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探検、発見「秘境駅」 人気急騰、鉄道会社も便乗

2010年9月19日0時56分

 周囲に人家がなく、鉄道でしかたどり着けないような山間の「秘境駅」を巡る人たちが増えている。自然豊かな県内は、秘境駅の宝庫。人気に目を付けた鉄道会社が、ツアーを組んだり臨時急行を走らせたりして売り込んでいる。

 JR飯田線の豊橋駅(愛知県豊橋市)から2時間半。静岡、長野、愛知の県境に近い山中の小和田駅(浜松市天竜区)に降り立つと、人の気配が消え、秘境ムードが漂う。両側をトンネルに挟まれ、周りに人家はおろか、車道もない。

 古びた木造の駅舎がたたずみ、レトロな雰囲気を醸し出す。聞こえてくるのは、虫の鳴き声や風の音だけ。待合室の机には、訪れた人たちの思いがびっしりと書き込まれたノートが並んでいた。

 秘境駅は、広島県三次市の鉄道愛好家、牛山隆信さんが提唱した造語。牛山さんは自身のホームページ「秘境駅へ行こう!」で全国の秘境駅ランキングを公開しており、小和田駅は堂々の2位。飯田線沿線は、ほかにも田本駅(4位、長野県泰阜村)や金野駅(13位、同県飯田市)など、上位に名を連ねる秘境駅が目白押しだ。

 ブームに目を付けたJR東海などは5月、小和田駅など飯田線の六つの秘境駅を列車で巡る探訪ツアーを初めて企画。すぐに175人の定員が埋まる人気ぶりだった。6、7月にも同様の企画を売り出して盛況だったため、8月以降は週末や祝日を中心に、臨時急行「秘境駅号」を運行。沿線の食材を詰め込んだオリジナル駅弁なども売り出して盛り上げ、毎回、乗車率は90%近いという。

 「非日常の感覚に浸れるのが魅力のようです」と同社広報部。人気を支えるのは鉄道マニアだけではなく、「年配の夫婦や若い女性グループも目立ち、幅広い層が秘境駅を訪れている」という。

 南アルプスの山すそを走る大井川鉄道(島田市)の井川線も、秘境駅のメッカだ。「秘境駅へ行こう!」では、尾盛駅(川根本町)が3位に登場するほか、土本駅(同、48位)や閑蔵駅(静岡市葵区、76位)などが紹介されている。

 尾盛駅はかつて、ダム建設の作業員の宿舎などがあったが、現在は無人地帯。同駅の2008年度の乗降客数は574人で、前年度の倍以上に増えた。同社は「秘境駅として報道などに取り上げられたため」と驚く。

 線路補修のために運休していた昨年12月には、尾盛〜閑蔵駅間の線路上を歩くハイキングも企画した。問い合わせが多く、募集定員を増やすほどの人気だったという。

 同社は「通勤通学の利用者は減っており、観光が収益の柱のローカル路線。秘境駅を絡めて売り込み、ファンを増やすきっかけをつくりたい」とブームに熱い視線を送る。(滝沢隆史)

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