本音のマイホーム

マイナス金利政策から1年たち、住宅ローンは借り時?

  • 山下伸介
  • 2017年2月15日
  •   

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 日銀がマイナス金利政策を導入して1年がたった。この間、住宅ローンの金利は史上最低水準にはいつくばっていて、マイホームを買い求める人には絶好の環境が続いている。

 一般に住宅ローンは最長35年で組めるが、35年間金利が変わらない固定型で1%前後、途中で金利が変わる可能性がある変動型なら、0.5%付近で借りられる。

 筆者が23年前に初めてマンションを買ったときの金利は固定型で4%だった。今思うとゾッとするような高金利だ。借入額3000万円の場合で比べると、1年目に払う利息は1%の今なら年間約30万円、4%なら約120万円で、なんと4倍になる。ローンの利息は100%貸し手のもうけになる経費だ。同じ3000万円を借りて、つまりほぼ同レベルの家を買って、23年前は経費を今の4倍も払わなければならなかったのだ。

 筆者の場合は購入から8年後に金利1%のローンに借り換えて途中から利息を減らすことができた。が、それでも当初8年間に払った利息はあまりに大きい。いまマイホームを買おうとしている人がつくづくうらやましい。

 一般に住宅ローンは固定型が安心とされる。最長35年という長期にわたって借り続けるため、経済情勢の変化による金利上昇リスクを回避するためだ。これまで取材した数多くのファイナンシャルプランナー(以下FP)も、ほぼ例外なく「住宅ローンといえば固定型」と口をそろえたものだ。

 固定型と変動型の金利差が0.5%程度しかない今ならFPたちのアドバイスにも納得感がある。しかし、筆者が住宅情報誌の担当になった2002年当時から今に至るまで、彼らの主張は一貫して「住宅ローンは固定型」だ。おそらくそれ以前もそうだったはずだ。

 2002年ごろは、固定型の金利は3.5%前後で、変動型や短期固定型と比べて金利差が2%以上あった時代だ。試算してみると、当時FPのアドバイス通り固定型(3.5%)を借りた人は、途中で借り換えなければ変動型(1%)を借りた人より、現在までの15年間で900万円以上余分なコストを負担していることになる(借入額3000万円、35年元利均等返済の場合)。

 この差は残り20年間で逆転不可能だし、借り換えなどの手を打たなければ、さらに差が広がってしまう。お金のプロであるFPのアドバイス通りに借りて、なぜそんな不幸な事態に追い込まれるのか。

 答えは、日本経済のデフレが長引いて金利が上がるどころか超低金利が続いたからだ。そもそも経済や金利の動向は時代によって変化するものだが、住宅ローンに対するFPのアドバイスがいつの時代も同じであることに筆者は違和感を覚える。FPはお金のプロだが経済のプロではないということなのかもしれない。

 結局、お金についてはプロに頼ってもうまくいくとは限らない。時代の変化を考慮しない教科書通りのアドバイスではなおのことだ。住宅ローンを借りるならば、FPだけでなく金融関係の人や商売をやっている経済動向に敏感な人など複数の人に意見を聞くといい。そのうえで、最も大切なのは自分の頭で「考える」ことだ。とはいえ、4%で借りたことがある筆者に言わせれば、今は難しく考えなくても失敗する可能性は低い時代ではあるが……。

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PROFILE

山下伸介(やました・しんすけ)エディター&ライター

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京都大学工学部卒。株式会社リクルート入社。2005年より週刊誌「スーモ新築マンション」の編集長を10年半務める。これまで優に1000名を超える住宅購入者、検討者の実例を見てきた経験から、損得では語れない住まい選びの勘所に詳しい。2016年に独立し、住宅関連テーマの編集企画や執筆、セミナー講師などで活動中。一般財団法人住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー運営委員(2005~2014年)も務めた。ブログはこちら

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