モーターサイクル・リポート

“SHOWA”高性能サスペンション市販化への挑戦

  • 河野正士
  • 2017年2月17日
  • 日本のサスペンションブランド「SHOWA(ショーワ)」が発表した、オフロード用高性能アフターパーツサスペンション『ホンダCRF250R用A-kit』

  • 2014年からEICMAに参加しているSHOWA。15年にはオンロード用高性能アフターパーツサスペンションを発表し、話題となった

  • オンロード用高性能サスペンション『BFF(バランス・フリー・フロントフォーク)』と『BFRC-lite(バランス・フリー・リア・クッション・ライト)』

  • 16年のEICMAで発表したオフロード用高性能アフターパーツサスペンション『ホンダCRF450R用A-kit』

  • 『ホンダCRF1000Lアフリカツイン用プレミアムアップグレード・キット』

  • 会場には16年の世界スーパーバイク選手権でタイトルを獲得したカワサキ・ワークスチームのライダーが訪れサイン会を開催

  • エンデューロ世界選手権を戦ったホンダ・レッドモト・チームの選手も来場

  • 『ホンダCRF450Rおよび250R用A-kit』のフロントフォークに採用されたアルミ削り出しの軽量アクスルホルダー

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 日本のサスペンションブランドである「SHOWA(ショーワ)」は、昨年にイタリア・ミラノで開催された世界最大級のモーターサイクルショーであるEICMA(エイクマ)で、一般ユーザーが購入可能な高性能オフロードレース用サスペンション『ホンダCRF450R用A-kit』『ホンダCRF250R用A-kit』を発表。現在は市販化に向け、細部の調整を行っている。

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 「SHOWA」は、二輪四輪メーカーに量産車用サスペンションを供給するサプライヤーだ。またロードレースはもちろん、モトクロスやエンデューロ、ラリーといった二輪車レース用サスペンションを開発し、さまざまな二輪車メーカーのレース活動を支えている。レース専用サスペンションは、契約をかわしたメーカー系有力レーシングチームにのみ供給されるが、そこで培われた技術や経験は、量産車用サスペンションにフィードバックされてきた。

 しかし「SHOWA」は昨年、一般ユーザーが購入可能なオンロード用高性能サスペンション『BFF(バランス・フリー・フロントフォーク)』と『BFRC-lite(バランス・フリー・リア・クッション・ライト)』を発表。サスペンションの販売会社と契約し、一般ユーザーを対象に世界中で販売を開始した。サプライヤーから、高性能サスペンションブランドとしての歩みをスタートさせた。

 その『BFF』と『BFRC-lite』のレース用サスペンションは、市販車をベースとする二輪車レースの世界最高峰/世界スーパーバイク選手権のカワサキワークスチームに供給され、二年連続でタイトルを獲得。一般販売用『BFF』と『BFRC-lite』は、作動性に優れたレース用サスペンションと同構造を持つと同時に、セッティング変更の容易さやメンテナンス性を高めるなど、レーシングスペックを引き継いでいる。またSHOWAオリジナルの“エメラルドカラー”のインナーチューブコーティングが施されているほか、アルミ削り出しのアクスルホルダーを採用する。それでいながら量産車サスペンションの開発や製造で得たノウハウを生かし、高い耐久性も兼ね備えている。

 2016年にフルモデルチェンジしたカワサキのスーパースポーツモデル/ZX-10Rや、今年フルモデルチェンジを果たしたスズキのスーパースポーツモデル/GSX-R1000Rには『BFF』と『BFRC-lite』が純正採用しているが、一般販売用の『BFF』『BFRC-lite』とは基本構造は同じながら細部が異なり、レース用サスペンションに近い仕上げと性能が与えられている。

 昨年EICMAで発表された『ホンダCRF450R用A-kit』と『ホンダCRF250R用A-kit』は、SHOWAが一般ユーザー向けに販売する高性能サスペンションの第二弾。今回はモトクロッサー(オフロード用競技専用車)に焦点を当てた。そもそも“A-kit(エーキット)”とは、オフロードレースのトップチームが使用する“勝つため”のSHOWA製サスペンションのブランド名であり、スーパークロスやモトクロスの最前線で開発され活躍してきた。16年の世界モトクロス選手権では、ワークス仕様のスペシャルサスペンションを装着するホンダのワークスライダーが世界タイトルも獲得している。

 フロントフォークは、450用には一般的なコイルスプリング・フロントフォークを、250用には右側にダンパー機構、左側にはスプリング機構を持たせている。コイルスプリングではなく圧縮空気を反力の発生源とするセパレート・ファンクション・フロントフォーク・エア(SFF-Air)というスタンダード・フォークの基本構造を引き継ぎながら摺動抵抗を減らす最新技術を投入。リアショックは450/250ともにロッド径を16mmから18mmへとサイズアップするとともに、軽量化と高性能化が図られている。

 またEICMA会場では、ホンダのアドベンチャーモデルである「CRF1000Lアフリカツイン」用の『プレミアムアップグレード・キット』も発表。オフロードでの走行に特化して耐久性と作動性を高め、調整範囲も広げられている。このサスペンションを装着したアフリカツインが、ダカール・ラリーと同時期に行われた「アフリカ・エコ・ラリー」に参戦し、完走。ステージ優勝を果たすなど上位でレースを戦い、そのポテンシャルの高さも証明した。

 この『プレミアムアップグレード・キット』は、ホンダのCRF450RALLYでダカール・ラリーをともに戦った経験が生きているという。ダカールを戦うマシンは排気量450ccながらトップスピードが速く、そこでサスペンションの性能を高めるには、ダンピング性能を高めるのはもちろん、サスペンション本体の高い剛性も求められる。そこで得たノウハウが、ラリーマシンより排気量が大きく、また車重も重いアフリカツイン用サスペンションの開発に生きているのだという。

 これら『ホンダCRF450Rおよび250R用A-kit』と『ホンダCRF1000Lアフリカツイン用プレミアムアップグレード・キット』は17年の市販化を目指し、現在も開発と調整が進められている。バイク市場やそこで求められる環境性能、またバイクユーザーの嗜好(しこう)の変化によってバイクは今、変革期にあると言える。その変化に直面したメーカーもまた、変化と進化が求められている。サスペンションブランドの「SHOWA」が、プレミアムなアフターパーツ市場に参入を決めたのも、その変化の一端と言える。しかしこれは、バイクファンにとってはうれしい変化だ。いままで手に入れることができなかった最高級で最先端の技術を、手に入れるチャンスを得たのだから。

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PROFILE

河野正士(こうの・ただし)ライター

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二輪専門誌の編集部員を経てフリーランスのライター&エディターに。現在は雑誌やWEBメディアで活動するほか、二輪および二輪関連メーカーのプロモーションサポートなども行っている。ロードレースからオフロード、ニューモデルからクラシック、カスタムバイクまで好きなモノが多すぎて的が絞れないのが悩みのタネ

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