朝日新聞
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大学入学共通テストの傾向について語る 前編
国語と英語に共通する
「読解力」重視の傾向

2020年度に導入される大学入学共通テスト(以下共通テスト)の輪郭が少しずつ見えてきた。大きなテーマとなっているのが、読解力だ。代々木ゼミナール教育総合研究所の福崎伍郎氏と船口明氏が、それぞれ英語と国語の観点から共通テストの傾向について語り合った。

文/武田 洋子 写真/山本 倫子

英語・国語ともに「論理展開」を意識した出題へ

代々木ゼミナール
教育総合研究所 主幹研究員
福崎 伍郎
ふくざき・ごろう/駿台・河合塾・東進ハイスクール講師を経て2016年から現職。中高大を接続する英語4技能養成講座を開発中。

船口共通テストの国語と言えば、新しく導入される「記述式問題」が話題です。しかしそれは、実は氷山の一角で、ほかにも大きな変化があることが見落とされがちです。たとえば試行調査の問題の「評論」では、設問から傍線部が一切なくなっていたり、文中に書かれていないことを正解として導かせたりしています。評論の展開自体も、非常に英語的になっているのです。

これらの変化の背景には、日本の大学生が驚くほど論文を書けないという現状があります。欧米では論文を「決まったスタイル」で書かせる教育をしていますが、日本の「作文」教育は情緒的な文章を書かせる教育で、論文のスタイルがない。そのことも「書けない」大きな要因の一つです。「論理的に書ける」ようになるには、「論理的に読める力」が不可欠。そこで高校での学びが「論理的思考力」の育成を重視するものへと変わっていくのですが、そのことを反映した出題なのです。これまでのような傍線部を付しての説明問題では、出題者の意図に反して、傍線分の周辺だけを読んで答えを導こうとする生徒が多くいました。今後は問題文の「論理の流れ」が把握できていないと正解できない問題が主流になると思われます。

福崎英語の読解力でいうと、ここ数年の傾向として、パラグラフの中でいらない文を抜き出したり、最後にどういう文が入るのかを予想させたりする問題が散見されます。船口先生がおっしゃったように、英語の論文には形式があります。まず全体のテーマを示す「トピック」、次にトピックを過不足なく補佐する「具体例」、そして「結論」です。この構成を理解しないと、前述のような問題には答えられません。センター試験のこうした問題意識は、共通テストに引き継がれていくと思いますね。現代文も英語も、「きちんと読める」ことに重きが置かれているのです。

共通テストは見た目の印象も変わっています。センター試験の堅い評論文から、学習過程で生徒が触れるようなタイプの文章になっているのです。状況設定が明確で、「旅行するので現地について調べる」とか「学校のディベートに向けてネタを探す」とか、実際に体験しそうな内容ですね。そのなかで、複数の要素をまとめたり、事実と意見を区別したりする力を問いかけています。

論理的に読む力があれば論理的に書くことができる

代々木ゼミナール
教育総合研究所 主幹研究員
船口 明
ふなぐち・あきら/代々木ゼミナールでは、東大・京大・医学部等難関大学対策を中心に担当。2017年から現職。変わりゆく学びに対応した指導法を研究している。

船口センター試験の評論問題は1999年から長文化傾向をたどったのですが、増えた部分は「具体例」や「他者の論の引用」です。「具体例」は何の例か、「引用」は何を主張するためか。それをサッと判断して読まないと時間が足りなくなってしまう。文章の論理展開が理解できているかを問うための長文化です。もちろん、そのように読めるようになれば、自分が論文を書くときにも「具体例」や「引用」を意識して用いるでしょう。いずれも論文を書く基本です。

理系の学生は国語が苦手な人も多いですが、今の時代は英語で論文を書くことを求められます。英語という「論理的な」文章を書くためには、まずは日本語で「論理的に」書けなければならない。ここに国語の学びが変わる理由があります。

余談ですが、僕は予備校生時代に受けた福崎先生の英語の論理展開の講義が面白くて、これを国語でもやりたいと思って講師になりました。今、時代とともに英語と国語の「リンク」が焦点化されていることを、うれしく思います。

代々木ゼミナール