尋常ならざる存在感の「松前屋」きうひ昆布 川瀬俊郎さん
- 2017年1月17日
出身の京都にあるお店です。幼い頃からこちらは別格だと感じていました。たたずまいもお店の方々もはんなりとしていて、おだやか。その雰囲気も含めて「味」だと思うんです。
この昆布は、宮中のために作られたお菓子。包みを開けた時に尋常ならざる存在感がある。口の中に入れると、独特のやわらかい食感で、うまみが内側から膨らんでくる。お砂糖の甘みが与えられたことで、昆布そのものの味がより引き立った。千年の都の味と言いましょうか。
お菓子は仕事柄、様々な地域から頂き、食べる機会も多いのですが、それぞれの風土にあった本物を食したい。本物は一口で幸せな満足感を得られるから不思議ですね。たかが菓子、されど菓子。魂をこめて、一徹に作られたものには清らかさを感じます。花も同じ。そういうものがいつも人々の心を和ませてくれると思うんです。
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かわせ・としろう 花人。2009年、京都府文化賞功労賞、13年、京都美術文化賞を受賞。著書に「川瀬敏郎 一日一花」「今様花伝書」など。
◆「松前屋」京都市中京区釜座通丸太町南入(電話075・231・4233、FAX231・6660)。5枚入り1404円。販売は3月31日まで。午前9時~午後6時。日曜・祝日休み。注文はファクスのみ。

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