小川フミオのモーターカー

世界の名車<第154回>モダンデザインの「三菱ミニカ」

  • 文 小川フミオ
  • 2017年3月13日

2気筒エンジンには空冷と水冷とがあった

  • 初期型のミニカ70

  • ボディーは2ドアにハッチバック

  • スポーティーなGSS(69年)

  • 72年のミニカは4灯式に

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 かわいらしい名称がずっと記憶に残っている三菱ミニカ。名前のとおり全長が3メートルを切る、いわばミニ・カーである。

 1962年登場の初代は東欧の自動車のように実用本位のデザインだった。でも69年にモデルチェンジ。ここで取り上げた2代目で現代的な“自動車”になった。

 ミニカの美点は、大きなガラスで視界がいいところと、リアウィンドーの傾斜角が大きいファストバックスタイルでスポーティーな雰囲気のあるところ。四角いヘッドランプもカッコよかった。

 当時軽自動車の主流は、駆動系がすべて後席より背後のリアエンジン/リアドライブである。それに対してミニカはフロントエンジンでリアドライブ。後ろにエンジンがないぶん荷室が大きくとれたのも長所だった。

 エンジンを前に置くと“重し”になってくれるので前輪の接地性がよくなる。フロアから生えたシフトレバーで4段ギア変速機を操作して味わう後輪駆動ならではのドライブ感覚もよかった。

 “まっとう”なクルマとして設計され機能性の高さも特徴である。しかし当時は高度成長期で、クルマも高性能を求められた。ミニカも合理性だけでは十分でないと判断され、高性能版も設定された。

 いっぽうで自動車界は製造コストなどの点で効率化も追い求めた。本田技研はいち早く、N360やライフといったモデルでフロントエンジン+フロントドライブの方式を採用しており、前輪駆動化の優位性が(ミニカのような)後輪駆動車を圧倒した。

 小さいながらもガマンも不足感もなく使えるクルマとして企画開発されたミニカ。でも大衆車としてのみずからの役割を十分に果たせないまま、市場のトレンドに翻弄(ほんろう)された感がある。理想主義的なモダンデザインといえる初期型をみるたびに、惜しかったと思うのだ。

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PROFILE

小川フミオ(おがわ・ふみお)

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クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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