消費者はなぜ、お金を使わないのか。主要企業100社を対象に朝日新聞が実施した景気アンケートでは、理由を三つまで聞いたところ、最も多かったのは「人口減や財政難など日本の将来への不安」で、65社が挙げた。

 東レの日覚昭広(にっかくあきひろ)社長は「先行きの不透明さが払拭(ふっしょく)できずに不安感が先行し、消費意欲に結びつかない」と指摘。富士重工業の高橋充専務も「等しく努力をすればおしなべて上がるという経済社会構造でなくなってきている。多くの企業がベアを実施したが国の財政、社会保障への不安が強く、かなりの部分が貯蓄に回っているのではないか」と話す。「百貨店で婦人、紳士服を買う中間層の消費スタンスが特にシビアになっている」(Jフロントリテイリングの山本良一社長)、「消費増税は10%がゴールではないと思われている。ゴールが不明確なので将来不安が払拭(ふっしょく)されない」(バンダイナムコホールディングスの浅古有寿〈あさこゆうじ〉取締役)との見方もあった。

消費が低迷する中、大手スーパー西友は売り場で安さを強調している=10月、東京都北区、大宮司聡撮影

 次いで多かったのは「海外経済の影響も含めた景況感の停滞」(64社)。味の素の西井孝明社長は「景況感といった人々の意識が経済全体に与える影響は無視できない」。日本マクドナルドホールディングスの下平篤雄副社長は「世界経済が弱いため、企業が思い切って賃上げ、投資ができない」との企業マインドへの影響も指摘する。ただ、「米大統領選後の円安株高傾向が続ければ、いい影響が出てくる」(資生堂の魚谷雅彦社長)と今後の変化に期待する声もあった。

 賃金の伸びの不十分さを選んだ企業も53社と半数以上だった。東京製鉄の西本利一社長は「賃金が上がったのは企業の一部でそれほど上がっていない」。東芝の綱川智社長も「賃上げ効果は限定的という印象」とみる。消費増税後も売り上げが堅調だったというユニー・ファミリーマートホールディングスの上田準二社長は「給料が上がらず、将来不安が高まっている影響がじわじわきている」と話す。DMG森精機の森雅彦社長は「時給千円で年2千時間働いたとしても200万円で生活できない。最低賃金を1500円ぐらいにすべきだ」と非正規社員を含めた大幅な賃上げの必要性を訴えた。「日用品や食料品の値上げは、年金を主な収入源とする高齢世帯の消費に悪影響を及ぼした」(東京海上ホールディングスの湯浅隆行常務)との声もあった。