朝日新聞
 広告特集 企画制作:朝日新聞社メディアビジネス局

大学入学共通テストの傾向について語る 後編
国語と英語に共通する
「読解力」重視の傾向

2020年度に導入される大学入学共通テスト(以下共通テスト)の輪郭が少しずつ見えてきた。大きなテーマとなっているのが、読解力だ。代々木ゼミナール教育総合研究所の福崎伍郎氏と船口明氏が、それぞれ英語と国語の観点から共通テストの傾向について語り合った。

文/武田 洋子 写真/山本 倫子

「論文を書く」という最終目標につながる記述式問題

代々木ゼミナール
教育総合研究所 主幹研究員
船口 明
ふなぐち・あきら/代々木ゼミナールでは、東大・京大・医学部等難関大学対策を中心に担当。2017年から現職。変わりゆく学びに対応した指導法を研究している。

船口記述式に話を戻せば、試行調査の問題の120字記述は「条件に従って書けば」正答できるものでした。この点を批判する論調もありますが、僕はむしろ意図的な出題ではないかと思っています。

入試の小論文は「条件に従って」書くことが前提ですが、きちんと条件に従って書けている解答はかなり少ないようです。それを思うと、共通テストで「条件に基づいて記述させる」ことにしたのは首肯できます。

論文を書くときに必須となる図表や資料の引用も、共通テストにはきちんと組み込まれています。そういった意味で目指す方向性は明確で、高大連携の本義にかなっています。 次期学習指導要領で「論理国語」が導入されることもあり、論文指導は、今後より一層課題になると思います。英語はいかがですか?

福崎英語も同じで、教員研修ではライティング指導に悩むという声が、かなり聞かれます。論理的展開の知識はもっていても、実際に使えていない。そういうときは書き方のモデルになるような英文を読み、別のテーマで自分なりに書いてみるという、「読む(受信)」と「書く(発信)」を重ねると理解されやすいです。

船口これまでの国語は文学の鑑賞が中心だったので、英語の読解力と相似するとは思われにくかった。でも国語も英語も、論理的に読む方法は共通しています。例えば「トピック」で、「学校は生徒の心身のために安心・安全な場所でなければならない」と書かれていたら、「具体例」では「心」と「身体」の両方について触れられていなければなりません。「心身」という言葉をきちんと読解できれば過不足がわかります。

福崎英語の記述であっても、ベースにあるのは常に母国語である国語力です。船口先生と一緒に、国語・英語共通の読解方法論を確立したら面白いですね。それを思考のエンジンに使えば、より効率良く学べるでしょう。

形を教えるだけではダメ 中身を吟味する力をつける

代々木ゼミナール
教育総合研究所 主幹研究員
福崎 伍郎
ふくざき・ごろう/駿台・河合塾・東進ハイスクール講師を経て2016年から現職。中高大を接続する英語4技能養成講座を開発中。

福崎これまで英語の4技能は、大学によって配点比率が違っていましたが、今後は各技能の配点が等しくなっていくと思います。「書く」の重要度も上がりますが、ただ論文のスタイルを教われば書けるというものでもありません。「具体例」は「トピック」との整合性を備えた内容でなければならず、中身を吟味する力、クリティカルシンキングが必要なのです。学校でのアクティブラーニングを通じて、互いに書いたものを批評するなど、発信する力を養う授業がそれを育むでしょう。

船口読むことは受動的なものだと思われがちですが、たとえば「論理を意識して読む」ことは、読む行為を能動的なものに変えます。そういう「頭の働かせ方」を意識していくことが大切なのではないでしょうか。

福崎まったく船口先生と同意見です。正しく読み取るためには、能動的、意識的に、「裏づけは機能しているか」を検証することが大切です。抽象度の高いテーマであるほど、「それはどういうこと?」と、書いた人に説明責任を迫るような読み方をしてほしい。それが論理的に書くという力の源になります。

船口共通テストを受けることになる世代は、変化を負担に感じているかもしれません。でもこの変化は、君たちの未来のための本質的なものです。決してマイナスのものではないと知ってほしいですね。

福崎いかに力をつけさせる出題にするか、問題をつくる側もいろいろ工夫しているでしょう。より良い学びにつながる進化が期待されます。

代々木ゼミナール