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NEW羽田 ここをチェック!

〈4〉異国の味 羽田空港「ミセス イスタンブル」

2010年11月17日10時35分

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国際線の定期便が就航して新しくなった羽田空港。アサヒ・コムのコラム執筆者に、新しい羽田空港について語っていただきます。4回目は「おやじの昼めし」でおなじみの京橋玉次郎さんに新しくなった羽田空港第2ターミナルを訪問していただきました。

■やはりケバブ

 ガラスの向こうで、バスケットボールを一回り大きくして細長くしたような肉の塊を、包丁で巧みにスライスしている。もうだいぶ細くなっている。トルコの代表的料理ケバブだ。と、きいたふうな物言いだが、トルコの料理はケバブしか知らない。そのほかトルコと聞いてとっさに思い浮かぶのは、ケマル・パシャとモーツァルトのK331くらいか。私にとって異国とかエキゾチックとかいう言葉の響きがしっくりくる国だ。

 トルコ人と思われる料理人の包丁さばきを眺めていたら、「いかがですか」、何とも笑顔がチャーミングな若い女性スタッフから声をかけられた。これまでトルコ料理のきちんとしたレストランに出会ったことがなく、しばらく前から興味があった。その上おやじは若い女性の笑顔に弱い。本日のランチをトルコ料理とすることに何の迷いもなかった。

■十分に濃厚な牛肉

 メニューから選んだのはドネルカバブプレート1480円。サイコロ状のパンの上にケバブが載りトマトソースがかけてある。隣にヨーグルトと少量の白米がついている。いかにも濃厚そうな色合い。柔らかくたっぷりのトマトソースでしっとりしている。味わいも十分に濃厚な牛肉だ。これならご飯がすすみそうだ。教わった通りヨーグルトをからめて食すとさらに複雑な味わいとなる。

 のちの話だがこの日、夕食の時間となってもあまり空腹にならなかった。思ったよりもケバブの量があったのだ。さて、ついてきた少量のご飯も終わり、パンと一緒に食べ進める。と、最初はそれほどでもなかったが、だんだん濃厚なソース味が塩辛く感じてきた。

 これが彼の地の味なのか。だとしたら、そのまま提供するのも一つの見識だし、日本人向けに少し味をいじるのもまた一つの考えだ。店としても難しいところだろう。大きなお世話だろうが、ソースを少なめにしておいて、客が好みで追加できるような仕組みも1案かもしれない。

■店長のこと

 ところで、スタッフと思っていた女性は店長だった。5年ほど前、東外大4年の時にトルコに1年留学したことのある伊原さん、戻ってトルコ関連の商社に入社した。羽田店開業にあたって店長として店を預かることとなった。食品輸入品としても扱っていたが、接客業務はほとんど初体験。意外な展開だが、嫌いな仕事ではないので楽しいという。なるほど、あの笑顔は商売だけでできるものではないだろう。納得。ちなみに開店1か月、これまで休みなしだという。

 その伊原店長から聞いたケバブの説明によると、ケバブとは焼いた肉という意味だそうだ。串にさして焼いたシシケバブが代表的で、回転させながら焼いたのがドネルケバブ、トルコの南地方の町の名前から取られヨーグルトをからめて食べるイスケンデルケバブ、などいろんなバリエーションがあるという。豚以外なら牛のほか鳥とかターキーのケバブもあるという。

■近代空間と空想力

 店があるのは羽田空港第2ターミナル。さる10月13日に拡張、リニューアルしてオープンした3階のデッキ。売り物の一つは世界から集めた260余脚の椅子。著名デザイナーのものもあったりして、家具好きには興味深いところらしい。食事の客は、それぞれの店から料理を受け取り、好みの椅子へ行って食すという半セルフサービススタイル。南北の長さ300mか400mか、途方もないように広い出発ロビーの空間を眼下に食事を摂るのは不思議な気分だ。

 ガラスとタイルと金属とプラスチック。合理性が最優先された無機質な環境と大勢の人々。たまに訪れるおやじは血圧と体温が数ポイント上がったような気がする。ここで毎日働く人はどうなのだろう。人類は環境適応能力抜群だから、意外とすぐに慣れているのかもしれない。

 そして漠然とした既視感がぬぐえない。どこか欧米の空港に似ているとかいうのではない。昔読んだ未来漫画の光景を思い出したのだ。その頃は遠い空想の世界と思っていたもののほとんどが今眼前にある。人間の想像力というものも無限に飛躍するようでいて、意外と現実からそう遠くないところまでしか飛べないのかもしれない。

【お店データ】
ミセス イスタンブル
大田区羽田空港3−4−2 第2ターミナル3F  03−5756−6189
営業:午前7時〜午後8時30分(L.O.午後8時)  無休
<本日食したランチ>
ドネルケバブプレート 1480円

プロフィール

京橋 玉次郎(きょうばし・たまじろう)

 週2、3回のジム通いで運動不足を解消中。京橋・銀座・日本橋・八重洲・八丁堀中心の雑食的な昼めし散策のほか、天気のよい日に肩の力を抜いてサイクリングに出かけるのも楽しみ。元大手マスコミに勤務、不規則・不健康な記者生活36年だった。好奇心強く少し天邪鬼。1946年生まれ身長175センチ、A型。

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