国宝の松本城(長野県松本市)で9月に開かれる予定だった「クラフトビールフェスティバル」が中止になった。飲酒を伴うイベントが「城の品格にそぐわない」と市教委が中止を要請したのがきっかけだ。お城の品格って?

 松本城公園でのビアフェスは、城と北アルプスの山々を眺めつつ、地ビールや信州の食を楽しんでもらおうと2014年に始まった。昨年までの3年で延べ約5万人が訪れた。

 ところが今年は、市教委が「飲酒を伴うイベントは、史跡松本城の品格にふさわしくない」などとして中止を求めた。実行委側は「これまでトラブルは起きていない」と反発したが、準備が間に合わなくなり、開催をとりやめた。

 なぜ市教委は今年初めて中止を要請したのか。根拠とするのが、公園の適正利用に関する内規だ。昨春、公園内では「松本城の品格にふさわしくないと判断する行為は認めない」との規定が新たにできた。秋にある「信州・松本そば祭り」が3日間で20万人を集める人気で、旧二の丸御殿の礎石などを平面展示している史跡部分にも出店ブースが拡大。観光客から「天守の入り口がわからない」などと苦情が出たことが背景にあったという。

 さらに今春、城では堀の復元工事が始まった。飲酒を伴う催しは「整備に伴い適切な開催場所が確保されるまで、これ以上規模が拡大しないよう自粛を要請する」との規定が追加されたという。

 中止が公になると「飲酒は品格に欠けるのか」などと市民らが反発。市教委は「飲酒を品格がないとしたわけではない」などと釈明に追われた。