人口減少の兆しが見える大都市もある中、川崎市は150万人を超えた。人が集まり続ける同市。そのリーダーを決める市長選が8日、告示される。課題や選挙戦の構図を見た。

 住みたい街――。武蔵小杉は各種の民間調査で人気だ。しかし人口の大幅な増加は課題も生んでいる。

 JR武蔵小杉駅の平日朝。横須賀線の改札口に向かう人たちの長い行列ができる。

 川崎市中原区に住む男性(43)は、横須賀線で東京都内に通勤する。午前8時前に駅に着いて列に加わる。改札口に入るだけでも5分ほど待って、エスカレーターでホームにあがる。「ダイヤの乱れなどがあると、あっという間に列が伸びて改札までの時間はもっとかかります」

 2010年に横須賀線の新駅が武蔵小杉にできるまでは、南武線の向河原から川崎経由で東京に出ていた。通勤時間は短縮されたが、混雑はひどい。ホームはいつも人であふれ、「今も人が徐々に増えている」ように感じる。「ピリピリしているし、いつ事故が起きてもおかしくない」

 国土交通省の鉄道混雑率(16年度)では、JR横須賀線の武蔵小杉―西大井間が191%、JR南武線の武蔵中原―武蔵小杉が188%に達している。

 JR武蔵小杉駅の乗車人数は、横須賀線の新駅ができた直後の10年度は約9万9600人、16年度は約12万8千人まで増えた。

 同市の人口は増え続け、4月に150万人を超えた。8月だけの増減では全市で702人増。うち中原区は352人増で、7区の中では最多だ。特に武蔵小杉駅周辺は、JRと東急が乗り入れ、都心までのアクセスが良いことや、商業施設の充実などが人気となっているようだ。

 住民の実感はどうか。地域住民による「小杉・丸子まちづくりの会」が6月に行ったアンケート(回収数435)で「住んでよかった」ことは「交通の便が良い」が7割。一方、「不便に感じていること」は「駅の混雑」が6割近い。

 別の住民らによる「武蔵小杉駅を良くする会」が、ホームドア設置などを求める署名活動を行い、5日までに8875人分が集まった。北島武代表(78)は「混雑緩和は緊急課題」と語る。

 福田紀彦市長は3日の記者会見で「相当危険な状態の混雑になっていると認識している」とした。対策として来月、「オフピーク通勤」を南武線で試みると述べた。同線で通勤する市職員に時差出勤を呼びかけ、結果を検証の上で、市内の大手企業などにも広めたい考えだ。さらに事故防止のため、ホームドア設置など、JRと検討を進めるという。「とにかく早くという危機感で、働きかけ、動いていく」と明言した。

 JR東日本横浜支社は「混雑緩和の重要性は認識しており実行可能なものから順次取り組んでいる」と話す。ただホームドア設置は、南武線の前に京浜東北線の整備が決まっていることや、横須賀線は複数の扉位置の違う車両が停車するために設置が困難など、時間がかかりそうだ。

 同駅周辺では、この先さらに、6棟のタワーマンションが建設予定だ。「整備が人口増に追いつくのか」。北島さんは心配する。