
私の出発点はホームレス支援です。しかし今の日本はホームレスだけでは語りきれない貧困問題が渦巻いています。
今日会場には、中高年男性が多く見受けられますが、実はこの層が最も危ない。日本の「縁」の代表的なものは、家族などの「血縁」、地域の「地縁」、会社の「社縁」です。この三つがない人が「無縁」といわれます。男性は「血縁と地縁が社縁に連動する」ところがあり、会社で安定的な地位を築いた人は、家族のなかでも存在感がある。地域でもそれなりに扱われる。逆に社縁がなくなると、家でも地域でも居場所がなくなり、無縁になってしまうことが多いのです。
無縁になった男性に、「支援してあげましょう」と言ったらどうなるか。途端に寄ってきません。ではどうするか。それが絆づくり、いわゆる新しい「コミュニティー」を創造することだと思います。自分たちが淘汰(とうた)されるのではなく、受け入れられていると思える場所が必要です。
例えば“場”が作られると、食事をするところが欲しくなり、調理する人が必要になる。そこに雇用も生まれます。“場”の創造は単なる福祉の話ではないのです。いろいろな人たちを受け入れられるように変わっていくことで、社会的包摂、ソーシャルインクルージョンは作られていきます。
厚生労働省で「生活支援戦略」が検討されています。私はこれを軌道にのせられるように活動しています。しかし、多くの人が関心を持たないと手詰まりになります。ぜひ中高年の人たちにも、「それは大事なことだ」と声を上げてもらいたいのです。そうやって一つひとつを積み上げるしか、社会は変わっていかないと思います。