朝日新聞
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志望校選び

親世代が知らない
「実は評価の高い」大学は?

受験生の親が現役だった頃と比べると、受験制度や大学を巡る評価も様変わり。就職に有利だったり独特な教育を行っているなど、偏差値だけでは測れない実力を持つ大学も増えています。そこで、教育情報の発信で長年の実績を持つ「大学通信」の安田賢治さんに、志望校を選ぶ指標や注目の大学についてお聞きしました。

入れる大学よりも、入りたい大学を

安田 賢治 さん

――センター試験の出願も終わり、受験生はいよいよ本格的に志望校を絞り込む時期です。受験する大学はどのように決めていくべきでしょうか?

第一志望はどんなことがあろうとも、たとえ模試でE判定であっても受けてほしいですね。この時期は、特に親御さんが偏差値と合否判定ばかり気にしてしまうんです。模試は本来、入試本番に向けて間違えた部分を復習することが大切。そこで結果が悪いからといって、志望校のレベルを下げて滑り止めばかり受けてしまうと、将来の可能性の芽を摘んでしまうことになりかねません。

学力の伸びは直線的ではなく、真面目に勉強していれば最後にグンと伸びます。まだ時間はありますから、入れる大学よりも、入りたい大学選び。これを徹底してほしいと思います。

――文部科学省は入学定員管理の厳格化を進めていますが、受験生への影響は?

都内23区の大学が10年間定員を増やせないというのは、新しい学部を作るために何かを減らさないといけないので、なかなか大変なことです。しかし受験生や保護者の方は、あんまり心配しない方がいいんじゃないでしょうか。定員抑制の影響で私大の志願者が増えていますが、これは受験生が併願校を増やしているからであって、18歳人口自体は減少していますので。

キャリア支援や社会人との連携が充実した大学とは

――大学選びの指標は、親が気になる偏差値や学費以外には、何が考えられますか?

就職を考えながら大学や学部を選ぶというのは、今や当たり前になっています。多くの高校でキャリア教育を熱心に行っているのも影響していますね。新しい国家資格ができると志願者が増える傾向もあります。今年から公認心理師の国家試験が始まったため、心理学部が人気を集めていますね。理系だと、看護やリハビリ系の人気が安定しています。

――「就職力」で評価の高い大学を教えてください。

金沢工業大は、非常に就職率が高く、上場企業にも実績があります。キャリア教育が充実していて、1年生の時からプレゼン能力を身に付けることができ、卒業発表は外部の企業の人なども見学できる形をとっています。基本の勉強も、学生同士が小テストの問題を作って教え合うなど、学生が着実に力をつけることができる教育が行われています。

福井大は、複数学部を有する卒業生数1000人以上の国立大学で「就職率が11年連続ナンバーワン」をアピールしていますね。学生が企業と面談する機会を多く設けて、説明会も熱心に開催しています。 在職3年以内の離職率が9%というのも、全国平均が約3割ですから驚異的な数字で、無理やり就職させているわけではないということがわかります。北陸地方だと、富山県立大も実就職率が高く、志願者が増えています。工学部のみの単科大でしたが、来年4月に看護学部が新設されます。

女子の就職では、昭和女子大はメンター制度を設けるなど、かなり力を入れていますね。春の段階で就職活動に失敗してしまった子をサポートしたり、いろんな形のキャリア支援を行っています。明治大も、就職のサポートが手厚いという話をよく聞きます。

――さまざまな観点から、他に注目されている大学は?

武蔵大が面白いですね。半世紀以上も前から一貫してゼミ教育が充実している大学ですが、教員の採用もゼミの能力を重視しているそうです。伝統的に1年生からゼミが必修で、最近ではロンドン大との提携など、学生の力を伸ばすさまざまなプログラムが実践されています。

社会人との連携を通じて学生の力を伸ばそうとしてるのが、産業能率大です。地元の商店街とお祭りを企画したり、横浜DeNAベイスターズのファームや湘南ベルマーレの試合をプロデュースしたり、企業とのコラボで商品開発などにも力を入れています。

日本文化大は、卒業生の4割以上が警察官で、そのためのカリキュラムも用意されています。学生のルールを守る意識が高く、キャンパスがキレイだそうです。親が現役の頃になかった大学では、秋田市にできた国際教養大を知っておいてほしいですね。授業はすべて英語で、1年間の留学が必須です。日本と世界を意識する環境で鍛えられた学生は、就職も良く、メーカーへの就職者が多いのが特徴です。また、公立大で学費も安いため、難易度もあがっています。

関西だと、志願者数日本一の近畿大は、最近ではクロマグロの養殖や、1年間の留学が必須の国際学部など、話題も豊富です。親世代の頃とはイメージが違いますね。流通科学大も社会人との連携に熱心ですね。

九州では、熊本市にある崇城大は、理系学部が中心ですが、グローバル教育にも力を入れています。福岡工業大も、面倒見が良く、学生も真面目で、志願者を12年連続で増やしています。

大学受験は、親離れ・子離れのチャンス

――保護者の方は受験校の情報をどれぐらい知っておけば良いですか?

一般的な入試制度ぐらいは理解しておいた方が良いでしょう。私立大の1学部が受験できる回数は、1回限りのところもありますが、平均すると5回。自分の都合のいい受験日を選べたり、受験料の安くなるセンター利用入試も使えたり、昔と比べて選択肢はたくさんあります。子どもが意外にそれを知らない場合もありますので、親も志望校ごとに把握しておいた方が良いと思います。

――特に学費などの金銭的な面は、親も気になるところです。

奨学金を利用する場合は、子どもに借金を背負わせることになりますので、この子はいくらなら返せるとか、返済の見通しを考えてあげるのも親の責任です。大学によっては、さまざまな奨学金の制度や、学費減免の制度もありますから、前もって調べておくのが大事です。高校や予備校の先生に聞きにくい場合は、大学に直接問い合わせすれば、親身になって答えてくれるはずです。そこで相談に乗ってくれないような大学は、志望校から外すというのも手です。

――志望校選びに、保護者はどこまで口を挟むべきでしょうか?

本当は子どもがやりたいことを選ぶのが一番です。ただ、将来の職業を考えると、血を見るのが苦手な子が看護学部に行くなど、適性に合わない進路を選ぶことは後々大変なことになりかねません。その場合は、理学療法士や作業療法士も薦めたり、アドバイスしてあげる必要もあります。受験して合格するまでは、親としての務めを果たしてほしいですね。大学受験は、親離れ・子離れのチャンスなのですから。

大学通信 常務取締役
情報調査・編集部ゼネラル・マネージャー
大正大学 非常勤講師

安田 賢治 さん
やすだ・けんじ/私立灘中高、早稲田大学政治経済学部卒業後、大学通信入社。小学校受験から大学受験までさまざまな教育・受験に関する調査研究や情報発信を行ってきた。「AERA dot.」など、ニュースサイトや週刊誌、情報誌での執筆多数。著書に『中学受験のひみつ』(朝日出版社)『教育費破産』『笑うに笑えない大学の惨状』(祥伝社)(同)。

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