中村江里子 パリからあなたへ

犬のフンが多いことでも知られているパリの道

  • 文&写真 中村江里子
  • 2017年3月21日

我が家の新しい仲間。雌のボストンテリア、ピュイックです。やってきた時には部屋の隅で震えていましたが、今では元気いっぱい。近所に多くの仲間もできました

  • ピュイックのお散歩バッグです。遊び道具や水の入ったボトル、骨の形をした入れ物にはポリ袋が入っています

  • 街中でよく見かける看板です。「本当に……僕には68ユーロの価値があるのかな?」というメッセージ。ユニークですが、深刻な問題です。地域によっては看板だけでなくポリ袋の入った箱もあります

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 昨年の8月末から我が家に犬がやってきました。雌のボストンテリアで、ピュイックという名前をつけました。きた時には生後5カ月でした。夫も子どもたちもずっと犬を飼いたがっていましたが、私が「まだ責任がもてない」と言っていたのです。長女が一人でお散歩に連れていける年齢になり、夫もオフィスに連れていくということで、ようやく皆の念願がかないました。

 日本に滞在した時には、子どもたちは実家にいる2匹の犬のお散歩をします。当然ですが、犬のフンは自分たちで片付ける、おしっこには水をかけるといったことをしています。もちろん、パリでのお散歩中も同様です。ところが、残念なことにここパリでは飼い犬のフンを片付けるのは当然ではない人が多いのです。

 先日は、こんなことがありました。子どもたちを学校に連れていく時に、歩道で大型犬がフンをしていました。ちょっと嫌な予感がして、私たちは立ち止まりその様子を見ていました。案の定、素敵なマダムは犬が用を済ませると同時に歩き出しました。夫が「すみません、マダム。何かお忘れではないですか? あなたの犬のフンをきちんと片付けてください」と言うと、美しい顔の表情が変わり、怒鳴るように私たちに言い返しました。「犬のフンを片付けるのは私の仕事ではありません。片付ける人がいるでしょ? 税金を払っているのだから!」。あまりの剣幕に、私たちは言葉を失ってしまいました。確かにフンなどを吸い上げる小型車もありますが、最近はほとんど見かけません。

 実際に、放置されたフンなどで滑ってけがをする人もいるようです。特に雨の日は気を付けなければなりません。通学路にもいたるところにあって、下を向いて歩かなければならないほどです。フランスでは「犬のフンを左足で踏んだ時には良いことがある」といわれています。でも、踏んでしまった人が「左足だからラッキー!」と言っているのを聞いたことがありませんし、やはり不快な気持ちになるものです。

 世界的な観光地であるパリの道は、犬のフンが多いことでも知られています。何と1年間で20トンものフンが放置され、各自治体の清掃員によって回収されているそうです。数年前から、片付けなかった場合には68ユーロ(約8325円)の罰金が課せられるようになりました。しかし、実際に誰がその様子を監視できるのでしょうか? 噂(うわさ)では私服の担当者が街中を見回っているとのことですが……。やはり、個人個人の意識を変えるしかないのだと思います。

 パリ市長は「パリの街は不潔すぎます。この問題を解決しなくては」と発言しています。解決策として、清潔な国である日本から様々なことを取り入れるようです。ある時、子どもたちが言いました。「ママ、パリの人たちは、道をゴミ箱だと思ってるのかなあ?」。犬のフン、たばこの吸い殻、食べ残し・飲み残しの放置……。パリの人たちの意識が変わることを心から望んでいます。

 次回は4月4日の配信を予定しています。

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PROFILE

中村江里子(なかむら・えりこ、Eriko Barthes)

写真

1969年東京都生まれ。立教大学経済学部卒業後、フジテレビのアナウンサーを経て、フリー・アナウンサーとなる。2001年にフランス人のシャルル エドワード バルト氏と結婚し、生活の拠点をパリに移す。妻であり、3児の母でもある。現在は、パリと東京を往復しながら、テレビや雑誌、執筆、講演会などの仕事を続ける。2016年には「フランス観光親善大使」に就任。著書に『エリコ・パリ・スタイル』(マガジンハウス)、『ERIKO STYLE暮らしのパリ・コラージュ」(朝日新聞出版)、『女四世代、ひとつ屋根の下』、『マダムエリコロワイヤル』」(ともに講談社)、新刊『ERIKO的 おいしいパリ散歩』(朝日新聞出版)と多数。

BOOK

「中村江里子のデイリー・スタイル セゾン・ド・エリコ」(扶桑社) 中村江里子 著

中村江里子のデイリー・スタイル セゾン・ド・エリコ

 丁寧に、楽しく素敵に暮らす日々をご紹介。特集はパリのマルシェ。パリの八つマルシェの魅力をご案内。サプライズイベント「ホワイトディナー」や、日本で取材したファッション企画や合羽橋めぐりも必見!見応え、読み応え十分の一冊です。

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