろいろなタイプの学生と交流できる東北学院大学は、恵まれた学びの場です。自分の得意とする分野で核となる知識を身につけてほしいと思います。

意欲のある学生には夢をつかむチャンスがある

2003年 法学部法律学科卒業/2005年法学研究科卒業
法律事務所 絆 弁護士

髙城晶紀さん

 弁護士は、多様な価値観を持つ人々の利害調整をはかる仕事。在学中に少人数のゼミで時間をかけて教授と議論し、自分なりの正解を求め悪戦苦闘した経験は今も役立っています。また、他大学との合宿で研究発表やディベートをしたことも自信に。大学の4年間を有効活用するには、自ら学ぼうという積極的な姿勢が必要です。東北学院大学は先生と学生の距離が近く、研究の環境も整っています。これから入学される皆さんも、社会で活躍する自分の姿を思い描き、目的意識を持ってさまざまな活動にチャレンジしてほしいと思います。

Topics

土樋キャンパスに新しい学びの空間

 文学部、経済学部、経営学部、法学部の3・4年生が通う土樋キャンパスでは、歴史的、文化的遺産を守りながら、利便性を高める整備が進んでいる。敷地を拡大し、新校舎を建設し、後に老朽化した建物を建て替える計画だ。2016年完成予定の新しい校舎には教室や研究室、事務室のほかにラーニング・コモンズのための広い空間を確保する。その新施設「コラトリエ」には、インタラクティブボードや卓上型プロジェクターなどを装備し、学生が主体的な学習活動を行うスペースや、イベントスペース、国際交流ラウンジも置かれる。また、多目的ホールやカフェを市民に開放し、地域交流の場としても活用できる。正門前の通りは、歩道を拡幅し、フェンスを取り払いゆったりとした緑道にする予定だ。石畳の並木整備や照明設備も刷新し、デザイン的にも新旧校舎の一体感をはかっていく。環境に配慮しながら防犯、防災の機能も充実させ、学都仙台を象徴する、次世代の教育空間が実現する。

東北学院大学のホームページはこちら