■きょうも傍聴席にいます。

 2015年のクリスマスに自殺した電通の新入社員、高橋まつりさん(当時24)の過労死認定がきっかけとなり、戦後日本の高度成長期の代名詞とも言える「長時間労働」のあり方に疑問を投げかけた電通違法残業事件。二回の法廷では何が語られたのか。

 10月6日午後3時から東京・霞が関の東京地裁429号法廷で開かれた判決公判。

 「罰金50万円に処する」。菊地努裁判官は、電通を代表して出廷した山本敏博社長(59)に判決を言い渡した。

 「尊い命が奪われる結果まで生じていることは看過できない」「サービス残業が蔓延(まんえん)する状態となっていた。(事件は)労働環境の一環として生じたと認められ、会社の刑事責任はおもいといわざるをえない」

 菊地裁判官は電通を強く非難した。だが、「他方、反省の弁を述べるとともに再発防止を誓約している。本件と同等の事件と勘案した」

 高橋さんの命の重さに比べると量刑は場違いにも聞こえた。山本社長は、神妙な面持ちで裁判官の言葉を聞いていた。