2011年1月11日21時9分
|
航空連合「ワンワールド」に属する日本航空と米アメリカン航空は11日、4月1日から日米路線で共同事業を始めると発表した。日米オープンスカイ(航空自由化)協定をきっかけに、ダイヤや運賃を調整できるようになったためだ。日米路線で乗り継ぎ便拡大などのサービスが具体的に示されたのは、航空連合3陣営で初めて。
3月末に冬ダイヤから夏ダイヤに切り替わるのに合わせ、それぞれのブランドを維持しながら、成田―シカゴ線や羽田―ニューヨーク線など10路線で共同事業を始め、その後、順次広げていく。
ダイヤの調整では、成田―シカゴ線で午前に出発する日航便を40分早める一方、夕方のアメリカン便を40分遅らせる。シカゴは日本からの乗り継ぎ需要が最も多い空港。日航便のシカゴ到着を早め、3時間以内にアメリカン便に乗り継げる路線を二つ増やす。
割引運賃の適用も広げる。「行きは日航、帰りはアメリカン」といった乗り方にも往復割引が適用されることで、これまでより割安な運賃で利用できる路線や便数が増えそうだ。共同事業での詳しい運賃については今後決める。
サービス面の共通化も進める。各社で別々だったマイレージの特典などを共同で利用できるようにしたり、インターネットで両社の路線を購入しやすくしたりする。
日米路線では、全日本空輸などが加盟する「スターアライアンス」、米デルタ航空の「スカイチーム」のシェアが伯仲している。共同事業が認可されたスターアライアンスも今春から共同事業を始める。利用者が航空会社より航空連合を選ぶ傾向が強まり、顧客獲得を巡る三つどもえの競争が一段と激しくなる。
また、日航とアメリカンは空港ラウンジの共用などによって、両社合計で130億円の収支改善を見込む。会社更生手続き中の日航にとっては、国際線立て直しに向けた試金石になる。
日航本社で記者会見した大西賢社長は「アメリカンとの提携強化で再建を確実にしたい」、アメリカンのトーマス・ホートン社長は「アジアのネットワークを持つ日航と共に競争力を発揮できる」と述べた。(澄川卓也)