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太陽光のみで目指せ世界一周フライト プロジェクト関係者来日

2010年10月6日21時0分

©Solar Impulse

写真:太陽光で飛ぶ飛行機のモデルプレーンを前にしたアンドレ・ボルシュベルグさん(左)とベルトラン・ピカールさん=6日、東京・銀座拡大太陽光で飛ぶ飛行機のモデルプレーンを前にしたアンドレ・ボルシュベルグさん(左)とベルトラン・ピカールさん=6日、東京・銀座

写真:インタビューに応じるベルトラン・ピカールさん(左)とアンドレ・ボルシュベルグさん=6日、東京・銀座拡大インタビューに応じるベルトラン・ピカールさん(左)とアンドレ・ボルシュベルグさん=6日、東京・銀座

写真:9月の試験飛行。後ろに見えているのはモンブラン=©Solar Impulse/Revillard拡大9月の試験飛行。後ろに見えているのはモンブラン=©Solar Impulse/Revillard

写真:空中で一夜明け、朝日の中を飛ぶ試作機=代表撮影拡大空中で一夜明け、朝日の中を飛ぶ試作機=代表撮影

 太陽エネルギーのみを利用して世界一周することが可能な飛行機を開発するプロジェクト、「ソーラーインパルス」の責任者が来日している。スイスの高級時計ブランド、オメガなどヨーロッパの企業・団体がサポーターとして物心両面を支えており、早ければ2013年に実施される世界一周飛行を目指し、日本の大学や企業などのサポートを求めている。来日中の2人に話を聞いた。(アサヒ・コム編集部)

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 ソーラーインパルスは2003年、スイスの飛行家で精神科医のベルトラン・ピカールさん(52)たちが呼びかけて発足。翼全体に太陽電池パネルを敷き詰めた1人乗りの飛行機での世界一周を目指しており、現在、ヨーロッパの約80社が「パートナー」となって技術と資金を提供している。

 試作機1号機「HB―SIA」は翼端から翼端までの長さが63.4メートルあり、300人乗りのエアバスA340の翼長とほぼ同じとなっている。この翼の上に約1万枚の太陽電池パネルを敷き詰めており、昼間の飛行の発電で獲得したエネルギーを電池に蓄電し、夜間飛行に活用する。

 機体は軽量化をはかるため炭素繊維製で、重さは1.6トン。ことしに入ってから飛行実験が始まり、プロジェクトの本部があるスイス国内で16回の試験飛行を重ねている。速度は時速50〜100km程度。

 ことし7月に初めて、夜間を挟んだ26時間の連続飛行に成功し、太陽光発電を動力源とした長時間飛行の新記録をつくった。

 来日しているのはプロジェクト会長のピカールさんと、7月の26時間飛行を操縦したプロジェクトの最高経営責任者(CEO)、アンドレ・ボルシュベルグさん。

 「一般的な飛行機と比べると格段に速度が遅いので、移りゆく風景を楽しむ余裕があったほか、プロジェクトについて、自分について、いろいろ考えることができました」とボルシュベルグさんは振り返る。

 昼間は天候が安定し、十分な日照を得られる高度9000m程度を飛び、夜は2000〜3000mを飛ぶ。コックピットを暖めるにもエネルギーを消費することから暖房装置はなく、昼間の機内温度はマイナス20度にまで下がる。

 空気を入れて保温性を高める特殊な飛行服を着用し、ヘルメットと酸素マスクをつけて臨んだフライトだったが、飲料用の水がすっかり凍結してしまい、高度を下げて夜になるまで水を口にすることができないというハプニングもあった。

 プロジェクトが始まった7年前から比較すると、電気自動車(EV)の開発が盛んになったことなどもあって電池の改良が進んでいるほか、発電用の太陽電池パネルの発電効率も上がってきた。

 ピカールさんの父は海洋学者で、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵への潜水で有人潜水の最大深度記録を保持しているジャック・ピカール氏。祖父のオーギュスト・ピカール氏は気球飛行で1930年代に当時の世界記録をつくった。未知の世界への挑戦者一家ともいえる。

 「日本は世界でも有数の技術立国。貴重なテクノロジーをたくさんもっています。また、われわれが行っているプロジェクトのことを知った若く、先端技術を研究開発している学生たちにもぜひ参加してほしい」。

 ピカールさんは今回の来日で、プロジェクトに高い技術力を持った日本企業と、若い世代、特に大学関係者たちへの参加を呼びかけたい考えだ。

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