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「掟破り」の大河直虎、脚本森下佳子氏に聞く

  • 梅田恵子
  • 2017年1月10日
  • NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」のヒロイン井伊直虎(柴咲コウ)(C)NHK

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 NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(日曜8時)が8日にスタート。戦国時代の女城主、井伊直虎にスポットを当てる。朝ドラ「ごちそうさん」や「天皇の料理番」など数々のヒット作で知られる脚本森下佳子氏(脚本家)は、「掟破りにやらせてもらう」と意気込みを語っている。

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――井伊直虎を描くことになった経緯を

森下 プロデューサーから「戦国時代にこんな女城主がいた」とお話をいただいて。普通はそうはしないよね、という思い切った策をとる女性だなと、おもしろく感じました。

――資料があまり残っていない人物ですよね

森下 年表をいただいたのですが、徳川や武田はぎっしり埋まっているのに、井伊家は真っ白、スカスカで「どうするねん!」って思いました(笑)。井伊家がかかわったであろう史実がいくつかあり、そこにいくまでに彼女は何をしていたのかという形で話を考えています。

――資料がない分、自由に書きやすい部分もあるのでは

森下 そうですね。でも、そもそも「資料がある」ってどういことなんだろうと。徳川や武田だって、殿様に書けと言われた誰かの創作は入っていると思うんですよ。思い切り私が「この人かっこいい~」「この人すげー」「この人バカだー」と思う直虎を書きたいと思います。

――直虎の魅力とは

森下 井伊家がつぶれそうな時に、戦うでもなく、受け入れるでもなく、何とかやっていく発想と思い切りですね。今の世の中、選択肢がAかBしかないように追い詰められがちですが、AもBも納得いかないならCやDを探せばいいという発想が彼女にはあったと思います。主家である今川家に自分の家の人間が殺されていく不思議な構造や、敵だけど敵じゃない者との人間関係とか。彼女がどう切り抜けていくのか。掟破りにやらせてもらおうと思っています。

――4話まで子役時代で描くのは大河初の試みです

森下 直虎の子供時代は重要で、そこは譲れないと。9歳で、いいなずけと結婚できないなら出家しちゃう、というのがすごい。その思い切りに天賦の才があると感じました。子役を中心に据えて4週というのは現場も大変だったと思いますが「どうしても大事だから」と、そうさせてもらいました。子役の新井美羽ちゃん(10)は、たまらんくらいかわいらしい!

――悲恋も見どころですよね

森下 尼さんなのに色恋沙汰がいっぱい(笑)。色恋話をやるためにこの作品を作っているわけではありませんが、物語の主軸として人間同士の色恋や情がからんでくる話にしたい。幼少期を一緒に育った直親、政次とは、口には出さないし誓い合ったりもしないけれど、それが3人のきずななのかなと。

――直虎を演じる柴咲コウさんについて

森下 きれいでクールで自分のペースで生きている印象の女優さんですが、城主になって右往左往するおもしろい柴咲コウが見れます(笑)。尼さんの時は想像通りの美しさですが、城主姿になると「こんな格好で歩いてたの!?」という驚きもあります。柴咲さんが演じることで、人間くさく流れすぎなところを、城主なんだ、その器なんだという片鱗が残るのが彼女の魅力。

――小池百合子都知事や民進党の蓮舫代表など、女性リーダーの誕生が続いているのもタイムリーですよね

森下 まったくの偶然で(笑)。組織を引っ張りたいけどなかなか引っ張れない直虎というのがリアルかなと思います。均等法以来、男の人と同じように働く機会を得て頑張ってきた女性たちには、井伊家を、跡継ぎを、領民を守りたいという直虎のピュアな生き方はメッセージとして真逆になってしまうかもしれない。思うのは、人生は好きに生きればいいということ。「これしかない」という気持ちになりがちですが、選択肢はもっとたくさんあると。

――「白夜行」「天皇の料理番」などたくさんのヒットドラマを手掛け、朝ドラ「ごちそうさん」で長丁場も経験しています。過去の作品の経験は大河でどう生きていますか

森下 大河はモチーフが政治。やったことないので、私が間違えたら井伊家がつぶれてしまうくらいの緊張感でやっています。でも、大河ドラマは歴史を教えるためのドラマだったわけじゃない。エンターテインメント性の高いゴージャスなものをやろうという時に、背景が歴史だったという成り立ちを聞きました。歴史を伝えなきゃ、正しくなきゃ、考証は、と押しつけられた結果、大河ドラマは息をしていないように見える時がある。失敗しても私が怒られるだけなので、大河の初心というか、息のできるところに戻してあげたいと思っています。

――好きな大河ドラマは?

森下 竹中直人さんの「秀吉」(96年)。すっげー面白くて(笑)。最初は「こんなうるさい大河やだー」という非難もありつつ、最終的に盛り上がって。人の温度が高くて、登場人物みんな血が通っている。ああいう熱のある大河にしたいですね。

◆森下佳子(もりした・よしこ)1971年、大阪府生まれ。00年「平成夫婦茶碗~ドケチの花道~」で脚本家デビュー。主なドラマ作品に「世界の中心で、愛をさけぶ」「白夜行」「仁-JIN-」「天皇の料理番」など。NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」で向田邦子賞、橋田賞を受賞。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)

日刊スポーツ

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PROFILE

梅田恵子(うめだ・けいこ)

東京都生まれ。日刊スポーツで主に芸能面、社会面を担当し、主なスクープに小泉今日子結婚、広末涼子結婚など。やや辛口のコラムでやや知られ、テレビおたく、ドラマファンの立場から2010年より紙面等で「勝手にドラマ評」を展開。好きなドラマは「淋しいのはお前だけじゃない」、映画は「太陽を盗んだ男」。法大卒。超方向オンチ。

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