男の服飾モノ語り 山本晃弘

そろそろ準備したい夏用のスーツ。賢いビジネスマンは何を選ぶのか?

  • 山本晃弘
  • 2017年3月30日

(写真1)ジャケット5万9000円、パンツ2万3000円/マッキントッシュ ロンドン(SANYO SHOKAI カスタマーサポート 0120-340-460)

  • (写真2)スリーピーススーツ5万円(オーダー価格)/麻布テーラー(麻布テーラープレスルーム 03-3401-5788)

  • (写真3)スーツ8万3000円/J.プレス(オンワード樫山 お客様相談室 03-5476-5811)

  • (写真4)ジャケット3万6000円、パンツ1万6000円/マッキントッシュ フィロソフィー(SANYO SHOKAI カスタマーサポート 0120-340-460)

  • (写真5)スーツ8万9000円/ブルックス ブラザーズ(ブルックス ブラザーズ ジャパン 0120-185-718)

  • (写真6)スーツ6万9000円/タケオキクチ(タケオキクチ 03-6324-2642)

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 ビジネスウェアにおいて、不動の4番バッターがスーツであることは疑いようがない。2005年の夏にクールビズがスタートした直後には、「カジュアル化してジャケット一辺倒になる」と予想するファッション関係者は少なくなかった。しかしながら私は、この「スーツ衰退説」に一貫して疑義を唱えてきた。夏が暑ければ、涼しい素材のスーツや快適な仕立てのスーツを着る。それが、凛々(りり)しい着こなしを築いてきたニッポン男児の先達からの教えである。

 先日、アエラスタイルマガジンでは、東京と大阪に勤務する20代から50代のビジネスマン1000人を対象にした「春夏のスーツに関するアンケート」を実施した。まず「春(3月~5月)の一週間のスーツの平均着用日数は?」という質問に対して、78%が「週5日以上」と回答したのだ。つまり、平日はスーツを毎日着用するというビジネスマンが約8割ということ。「週3日以上」に設定すると、回答したビジネスマンの9割を超す結果となるのだから心強い。クールビズがスタートする前の季節であることを差し引いたとしても、冒頭に書いた「ビジネスウェアの4番バッターはスーツ」という定義は揺らぎそうにない。

 多くのビジネスマンは、スーツを色柄で選ぶ。そして、ここ数年はネイビーの人気が続いている。先述のアンケートでも、「春に最も着用するスーツの色柄は?」という問いに、26%が「ネイビー無地」、21%が「ネイビーストライプ」、3%が「ネイビーチェック」と回答していて、ネイビーが全体の半数を占める。では、次の一着として何色を選ぶべきか? ネイビーと同じくらいオーセンティックな色、グレーが正解だろう。「グレーのスーツは着こなしが難しくて……」と読者から相談されることも多いが、それは考えすぎというもの。白シャツとグレー系ネクタイで同系色コーディネートすれば、ストイックでスタイリッシュにまとまる(写真1)。サイズ感が重要であることは、他の色柄のスーツと同様。着たときに、若干コンパクトに感じるくらいがジャストサイズであると思っていい。

 とことんサイズにこだわって、オーダーするという手もある。「オーダースーツは価格が高い」と思っているビジネスマンは、考えを改めたほうがいい。コストパフォーマンスの高いオーダーが評判の麻布テーラーであれば、自社工場での一貫生産で作られるハイクオリティーなスーツが、スタート価格3万7000円から。熟練のスタッフが店頭で行う細やかな採寸で自分のジャストサイズを知り、オーダーにはまるビジネスマンも増えている。グレー無地も、今シーズンであればよりクラシックに、ベスト付きのスリーピース(写真2)を仕立ててみることをおすすめする。

 グレーも無地ではなくストライプをということであれば、“バンカーストライプ” (写真3)がいいだろう。この呼び名は、ロンドンの金融街に勤めるビジネスマンが好んで着ることに由来している。明瞭なコントラストは誠実な印象を与え、着用者を信用に足る人物に見せる効果がある。

 もちろん、ネイビーの次に、もう一着ネイビーという選択もありだろう。その場合には、生地の機能性に注目して購入するといい。昨今のスーツ市場では、「コンフォート」つまり快適性という言葉がキーワードとして注目されている。例えば、ストレッチ性をもたせたもの、軽量性をうたうもの、撥水(はっすい)性やウォッシャブル機能を施されたもの。こういったスーツが人気を集めているのだ。

 マッキントッシュフィロソフィーは、機能性ビジネスウェアのトレンドを作った立役者的なブランドである。2010年からこのブランドが販売している「トロッタージャケット」は、「シワになりにくい」「家庭洗濯が可能」という機能とファッション性の両立で、出張の多いビジネスマンなどから人気を集め、シリーズ累計約7万着を超える大ヒットアイテムとなっている。さらに、2016年の秋冬から展開している「イージードレッシング」シリーズのセットアップスーツ(写真4)であれば、「シワになりにくい」「家庭洗濯が可能」「伸縮性」「接触冷感」といった多機能をもつ。ナイロンとポリウレタンのストレッチツイルジャージ素材でありながら、ビジネスウェアらしいネイビー無地スーツに仕上がっている。

 ネイビーにグレーのストライプを施したブルックス ブラザーズのスーツ(写真5)は、高温多湿な日本の気候に合わせてこのブランドが開発した服地「ブルックスクール」が使われている。イタリアの名門生地メーカー「レダ社」が手がけたウール100%の生地をベースにしながら、「優れた通気性」「軽量性」「シワになりにくい」「ストレッチ性」といった盛夏に最適な機能を搭載。さらには、多少の雨なら弾いてくれる「撥水性」も備えているから、これからの梅雨時期の着用に向く高機能ネイビースーツといえる。

 さらには、毎日スーツを着用するビジネスマンには、「耐久性」という機能にも目を向けてほしい。タケオキクチのネイビー無地スーツ(写真6)は、高機能化学繊維で名高いインビスタ社が開発した素材コーデュラ・コンバットウールを使用。強度の高いナイロンバッグで知られるコーデュラ・ナイロンとウールを混紡した素材で、「伸縮性」「撥水性」に加えて「耐摩耗性」の特徴をもつ。仮にこのスーツで自転車通勤したとしても、パンツが簡単に破れることはないだろう。

 スーツの着こなしでいちばん大切なのは、ビジネスの相手にきちんとした印象をもってもらうこと。トレンドを意識しすぎると、軽く見られて、信用を失うこともある。色はあくまでも控えめに、ネイビーかグレーを選ぶのがいいだろう。しかし、「機能性」というトレンドには敏感に反応しておいて損はないと思う。

※掲載した商品は、すべて税込み価格。

※撮影/川口賢典(モデル)、西澤 崇(静物)、スタイリング/櫻井賢之

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2017春号 Vol.34

「スーツの着こなし」と「ニュースな視点」が満載!
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●FASHION VIEW

ファッションビジネスにおけるインポーターの役割

●岡田准一の大切なもの。

厳しく、寂しく、美しい、大人の男の“光と陰”――

●JOURNAL

ビジネスマンがいま知るべき「ニュースな視点」

田中慎弥「ビジネスマンに「孤独」が必要な理由とは」

板倉 京「働き盛りこそ相続対策せよ!」

鹿島 茂「最高のポルノは『聖書』の中にあり」etc

●ビジネスマン、1000人の意識調査

東京 VS. 大阪

●岸本佐知子翻訳

「ゴーイング」エイミー・ヘンペル著

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「春めいてきたら沖縄料理を」

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PROFILE

山本晃弘(やまもと・てるひろ)「アエラスタイルマガジン」(朝日新聞出版)編集長

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「アエラスタイルマガジン」(朝日新聞出版)編集長。男性ファッション誌「MEN’S CLUB」や「GQ JAPAN」などの編集を手がけた後、2008年に朝日新聞出版の設立に参画。季刊誌「アエラスタイルマガジン」を創刊し、ビジネスマンに着こなしを提案。同時に、さまざまなメディアで展開するファッション企画の制作を手掛けている。

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