県道をそれて山道を10分ほど車で走ると、視界が一気に広がる。岐阜県揖斐川町春日六合の上ケ流(かみがれ)地区だ。

 山あいにぽっかりと浮かび上がる姿は、まさに「天空の茶畑」。ペルーの標高2千メートル以上の尾根に築かれたインカ帝国の都市になぞらえ、住民らは「岐阜のマチュピチュ」とも呼ぶ。

 今でも在来種の茶が多い。そんな特徴的な地域を広く知ってもらおうと3月、地元の有志が1年近くかけて遊歩道を造った。その1人、佐名敏巳さん(65)は「多くの人に来てもらい、景色やお茶を楽しんで欲しい」と話す。

 遊歩道を15~20分ほど歩き、茶畑を一望できる高台から眺める景色は格別だ。佐名さんは「天候や季節によって表情を変える景色が最大の魅力だ」と話す。

 最近、様々な事情で畑を手放す人もいる。そんな状況を危惧する住民は「美しい上ケ流茶園を後世に残す会」を作り、これからも原風景を守ろうとしている。(古沢孝樹)